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⑨
しおりを挟む女性として愛せるかと言われれば即答はできない。
それでも、私はできる限り努力すべきだ。
貴族の婚姻は義務だ。
感情は二の次だと思いながらも、ちゃんと夫婦となっている貴族は多い。
特に辺境伯爵家は夫婦で二人三脚で厳しい領地を生き抜いている。
だから私が歩み寄る努力をする必要がある。
諦めかけていたが、もう一度頑張ろうと思った。
だが私の考えは甘すぎた。
「教会の援助を打ち切る?」
「ええ、あのような小さな教会必要ありません。慈善活動等一部の貴族の自己満足ですわ」
「しかし、救いを求めて来る人は…」
「ルイス。お前は何を勘違いをしている」
侯爵閣下の言葉は残酷なものだった。
「教会は民のためのものではない政治に利用するものだ。だがあの教会は利用価値がない」
「あげく、エリーゼ妃が懇意にしているので問題があります。まったくあの方はご自分の人気取りのために」
「小さな島国でも一応は元王女だ。自分よりも身分の低いものに崇拝されていい気分になりたいのだろう。王宮で誰にも相手にされないからな」
「相手にされないならもっと努力すればいいのですわ。できないでしょうけど…どこまでも阿多の悪いお嬢です事。だから国も焼け野原になるのです…まぁ、もうあの国には用済みですけど」
「国が…焼け野原に?」
そんな話は聞いていない。
いや、今は何所の国もいつ焼け野原になるか解らない状態だ。
だがこんな早く?
「まぁ敵国にあの国を明け渡し、国ごと燃やして魔王軍を一層できたのだから多少は役に立ったか」
「ええ国民も一応使えましたわね。ですが最後まで援軍が来ると思っていたのでしょうが、本当におめでたいこと…あんな無能な王は死んだ方がいいのですわ」
何を言っているんだ…
死んだ方がいい?
マリンパレス王国で大きな戦争があったという噂はある。
だがその詳細は騎士団に所属する私の耳に入っていないということは、作戦を実行したのは裏騎士か。
国王陛下の直属の騎士団。
裏では暗殺を大幅に行っていると聞く。
だがそんな真似を…
「お二人は、胸が痛まないですか?」
「まぁルイス様ったら。あんな連中のことに胸を痛める必要はありませんわ。遅かれ早かれあの国は焼く予定ですもの。役に立てたのですからよかったではありませんか」
「そうだ。実に下らん感情だ…いい加減に大人になれ」
酷い…
酷すぎる!
どうして顔色を変えずに言える?
笑って言えるんだ?
「目障りな国が消えた祝杯が今夜行われる。実にめでたい」
「ええ!」
彼らこそが悪魔だ。
魔物だ。
そう思えてならなかった。
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