寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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医学が進んだ国からすれば私の祖国の医療は時代遅れだった。

基本、マリンパレスでは人間の治癒力を高めるのを優先する。
だから滅多に風邪を引くこともなく抵抗力も強い。


薬に頼るよりも自然治療をすることが多いのだ。

だからこそ、アグナレス王国の貴族はちょっとしたことで医者に診てもらうのが驚いた。


薬に頼りすぎたり、魔導士に治癒魔法を使ってもらったりと。
自身の治癒力を知らないでいるのだと思った。


アグナレス王国だけでなく、医療先進国でもそうだ。


「他所の国の方々は、自己治癒能力が少ないのね」

「薬や回復魔法に頼り過ぎているのが当たり前になっているのですわ」

「それはある意味危険だわ」


薬や回復魔法にたよりきっていることになる。
それに魔法は無限じゃないわ。

何時か使えなくなったらどうするのか。



「魔法に依存してばかりの方が多いのです。ですから教皇様も過度な治癒魔法は禁じているのですが」


「反発する方がいるのね」

「他国では回復魔法の方が早いと」


効率を選ぶのは悪い事じゃないけど、リスクもあるのだけど。


「あっ…動いたわ」

「まぁ!」


膨れたお腹を触ると、我が子が動いたのが解る。


「元気な子だわ」


「ええ」


女の子かしら?
男の子かしら?


まだ性別は解らないけど、早く生まれて欲しいわ。




なんて思っていたのだけど。



「アルバシア様、何です。この箱は」

「ベビー服だそうだ」


「性別はまだ決まっておりませんが」

「ああ、そう伝えたんだが。女王陛下から…」


隣国の女王陛下か。


「兼用で着れるようにしたと。足りなかったらまだ追加を贈ると」


「追加…」


既に部屋を埋め尽くす程の贈り物にまた追加されるのか。


「限度を知らないのですか」


「相手は女王陛下だ…」



これが王族か高位貴族なら解る。

でも私の地位ではどうなんだろうか。


「だが、私達の子を喜んでくださっていることは嬉しい」

「ええ」



私達の子。


男の子でも女の子でもいい。


元気に生まれてきて欲しい。


そう思いながら私達は幸せを感じていた。


少し前まではこんなにも幸せになるなんて思わなかったのに。




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