寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ

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20幸福と不幸の違い

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公務はできるだけ減らしながらもできることをしていた。
お腹は順調で、主治医であるマクシミリアン様は疲れた表情をしていた。


「お腹の子に問題が?」


「いや、順調だ…ただ、毎回付き添いを連れてくるのは勘弁してくれ」

隣で仁王立ちしているアルバシア様の事か。


「昨日も師匠にも睨まれたんだよ。頼むから元気な子を産んでくれ…でないと俺の命が危ない」


まだ生まれるのは先なのだけど。


「当然だ。本来なら主治医を変えて欲しいぐらいだ」

「体の検査は女医に任せているだろ」

「当然だ」


いい加減信用してもいいと思うのだけど。


「腹も少し膨れてきたが、運動も必要だぜ」

「だが危ないだろ」

「運動しなさすぎも問題だ」

「そうか。では警護を増やして…」


また増やす気なのかしら。
これ以上護衛も必要ないのだけど。


「そういや、今度の視察に関してだが…姫さんは行くなよ」

「体の事もありますし」

「そうじゃなくてだ。アグネス国の関係者は国内に入れないようにしてあるが…万一の為だ」

「どういうことですか」


同盟は正式に破棄となった。
元より戦争中の同盟だからなのだけど、あの国ではかつて盟友だった事で援助を求めているそうだ。


クラリス聖教皇国も何を要求されるか解らない。


「大昔に、敵国に病原菌を振りまいた事件がある。その為だ」

「まさか未だに…」

考えすぎではないかと思ったが、ふとある考えが過った。



「まさかあの国で伝染病が?」

「梅毒以外に原因不明な病が流行している。自称聖女も聖魔法が使えなくなったみたいだ」

「えっ…」

それは一大事じゃないかしら。
聖女の力が使えなくなったとなればアラクネ妃の立場が危ぶまれる。


「同情の余地はない」

「そうだぜ?第一戦争が終わったのなら聖女は必要ないだろ」


解るけど、国は大丈夫なのかしら。


でも、彼女は侯爵令嬢で、多くの貴族から崇拝されている。

ならば手助けをしてくれる人も多い。
だから考えるのは止めたのだった。



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