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⑤
しおりを挟む私が聖女として認められた後に第二妃となったことは瞬く間に知れ渡った。
王宮内では私と殿下が既に相思相愛の仲だとか、本当は成人前から愛し合っていたとか反吐が出るような噂が流れた。
その反対に王太子妃の立場が悪くなる一方で、国王陛下は私こそが王妃に相応しいと言い、彼女を離れに追いやり、公の場でも私がさも正妻だと思わせるような真似をした。
冗談じゃないわ!
同じ空気を吸うのも嫌なのに!
男としてもだけど、一国の王子としても無能すぎる。
貴族派に次代の王として相応しくないというのも頷けるわ。
けれどそんなことを顔に出さず努力した。
最初こそは邪険に扱われていたけど少し甘い言葉を囁けばコロッと騙され、蔑まれる妻の悪口を言う。
「エリーゼは、王太子妃として私をもう少し支えてくれたらいいのに」
「そんなことを申してはいけませんわ。あの方は後ろ盾がないのです」
「君は優しいな…」
馬鹿な男。
本当の意味で唯一の味方なのは彼女だけなのに自分でその唯一の味方を手放している。
あの王女も馬鹿よね。
私が傍に侍っていても文句も言わない。
嫉妬心を丸出しにすればいいのに、それもできないでいる。
耐えて、耐えて。
周りからも糾弾されても涙も流さない。
「アラクネ…」
「はい…殿下!」
名前を呼ばれ私は振り向くとキスをされそうになり私は拒否をしようとした。
「アラクネ!」
嫌だ…
気持ち悪い!
腕を掴まれ、強引にキスをされそうになる。
「お待ちください!」
「何故拒むんだ」
何故拒まないと思ったのか解らないなんて馬鹿なの!
馬鹿すぎるわ。
「殿下、私は側妃にすぎませんわ」
「アラクネ…君という人は。エリーゼに気を使っていたんだな」
使ってないわよ!
心が嫌だと拒否しているのを何故解らないの!
手の震えが止まらない。
どうしても嫌だと私の心が拒否していた。
「殿下、よろしいでしょうか…今度の式典の」
その時タイミングよく扉の向こうから声が聞こえた。
「エリーゼ、後にしてくれ」
「殿下?」
「今、取り込む中だ。他の妃といる時に声をかけるなんて非常識だぞ!」
「お待ちください殿下!」
このまま帰られては困ると思った。
だけど
「そこのお前、エリーゼを連れ出せ」
「はっ!」
そこにいたのは、戦場に出たはずの私の婚約者だった。
帰還していたの?
「今夜はアラクネと夜を過ごす」
「なっ…」
「解ったな」
「承知しました」
私を肩を抱き見せつけるような態度を取る殿下に怒りがこみ上げた。
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