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⑤
しおりを挟む「なんて素晴らしいのかしら」
私が姫巫女になることを伝えたら案の定、侍女達は喜んでくれた。
特にリーチェの喜びはすごかった。
「お披露目まで時間がありません!他国にしらしめなくては」
「いや。控え目で」
「なりません!」
リーチェの気合の入りように少し引き気味になる。
「エリーゼ様はご自身を過少評価し過ぎなのです!まったく夫が甲斐性無しの所為ですわ」
「おい、それは私に対する嫌味か」
「気づきませんでしたの?」
「リーチェ…」
本当にリーチェは強いな。
他の巫女もこんな風に強気なのかしら?
「エリーゼ、あまりリーチェの言葉に耳を貸すな」
「まぁ、酷い方」
「どっちが酷いんだ」
これはこれでじゃれ合っているようなものなのか。
この国に来て色々見えて来たものがある。
身分差別があまりないのだ。
教皇様のおひざ元であるのも原因の一つかもしれないけど。
「エリーゼ様、お茶の用意ができました」
「ありがとう…」
言いあっている二人を見ながら私はお茶とお菓子をいただこうとした。
「うっ…」
「エリーゼ様?」
普段なら甘いミルクティーは大好きなのに。
なのに甘い香りが気持ち悪い。
「どうしたんだエリーゼ」
「エリーゼ様?」
「失礼します!」
口元をハンカチで覆い、急いで手洗い場に駆け込んだ。
「うっ…ゲホゲホ!」
気持ち悪い。
何でいきなり。
「エリーゼ!大丈夫か!」
「もしや毒が!」
「そんなはずは…」
毒が入っているようなものは一切口にしていない。
気持ち悪くなったのはミルクティーの香りをかいでからだった。
「そういえば最近食欲がありませんでしたわ」
侍女が解りに代わって伝える。
「ここ数日は果物をよく…」
「エリーゼ様、もしやと思いますが」
再び嘔吐している私にリーチェは動揺していた。
何か悪い病気にでもかかってしまったのかしら?
「最近、あれが来てますでしょうか」
あれって…女の子の日ってことかしら?
「ここ最近忙しくて…少し体が安定していなかったと」
「そうですか」
「え?リーチェ?」
そのまま急いで部屋を出て行ってしまった。
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