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②
しおりを挟む初めて顔合わせをした時からルリ様は気さくに接してくださった。
太陽にように笑いながらも重い物を背負っているのに他人には感じさせない強い人だった。
でも本当は違う。
当然じゃないかと思う。
ルリ様はまだ19歳。
死ぬのが怖いと思うのは当たり前で、騎士だとしても彼女は女性だ。
オリヴィエ様は私に…
「できるなら代わりたいのよ」
「オリヴィエ様…」
「彼女は高位貴族なのに、王家の勝手な都合で生贄にされたの」
かつてインフリートが暴れて、対応に困った王家は当時三歳だったルリ様を犠牲にした。
国の為、民の為と追われればルリ様は何も言えない。
普段から貴族であることを誇りに思っているのだから。
「戦争時も体にあるインフリートを使って盾になれと命じたのよ」
「最低ですね…」
いくら何でも酷すぎる。
当時、ルリ様は14歳だったそうだ。
同時に国王の情けなさに不快感を抱く。
「これまで私はあらゆる方法でインフリートの炎を抑え込めないか試したわ。でもそれもその場だけ…だけど貴女なら…水の女神の加護を持つ貴女ならできるはずだわ」
「ですが私は結界に関しては」
「いいえ、できるわ。貴女には強い加護がある」
戦いにおいては役に立つことはない加護。
そもそもマリンパレスの民は戦闘民族ではないのだから。
神話の時代より、アクアレーナ様も神々の戦いに介入しない温和な方だったとされている。
「力は戦いの為に使う者じゃないわよ。少なくとも貴女は解っているはず」
「オリヴィエ様」
「貴女の真の力を生きたいという人間の為に使って欲しいの。欲の為じゃない」
そっと握られた手から震えが感じた。
きっとオリヴィエ様はこれまでルリ様の為にあらゆる手を尽くしてきたのかもしれない。
「愛していらっしゃるんですね」
「ええ…」
仲間として以上の気持ちを抱いている。
目を見れば解る。
「私に何所までできるか解りません。ですがこの身が及ぶ限り」
「ありがとう…」
この時、オリヴィエ様は泣いていた。
ずっと不安と隣り合わせだったのはルリ様だけじゃない。
愛する人の死に怯えていたのだ。
だから私は、何が何でもルリ様を救うために協力をしようと思ったのだから。
ずっと役立たずだった。
アグナレス王国でもできることを探してしても役に立たないと言われてきた私が、ようやく誰かの役に立てると思ったら嬉しいと思ったのだから。
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