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④
しおりを挟む何も告げないまま私はアルバシア様の妻となった。
最初こそは気づかれなかったけど、私が拒否反応なく体に薔薇の紋章が刻まれた事でアルバシア様は気づいたのだった。
「エリーゼ、まさか…」
「はい」
営み中に早々に気づかれた私は穴があったら入りたい気分だった。
だけど、アルバシア様はその手を止めることなく私に触れた。
「まさか白い結婚のままだったなんて…ではあの噂はデマか」
「その噂が何なんか損じませんが」
「そうか、ならば遠慮しなくていいか」
「はい?」
何でそんなことになるのかと突っ込みたかったができなかった。
「私の事だけ考えてくれ」
「アルバシア様…」
この人はどうしてこうも平気でこんな恥ずかしい事を言えるのか。
「あの、そういうことはあまり軽はずみに言うのはどうかと」
「何をだ?思ったことは口にするべきだと言ったのはエリーゼだろう」
この人、天然だ。
しかもかなり危険すぎるまでの天然だ。
今日から私はアルバシア様を天然記念物ならぬ天然危険物と思うことにしよう。
「エリーゼ、貴女はやはり美しい」
「だからそういうの事を!」
「女神がかすんでしまう」
もう止めてぇぇぇ!
私はこの後、言葉攻めに耐えながら夜を明かすこととなる。
だけど、私は天然記念物な彼を甘く見過ぎていた。
私達は政略結婚にすぎない。
愛情はあれど恋慕の情は存在しないと思っていたので、義務を果たせば淡白になる。
はずだったが…
「エリーゼ、私を様で呼ばないで欲しいんだ」
「はい?」
「君にはちゃんと私の名前を呼んでほしい。距離があるのは嫌だ」
嫌だって子供か!
そんな捨て猫のような目で見ないで。
「はっ…はい」
「それから休みの日に良き夫婦の心得講習なるものがあるそうだ」
「そんなものがあるんですね」
「ああ、これから休みの日は一緒に参加しよう」
はい?
今何ておっしゃいました?
「あの…折角の休みですし。もっと好きな事を」
「私は休みの日は一日中薔薇と過ごしている」
ああ、確かこの人。
話し相手は薔薇で友達も薔薇という人だった。
「君とはこれからずっと仲の良い夫婦でいたい。その為に努力したい」
「ソーデスネ…」
私は上手に笑えているだろうか。
女神もかすむ美貌というのは彼の事を言うのだろう。
正直こんな美しい男性に愛を囁かれて平常心を保てる自信がない。
「エリーゼ、愛している」
「はっ…はい」
愛を囁かれ蜂蜜よりも甘い表情を向けられ私は戸惑うばかりだった。
彼はどうしてこんな目で私を見るのか。
そして私が彼に少しずつ惹かれ始めているのを自覚していた頃に、私の魔力に影響が出たことをこの時気づくことはなかった。
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