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2 私が私の気持ちに気づくまでの日々
4 銀糸のような髪の向こうに見えたもの
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お店に着いてからも、エイダはエリックにぴったりくっついて離れなかった。
リリアンは工房の隅に行くと、急ぎで仕上げなければならないワンピースのレースを取付る作業にかかる。リリアンは勉強が苦手だが、意外と手先は器用で、コツコツとした作業も苦にならないので、そういった面では重宝されていた。
針を持って、無心に作業をしていると、昨日からささくれていた気持ちが整う気がする。
「リリアン! ちょっと、この作業代わってくんない! どうせあんただって、遊び半分で付いて来てるんでしょ? エリックさんが打ち合わせしている間に、このビーズを種類ごとに分けておいてって言われたの! こんな細かいの出来るわけないじゃん。見分けがつかないし。あたしはちょっと、外に出て来るわ。このへんもよく知ってるから一人で大丈夫。お小遣いも持ってきてるし。また、適当に戻ってくるから、頼んだわよ!」
リリアンの静寂の時間を破ったかと思うと、一方的に要求をつきつけて、ビーズの入った箱を押し付けると、エイダは店の外へと飛び出して行った。
お客様だし、本当は追いかけたほうがいいんだろうけど……
リリアンと同い年だし、本人も大丈夫だと言っているし、好きにさせておいても大丈夫だろう。
まだ、午前中の早い時間だというのにリリアンはすごく疲労を感じた。
リリアンは下ろしていた髪をクルクルとお団子にまとめると、ペンを刺して髪を留める。
「さーてと……」
エイダから押し付けられた箱を開けると、緑色のさまざまな大きさと形をしたビーズが煌めいている。
「わぁ……綺麗! ……ふふっ、どんな服につけるんだろうなぁ……。裾かなぁ? 襟につけても可愛いかも? それとも、ウェストのアクセント? 胸元でも映えるなぁ……」
綺麗なビーズを見るだけで、元気がでてくるなんて我ながら単純だとリリアンは思った。
「まぁ、昼ごはんを抜かせば、終わるかな?」
レースとビーズを見比べて結論を出すと、レースの縫い付け作業に戻った。
◇◇
「リリアン……リーリーアーンちゃん!!」
「わぁっ!! びっくりした。エリック、打ち合わせ終わったんだ。お疲れさま」
エリックに耳元で名前を呼ばれて、リリアンは驚いた。
「それ、あの子に押し付けられたのね?」
急ぎの仕事であるレースの取付作業が終わったので、ビーズの仕分けをはじめて熱中してしまっていたようだった。
「うーん……。あの、エイダちゃんは用事があるって……」
「リリアンに押し付けてサボリでしょ? さっき、お昼を買ってきた時に見かけたわよ。オープンカフェで男を侍らせて、のん気にお茶してたわよ。もうお昼過ぎてるわよ。どうせ、作業に夢中になってお昼、食べてないんでしょ? 一旦休憩するわよ」
エリックに手を引かれて、作業台を立つと、部屋の壁際に置いてある木のベンチにエリックと並んで座る。
「ほーんと、あの子にも参ったもんね」
エリックは行儀悪く片膝立ててベンチに座り、立てた膝に体をもたせかけている。どれだけ仕事が忙しくても、いつも飄々としているエリックが疲労している様は珍しい。
「リリアンは大丈夫?」
エリックは無造作に髪紐をほどくと、銀糸のような真っすぐな髪がさらさらとこぼれていく。その銀糸の隙間から、エリックの濃い紫の瞳に見つめられてリリアンはドキっとする。その美しい顔には見慣れているけど、近くで見ると骨格などはちゃんと男の人だ。
「エリックも男の人だったんだ……」
「ふふふ、今までなんだと思ってたのよ? まさかお姉さんとでも思ってたわけ?」
「それは! 初めて会った時は男の人か女の人かわからなかったけど、今はわかってるよ……エリックはその……恩人っていうか、尊敬する人っていうか、家族っていうか……」
エリックは相変わらず、リリアンを直視していて、居心地が悪くなってもごもごと返事をする。
「ふーん? リリアン、ちょっと疲れちゃったから、肩かして?」
「私の肩でよかったらどうぞ!」
リリアンが背筋を正すと、そこへエリックが頭をおろす。
「おもっ!! エリック、無理! ちょっと重いよ!」
手加減せず、そのままエリックが頭をリリアンの肩に下ろしたので、その重さにリリアンはびっくりした。華奢に見えても、エリックとリリアンは体格差がある。
「ふふふ、ふふふっ、ごめんごめん、冗談よ。あーあ、情けないわね。ブラッドリーの事、ヘタレだの、情けないだのって思ってたけど。アタシも大したことないわね。自分の大切な女の子を守ることもできない」
エリックが髪を掻き上げながら、自嘲する。
「たいせつなおんなのこ……?」
「リリアン、大丈夫? 昨日の夕食の時も、今朝のことも。数日のことだってわかっていても、嫌なものは嫌でしょう?」
「………」
いつもみたいに笑って「大丈夫」って言えばいいだけなのに、肩より少し長い髪を下ろしたエリックに真っすぐな目線で問いかけられると、言葉が出てこない。
「リリアン、嫌だって言っていいのよ。泣いていいのよ」
「……っひっく。……嫌だった。母上とエリックの間は私の席なのに……エリックにベタベタしてて嫌だった……エリックにせっかく可愛いって言ってもらえたのに……カリスタ姉さんからもらった髪飾りも……」
リリアンは無理やり涙を飲みこもうとしてしゃくりあげてしまう。エリックの優しい言葉に思わず本音が漏れてしまう。
「上手く、フォローできなくて、ごめんなさいね。辛い思いをさせたわね」
気づいたら、エリックに抱きしめられていた。リリアンの顔が真っ赤になる。
リリアンの幼少期の事も男性との接触が苦手な事も知っていて、エリックは、人一倍リリアンとの距離感を気遣ってくれる人だった。頭を軽く撫でられたり、手を引かれることはあっても、抱きしめられたことは一度もない。驚いて涙も引っ込んでしまった。
でも、エリックに抱きしめられてリリアンに嫌悪感はなかった。嫌悪感どころか、どこか安心するし、なぜかすごくドキドキする。細身だと思っていたエリックだけど、その体は固くて、男の人なんだなぁって思う。
「そろそろ、アタシも意識してもらいたいしね」
「いしき……」
「無害な家族じゃなくて、男の人ってこと。ブラッドリーとマルティナちゃん的なかんじってこと」
「おとこのひと……」
「まぁ、アタシも自覚したのは最近だし、リリアンのペースでゆっくりでいいわよ」
エリックの腕の中で固まるリリアンを見て、エリックはいたずらっぽく笑うと、リリアンを解放してくれた。
まだ、呆然とするリリアンの横で、エリックは手慣れた手つきで自分の髪の毛をまとめると、紙袋を取り出した。
「ホラ、リリアンの好きなサンドイッチ買ってきたから食べましょ。オレンジジュースもあるわよ」
「わーありがとう!」
エリックが買ってきてくれたサンドイッチは、リリアンの好きなチキンとトマトが挟まったもので、お腹がすいていることもあって、おいしく感じる。でも、リリアンの頬のほてりはオレンジジュースを飲んでもしばらく冷めることはなかった。
「あら、ペンで髪をまとめてるのね。おもしろいわね」
「前、カリスタ姉さんがしていて。東方の国でこんな形の髪飾りがあるんだって言っていて。簡単にできるんだよ」
「ふーん、いいじゃない。リリアン、まとめ髪も似合うわね」
昨日からあった胸のチクチクも胃がしくしくするかんじも、エリックと一緒にごはんを食べながらたわいない会話をする間に、いつの間にか消えていた。
リリアンは工房の隅に行くと、急ぎで仕上げなければならないワンピースのレースを取付る作業にかかる。リリアンは勉強が苦手だが、意外と手先は器用で、コツコツとした作業も苦にならないので、そういった面では重宝されていた。
針を持って、無心に作業をしていると、昨日からささくれていた気持ちが整う気がする。
「リリアン! ちょっと、この作業代わってくんない! どうせあんただって、遊び半分で付いて来てるんでしょ? エリックさんが打ち合わせしている間に、このビーズを種類ごとに分けておいてって言われたの! こんな細かいの出来るわけないじゃん。見分けがつかないし。あたしはちょっと、外に出て来るわ。このへんもよく知ってるから一人で大丈夫。お小遣いも持ってきてるし。また、適当に戻ってくるから、頼んだわよ!」
リリアンの静寂の時間を破ったかと思うと、一方的に要求をつきつけて、ビーズの入った箱を押し付けると、エイダは店の外へと飛び出して行った。
お客様だし、本当は追いかけたほうがいいんだろうけど……
リリアンと同い年だし、本人も大丈夫だと言っているし、好きにさせておいても大丈夫だろう。
まだ、午前中の早い時間だというのにリリアンはすごく疲労を感じた。
リリアンは下ろしていた髪をクルクルとお団子にまとめると、ペンを刺して髪を留める。
「さーてと……」
エイダから押し付けられた箱を開けると、緑色のさまざまな大きさと形をしたビーズが煌めいている。
「わぁ……綺麗! ……ふふっ、どんな服につけるんだろうなぁ……。裾かなぁ? 襟につけても可愛いかも? それとも、ウェストのアクセント? 胸元でも映えるなぁ……」
綺麗なビーズを見るだけで、元気がでてくるなんて我ながら単純だとリリアンは思った。
「まぁ、昼ごはんを抜かせば、終わるかな?」
レースとビーズを見比べて結論を出すと、レースの縫い付け作業に戻った。
◇◇
「リリアン……リーリーアーンちゃん!!」
「わぁっ!! びっくりした。エリック、打ち合わせ終わったんだ。お疲れさま」
エリックに耳元で名前を呼ばれて、リリアンは驚いた。
「それ、あの子に押し付けられたのね?」
急ぎの仕事であるレースの取付作業が終わったので、ビーズの仕分けをはじめて熱中してしまっていたようだった。
「うーん……。あの、エイダちゃんは用事があるって……」
「リリアンに押し付けてサボリでしょ? さっき、お昼を買ってきた時に見かけたわよ。オープンカフェで男を侍らせて、のん気にお茶してたわよ。もうお昼過ぎてるわよ。どうせ、作業に夢中になってお昼、食べてないんでしょ? 一旦休憩するわよ」
エリックに手を引かれて、作業台を立つと、部屋の壁際に置いてある木のベンチにエリックと並んで座る。
「ほーんと、あの子にも参ったもんね」
エリックは行儀悪く片膝立ててベンチに座り、立てた膝に体をもたせかけている。どれだけ仕事が忙しくても、いつも飄々としているエリックが疲労している様は珍しい。
「リリアンは大丈夫?」
エリックは無造作に髪紐をほどくと、銀糸のような真っすぐな髪がさらさらとこぼれていく。その銀糸の隙間から、エリックの濃い紫の瞳に見つめられてリリアンはドキっとする。その美しい顔には見慣れているけど、近くで見ると骨格などはちゃんと男の人だ。
「エリックも男の人だったんだ……」
「ふふふ、今までなんだと思ってたのよ? まさかお姉さんとでも思ってたわけ?」
「それは! 初めて会った時は男の人か女の人かわからなかったけど、今はわかってるよ……エリックはその……恩人っていうか、尊敬する人っていうか、家族っていうか……」
エリックは相変わらず、リリアンを直視していて、居心地が悪くなってもごもごと返事をする。
「ふーん? リリアン、ちょっと疲れちゃったから、肩かして?」
「私の肩でよかったらどうぞ!」
リリアンが背筋を正すと、そこへエリックが頭をおろす。
「おもっ!! エリック、無理! ちょっと重いよ!」
手加減せず、そのままエリックが頭をリリアンの肩に下ろしたので、その重さにリリアンはびっくりした。華奢に見えても、エリックとリリアンは体格差がある。
「ふふふ、ふふふっ、ごめんごめん、冗談よ。あーあ、情けないわね。ブラッドリーの事、ヘタレだの、情けないだのって思ってたけど。アタシも大したことないわね。自分の大切な女の子を守ることもできない」
エリックが髪を掻き上げながら、自嘲する。
「たいせつなおんなのこ……?」
「リリアン、大丈夫? 昨日の夕食の時も、今朝のことも。数日のことだってわかっていても、嫌なものは嫌でしょう?」
「………」
いつもみたいに笑って「大丈夫」って言えばいいだけなのに、肩より少し長い髪を下ろしたエリックに真っすぐな目線で問いかけられると、言葉が出てこない。
「リリアン、嫌だって言っていいのよ。泣いていいのよ」
「……っひっく。……嫌だった。母上とエリックの間は私の席なのに……エリックにベタベタしてて嫌だった……エリックにせっかく可愛いって言ってもらえたのに……カリスタ姉さんからもらった髪飾りも……」
リリアンは無理やり涙を飲みこもうとしてしゃくりあげてしまう。エリックの優しい言葉に思わず本音が漏れてしまう。
「上手く、フォローできなくて、ごめんなさいね。辛い思いをさせたわね」
気づいたら、エリックに抱きしめられていた。リリアンの顔が真っ赤になる。
リリアンの幼少期の事も男性との接触が苦手な事も知っていて、エリックは、人一倍リリアンとの距離感を気遣ってくれる人だった。頭を軽く撫でられたり、手を引かれることはあっても、抱きしめられたことは一度もない。驚いて涙も引っ込んでしまった。
でも、エリックに抱きしめられてリリアンに嫌悪感はなかった。嫌悪感どころか、どこか安心するし、なぜかすごくドキドキする。細身だと思っていたエリックだけど、その体は固くて、男の人なんだなぁって思う。
「そろそろ、アタシも意識してもらいたいしね」
「いしき……」
「無害な家族じゃなくて、男の人ってこと。ブラッドリーとマルティナちゃん的なかんじってこと」
「おとこのひと……」
「まぁ、アタシも自覚したのは最近だし、リリアンのペースでゆっくりでいいわよ」
エリックの腕の中で固まるリリアンを見て、エリックはいたずらっぽく笑うと、リリアンを解放してくれた。
まだ、呆然とするリリアンの横で、エリックは手慣れた手つきで自分の髪の毛をまとめると、紙袋を取り出した。
「ホラ、リリアンの好きなサンドイッチ買ってきたから食べましょ。オレンジジュースもあるわよ」
「わーありがとう!」
エリックが買ってきてくれたサンドイッチは、リリアンの好きなチキンとトマトが挟まったもので、お腹がすいていることもあって、おいしく感じる。でも、リリアンの頬のほてりはオレンジジュースを飲んでもしばらく冷めることはなかった。
「あら、ペンで髪をまとめてるのね。おもしろいわね」
「前、カリスタ姉さんがしていて。東方の国でこんな形の髪飾りがあるんだって言っていて。簡単にできるんだよ」
「ふーん、いいじゃない。リリアン、まとめ髪も似合うわね」
昨日からあった胸のチクチクも胃がしくしくするかんじも、エリックと一緒にごはんを食べながらたわいない会話をする間に、いつの間にか消えていた。
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