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番外編
side クリストファーの叔父 甥の妻に本気で恋に落ちた話
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本編のヒーローの叔父視点。過去の話や本編中の心情など。後日談的エピソードはありません。R表現はR15くらい。全一話。
番外編の他視点で語られるその心の内で、本編の出来事の色合いがどんどん変わっていく。かもしれない。
――――――――――――――――
「クリストファーの嫁候補と子どもを作ってくれ」
緊急事態だと、内容も知らされず国に呼び戻された俺に告げた兄の言葉を理解できずにしばらく呆然とした。隣で義姉も涼しい顔をして座っている。
昔から自由奔放で、この国のガチガチの貴族制度とそりの合わなかった俺は次男なのを幸いに、見識を広めるという理由で隣国に留学した。その後、家に帰れとうるさい両親の言葉を無視して、そのまま周辺の国々を放浪し、冒険者などその時々で適当に仕事をして、気ままに暮らした。
兄が公爵家を継ぎ、クリストファーが産まれた後に、両親が馬車の事故で亡くなり、その時はさすがに帰国した。憔悴した兄から、自分に子種がないこととクリストファーが父と義姉の子だと聞かされる。両親が亡くなったことより、その事実の重さに耐えきれず、また家を飛び出した。
それでも、完全には兄の事が忘れられずに、時折顔を出した。クリストファーの出生に関して複雑な気持ちはあるが、お土産を渡すとにこにこするクリストファーは可愛かった。
何度目に会いに行った時だろうか、クリストファーから表情が消えた。お土産を渡しても喜ぶことはもうない。公爵家を継ぐ重さや枷に、気持ちが重くなるが俺にできることはなにもなかった。兄はふらふらする俺に苦言を呈すが、貴族としての責務を放棄している俺を咎めることも締め出すこともなかった。
クリストファーが結婚し、順当に仕事をしているとばかり思っていた俺は兄や義姉から聞く話に眩暈がした。クリストファーの悲劇的な運命に言葉も出ない。なぜ、クリストファーに神は試練ばかり与えるのだろうか? 俺が好き放題生きている間に、真摯に努力を続け、今も公爵家の責任とプレッシャーに耐えているクリストファーに。
俺も公爵家の重さや貴族としての枷から逃げるばかりだったけど、そろそろ腹をくくって、貢献する時が来たのかもしれない。ここで俺が逃げ出したら、クリストファーの嫁候補の子は、兄と寝ることになるだろう。それはいくらなんでも酷な話だ。俺はその話を受けることにした。
誰かこの子を気遣ってあげている人はいるのか?
それがアンジェリカへの第一印象だ。燃えるような赤い髪と、透き通るようなエメラルドグリーンの瞳を持ち、ともすればキツイ印象を与える美女で、成熟した体を持ち、年齢より上に見えた。大人っぽく見えてもまだ十九歳だろ? この状況は酷じゃないか?
実家の侯爵家からは、公爵家との繋がりを得るために、送り込まれ。
公爵家でも、結婚より先に、公爵夫人の仕事をして、子どもを作ることを求められる。
公爵家では、恋焦がれていた相手と寝ることを求められたと思ったら、子種がないから叔父と寝ることを求められる。
そして、恋焦がれる相手は自分を見てくれることはない。
アンジェリカはクリストファーへの恋心を隠しきれていなかった。いつも棘のある言葉を吐きながらも、すがるようにクリストファーを見ている。それは憔悴するクリストファーには逆効果で、どんどん距離を取られている。
案の定、俺と寝るという場面で泣きだした。初めは、同情だった。強気な見た目に反して、心は脆かった。俺にできるのはとにかく、話を聞いて甘やかすことだけだった。
アンジェリカはその拗れた恋心を情熱的な性格をもってして、拗らせていった。
アンジェリカが傷つけるたびに、憔悴するクリストファー。
さらには辺境に幽閉されている第一夫人のアイリーンまで、巻き込んだ。
これまで散々、自由にしていて隠し子までいる俺にクリストファーがアイリーンを求める身勝手な行為を咎めることはできなかった。
クリストファーとアンジェリカの若さ故の視野の狭さと間違った方向へ行く行動力に俺は頭を抱えた。どう考えても、打つ手がなく、ただ見守ることしかできなかった。
それでも、自分勝手に生きてきた俺とは違って、苦しみながらもきちんと自分の責務を全うする二人が健気で、なんとかその想いが報われて、幸せになってほしいと思う。
なぜ、人の気持ちはこんなにままならないのか?
クリストファーの気持ちがアンジェリカに向いていたら、愛し愛される二人として、支え合えたかもしれないのに。
こんなに自分を支えようとがんばってくれて、一途に思ってくれる女がいるのに、なんでクリストファーはその一途さや健気さに気づかないんだ? 頭がからっぽで、自分勝手でただ美しいだけのアイリーンに懸想しているんだ?
アンジェリカは俺の手の中でどれだけ快楽に溺れても、クリストファーへの恋心を手放すことはなかった。
俺だったら……俺がクリストファーだったら、アンジェリカを愛さずにはいられない。そう思った時には、もうアンジェリカに落ちていたのだろう。
初めはクリストファーとなんとか幸せになるように応援する気持ちだったのに、次第に自分の手で幸せにしたい気持ちが勝ってくる。アンジェリカを余計に悩ませたくなくて、そんな態度は見せずに、ただひたすら、彼女を甘やかした。
ついにクリストファーが壊れた。俺はようやく重い腰をあげて、事態の収拾に乗り出した。アイリーンは俺が想像していたような甘ったれではなくて、胆力のある娘で、クリストファーを思う心は本物だった。この子になら、クリストファーを託せる。曲がったことが嫌いだったクリストファーだが、自分の死亡工作という提案にも二つ返事で頷き、俺も公爵家の仕事を手伝っていたこととアンジェリカが優秀であったおかげで、スムーズに公爵家当主を引き継ぐことができた。
兄には事が終わるまで知らせなかったので、事の顛末に驚いていたが、特に意見することはなかった。
そして、同情から始まって、拗れた恋心を見守り、デロデロに甘やかしていたアンジェリカにいつの間にか夢中になっていた俺は、ちゃんとした夫婦になった。
ハッキリ言って、公爵家当主なんて、色々な経験を積んで年を重ねた俺にも重たい。
だいたい、ひとところに腰を押し付けて暮らすなんて性に合わない。
この国の貴族制度に風穴を開けるなんて宣ったけど、道のりは長い。
それでも、それを乗り越えてもいいかなって思えるぐらい、アンジェリカを愛してしまったのだから仕方ない。
元夫と元第一夫人に、俺のことをのろけるアンジェリカに、笑みが零れる。なんか色々あったけど、こんな人生も悪くない。
これが、甥(正確には弟)の元嫁を愛してしまった俺の話。
【叔父side end】
番外編の他視点で語られるその心の内で、本編の出来事の色合いがどんどん変わっていく。かもしれない。
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「クリストファーの嫁候補と子どもを作ってくれ」
緊急事態だと、内容も知らされず国に呼び戻された俺に告げた兄の言葉を理解できずにしばらく呆然とした。隣で義姉も涼しい顔をして座っている。
昔から自由奔放で、この国のガチガチの貴族制度とそりの合わなかった俺は次男なのを幸いに、見識を広めるという理由で隣国に留学した。その後、家に帰れとうるさい両親の言葉を無視して、そのまま周辺の国々を放浪し、冒険者などその時々で適当に仕事をして、気ままに暮らした。
兄が公爵家を継ぎ、クリストファーが産まれた後に、両親が馬車の事故で亡くなり、その時はさすがに帰国した。憔悴した兄から、自分に子種がないこととクリストファーが父と義姉の子だと聞かされる。両親が亡くなったことより、その事実の重さに耐えきれず、また家を飛び出した。
それでも、完全には兄の事が忘れられずに、時折顔を出した。クリストファーの出生に関して複雑な気持ちはあるが、お土産を渡すとにこにこするクリストファーは可愛かった。
何度目に会いに行った時だろうか、クリストファーから表情が消えた。お土産を渡しても喜ぶことはもうない。公爵家を継ぐ重さや枷に、気持ちが重くなるが俺にできることはなにもなかった。兄はふらふらする俺に苦言を呈すが、貴族としての責務を放棄している俺を咎めることも締め出すこともなかった。
クリストファーが結婚し、順当に仕事をしているとばかり思っていた俺は兄や義姉から聞く話に眩暈がした。クリストファーの悲劇的な運命に言葉も出ない。なぜ、クリストファーに神は試練ばかり与えるのだろうか? 俺が好き放題生きている間に、真摯に努力を続け、今も公爵家の責任とプレッシャーに耐えているクリストファーに。
俺も公爵家の重さや貴族としての枷から逃げるばかりだったけど、そろそろ腹をくくって、貢献する時が来たのかもしれない。ここで俺が逃げ出したら、クリストファーの嫁候補の子は、兄と寝ることになるだろう。それはいくらなんでも酷な話だ。俺はその話を受けることにした。
誰かこの子を気遣ってあげている人はいるのか?
それがアンジェリカへの第一印象だ。燃えるような赤い髪と、透き通るようなエメラルドグリーンの瞳を持ち、ともすればキツイ印象を与える美女で、成熟した体を持ち、年齢より上に見えた。大人っぽく見えてもまだ十九歳だろ? この状況は酷じゃないか?
実家の侯爵家からは、公爵家との繋がりを得るために、送り込まれ。
公爵家でも、結婚より先に、公爵夫人の仕事をして、子どもを作ることを求められる。
公爵家では、恋焦がれていた相手と寝ることを求められたと思ったら、子種がないから叔父と寝ることを求められる。
そして、恋焦がれる相手は自分を見てくれることはない。
アンジェリカはクリストファーへの恋心を隠しきれていなかった。いつも棘のある言葉を吐きながらも、すがるようにクリストファーを見ている。それは憔悴するクリストファーには逆効果で、どんどん距離を取られている。
案の定、俺と寝るという場面で泣きだした。初めは、同情だった。強気な見た目に反して、心は脆かった。俺にできるのはとにかく、話を聞いて甘やかすことだけだった。
アンジェリカはその拗れた恋心を情熱的な性格をもってして、拗らせていった。
アンジェリカが傷つけるたびに、憔悴するクリストファー。
さらには辺境に幽閉されている第一夫人のアイリーンまで、巻き込んだ。
これまで散々、自由にしていて隠し子までいる俺にクリストファーがアイリーンを求める身勝手な行為を咎めることはできなかった。
クリストファーとアンジェリカの若さ故の視野の狭さと間違った方向へ行く行動力に俺は頭を抱えた。どう考えても、打つ手がなく、ただ見守ることしかできなかった。
それでも、自分勝手に生きてきた俺とは違って、苦しみながらもきちんと自分の責務を全うする二人が健気で、なんとかその想いが報われて、幸せになってほしいと思う。
なぜ、人の気持ちはこんなにままならないのか?
クリストファーの気持ちがアンジェリカに向いていたら、愛し愛される二人として、支え合えたかもしれないのに。
こんなに自分を支えようとがんばってくれて、一途に思ってくれる女がいるのに、なんでクリストファーはその一途さや健気さに気づかないんだ? 頭がからっぽで、自分勝手でただ美しいだけのアイリーンに懸想しているんだ?
アンジェリカは俺の手の中でどれだけ快楽に溺れても、クリストファーへの恋心を手放すことはなかった。
俺だったら……俺がクリストファーだったら、アンジェリカを愛さずにはいられない。そう思った時には、もうアンジェリカに落ちていたのだろう。
初めはクリストファーとなんとか幸せになるように応援する気持ちだったのに、次第に自分の手で幸せにしたい気持ちが勝ってくる。アンジェリカを余計に悩ませたくなくて、そんな態度は見せずに、ただひたすら、彼女を甘やかした。
ついにクリストファーが壊れた。俺はようやく重い腰をあげて、事態の収拾に乗り出した。アイリーンは俺が想像していたような甘ったれではなくて、胆力のある娘で、クリストファーを思う心は本物だった。この子になら、クリストファーを託せる。曲がったことが嫌いだったクリストファーだが、自分の死亡工作という提案にも二つ返事で頷き、俺も公爵家の仕事を手伝っていたこととアンジェリカが優秀であったおかげで、スムーズに公爵家当主を引き継ぐことができた。
兄には事が終わるまで知らせなかったので、事の顛末に驚いていたが、特に意見することはなかった。
そして、同情から始まって、拗れた恋心を見守り、デロデロに甘やかしていたアンジェリカにいつの間にか夢中になっていた俺は、ちゃんとした夫婦になった。
ハッキリ言って、公爵家当主なんて、色々な経験を積んで年を重ねた俺にも重たい。
だいたい、ひとところに腰を押し付けて暮らすなんて性に合わない。
この国の貴族制度に風穴を開けるなんて宣ったけど、道のりは長い。
それでも、それを乗り越えてもいいかなって思えるぐらい、アンジェリカを愛してしまったのだから仕方ない。
元夫と元第一夫人に、俺のことをのろけるアンジェリカに、笑みが零れる。なんか色々あったけど、こんな人生も悪くない。
これが、甥(正確には弟)の元嫁を愛してしまった俺の話。
【叔父side end】
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