43 / 46
番外編
side アンジェリカ① それは刷り込みに近い恋だった
しおりを挟む
本編の当て馬、アンジェリカ視点。幼少期の話や本編中の心情など。後日談的エピソードはありません。R表現はR18くらい。Rは淡々とあっさり。全三話。
番外編の他視点で語られるその心の内で、本編の出来事の色合いがどんどん変わっていく。かもしれない。
――――――――――――――――
「お前はレッドフォード公爵夫人になるために生まれてきたんだ」
それは刷り込みに近い恋心だったのかもしれない。アンジェリカは物心つく前から、父に繰り返し繰り返し、言い聞かされていた。
クリストファーを一目見て、すぐに恋に落ちた。すらりとしていて、背が高く、まるで王族のように美しい髪と瞳が輝き、顔立ちもすっきりと整っている。美しい容姿に加えて、人を寄せ付けない冷たい態度といつも変わらない無表情な顔がさらに魅力を引き立てていた。その外見に違わず、正義感や責任感が強く、勉学も優秀で、高位貴族の子息にありがちな親の脛をかじってチャラチャラしている者達と一線を画していた。
彼の目に少しでも映りたくて、アンジェリカも一生懸命努力して、外見や所作を磨き上げ、勉学に励んだ。少しでもクリストファーと話せた日は、うれしくて、その内容を何度も反芻した。
クリストファーの伴侶になりそうな高位貴族の令嬢の中で、アンジェリカは容姿も優秀さも飛びぬけていた。クリストファーの婚約者になれることを疑っていなかった。婚約者となり堂々と隣に立てる日を心待ちにしていた。それなのに、婚約者になったのは伯爵令嬢であるアイリーンだった。ずっと自分のものだと思っていた彼の隣は他の女のものになった。
「学園の入学試験で、スコールズの娘に負けたそうだな? それが決め手だったそうだ。新しい風を入れたかったそうだ。……まだ、わからないからな。伯爵家の小娘なんぞ、隙を見つけて追い落とせ、わかったな、アンジェリカ。公爵夫人になるのはお前だ」
父に言われて、アンジェリカは悔しくてギリギリと歯をかみしめる。
社交界では、アイリーンの美しさと優秀さが噂になっていたが、アンジェリカはどこかアイリーンを侮っていた。少し脅したり、嫌がらせをすれば音をあげるかと思ったのに、男女問わず魅了していき、その信望者達に阻まれる。本人に苦言を呈しても、おっとりとした外見とは違い、なかなか図太い。
なにより、アンジェリカを焦らせたのは、クリストファーの態度だった。ずっとクリストファーを見ていたアンジェリカにはその変化がわかった。一見、義務感から婚約者として最低限の事をしているように見えた。エスコートは最低限だし、独占欲を露わにして自分の髪や瞳の色をアイリーンにまとわせることもない。
いつも表情を変えない彼が、アイリーンの隣にいるときは、目尻が少し下がったり、頬がほんのりゆるんだりしている。他の人は気づかないであろう、わずかな表情の揺れ。決定的だったのは、歌劇の観劇でかち合った時で、遠目から見た公爵家のボックス席で目を輝かせて観劇するアイリーンを歌劇を見ることなく、うっとりと見つめていた。
そして、自信のあった学業でもアイリーンに勝つことはできなかった。外見、所作、学業、人望、そしてクリストファーの寵愛、全てを持っていた。彼女には死角がなかった。アンジェリカの自信がガラガラと崩れていく。
「時を待つんだ。完璧なものほど崩れる時は早い。公爵夫人になるのは、お前だ、アンジェリカ」
それなのに、父は未だにレッドフォード公爵家に食い込む野心を捨てられずに、アンジェリカは彼への恋心を諦めることすら許されない。ままならない現実にどこか疲れ切っていたんだと思う。とある夜会で、彼に似た面影のある既婚者と寝た。父に内緒で避妊薬を手に入れ、それからは寂しさを埋めるように、色々な人と関係を持った。それでも一時の温もりは得られても心は満たされなかった。
学園の卒業式、結婚式……とクリストファーとアイリーンがきらきらと輝き称賛されるのを他人事のように見守った。そろそろ、父も諦めて、自分の進退も決まるだろうと覚悟を決めた頃、父に呼び出された。そこにはなぜか渋い顔をしたレッドフォード公爵とほほ笑むレッドフォード公爵夫人がいた。
「アンジェリカ、喜べ、お前は今日からレッドフォード次期公爵の秘書になった。ゆくゆくは第二夫人になれることは約束されている。しっかり務めるんだぞ」
公爵夫婦からも父からも、詳しい説明も、懇願も謝罪もなく、アンジェリカは公爵邸へと連れて行かれた。そこには、新婚だと思えないほど、憔悴したクリストファーがいた。こんな時なのに、久々に彼を近くで見られたことに、胸がときめく。
「こんなことになって申し訳ない。アンジェリカ、君の力が公爵家には必要なんだ。力を貸してほしい。こちらも君が不自由なく暮らせるように手筈を整えるから、なんでも言ってほしい」
次期公爵がこんなに簡単に人に頭を下げてはいけない。そんな事はクリストファーも承知だろうに、謝る誠実さにまた、胸がきゅっと苦しくなる。なにがあったのかはわからないが、アイリーンが次期公爵夫人の座から転落し、アンジェリカが選出されたのだろう。もしかしたら、このままクリストファーを支えていったら、歩み寄って、愛し愛される夫婦になれるかもしれない。アンジェリカの胸に小さな希望が灯った。
公爵夫人から、昼間は公爵夫人の仕事をし、夜は閨を共にするように言われた。子どもができたら、結婚して第二夫人になれるらしい。侍女達にぴかぴかに磨き上げられて、顔がにやけるのを止められない。父の言う通りだったわ。本当にクリストファーと夫婦になれるかもしれない。こんなことなら、簡単に純潔を捨てるんじゃなかった。
「母から聞いているかもしれないが、今日から閨を共にすることになった。結婚したわけでもないのに、すまない。できるだけ、痛みのないようすぐに終わらせる」
浮かれる気持ちで寝室に向かうと、クリストファーは隙なく夜着をまとい、アンジェリカに告げた。その表情は他人に向けるのと変わらないいつもの冷めたもの。露出の多いランジェリーに、艶のあるテロンとしたガウンを羽織ったアンジェリカはとたんに自分が恥ずかしくなった。
「もし、気分が乗らないなら、今日はなにもしない。君の心の準備ができるまで待つよ」
アンジェリカの一瞬の沈黙を別の意味に取ったのか、クリストファーが言葉を続ける。この人は、どれだけ恋焦がれていたのかわかっていない。肌を合わせることをどれだけ楽しみにしていたのかわかっていない。怒りに駆られて、アンジェリカはクリストファーの前をくつろげると、クリストファーのものを取り出して、舐めようとした。
「やめてくれ!」
悲鳴のようなクリストファーの声が響き、アンジェリカの体が押しのけられる。そこにはアンジェリカへの明らかな拒絶があった。
「すまない。あまり、こういった親密な行為は得意ではないんだ。大丈夫ならはじめてもいいか」
アンジェリカは呆然として、頷いた。
クリストファーはキスをすることも、お互いのガウンや夜着をはだけさせることもなく、アンジェリカを反転させると、背後から少しアンジェリカの入口を指でほぐすと、そこに潤滑油を塗り込み、自分のものをしごいて入れた。沈黙のうちに、クリストファーが腰を振り果てた。キスもない、前戯もない、肌の触れ合いもない。ただ機械的な行為だった。夜を共にしたのに、アンジェリカから距離をとり背を向けて眠る彼を見て、余計に距離が遠くなったように感じられた。
番外編の他視点で語られるその心の内で、本編の出来事の色合いがどんどん変わっていく。かもしれない。
――――――――――――――――
「お前はレッドフォード公爵夫人になるために生まれてきたんだ」
それは刷り込みに近い恋心だったのかもしれない。アンジェリカは物心つく前から、父に繰り返し繰り返し、言い聞かされていた。
クリストファーを一目見て、すぐに恋に落ちた。すらりとしていて、背が高く、まるで王族のように美しい髪と瞳が輝き、顔立ちもすっきりと整っている。美しい容姿に加えて、人を寄せ付けない冷たい態度といつも変わらない無表情な顔がさらに魅力を引き立てていた。その外見に違わず、正義感や責任感が強く、勉学も優秀で、高位貴族の子息にありがちな親の脛をかじってチャラチャラしている者達と一線を画していた。
彼の目に少しでも映りたくて、アンジェリカも一生懸命努力して、外見や所作を磨き上げ、勉学に励んだ。少しでもクリストファーと話せた日は、うれしくて、その内容を何度も反芻した。
クリストファーの伴侶になりそうな高位貴族の令嬢の中で、アンジェリカは容姿も優秀さも飛びぬけていた。クリストファーの婚約者になれることを疑っていなかった。婚約者となり堂々と隣に立てる日を心待ちにしていた。それなのに、婚約者になったのは伯爵令嬢であるアイリーンだった。ずっと自分のものだと思っていた彼の隣は他の女のものになった。
「学園の入学試験で、スコールズの娘に負けたそうだな? それが決め手だったそうだ。新しい風を入れたかったそうだ。……まだ、わからないからな。伯爵家の小娘なんぞ、隙を見つけて追い落とせ、わかったな、アンジェリカ。公爵夫人になるのはお前だ」
父に言われて、アンジェリカは悔しくてギリギリと歯をかみしめる。
社交界では、アイリーンの美しさと優秀さが噂になっていたが、アンジェリカはどこかアイリーンを侮っていた。少し脅したり、嫌がらせをすれば音をあげるかと思ったのに、男女問わず魅了していき、その信望者達に阻まれる。本人に苦言を呈しても、おっとりとした外見とは違い、なかなか図太い。
なにより、アンジェリカを焦らせたのは、クリストファーの態度だった。ずっとクリストファーを見ていたアンジェリカにはその変化がわかった。一見、義務感から婚約者として最低限の事をしているように見えた。エスコートは最低限だし、独占欲を露わにして自分の髪や瞳の色をアイリーンにまとわせることもない。
いつも表情を変えない彼が、アイリーンの隣にいるときは、目尻が少し下がったり、頬がほんのりゆるんだりしている。他の人は気づかないであろう、わずかな表情の揺れ。決定的だったのは、歌劇の観劇でかち合った時で、遠目から見た公爵家のボックス席で目を輝かせて観劇するアイリーンを歌劇を見ることなく、うっとりと見つめていた。
そして、自信のあった学業でもアイリーンに勝つことはできなかった。外見、所作、学業、人望、そしてクリストファーの寵愛、全てを持っていた。彼女には死角がなかった。アンジェリカの自信がガラガラと崩れていく。
「時を待つんだ。完璧なものほど崩れる時は早い。公爵夫人になるのは、お前だ、アンジェリカ」
それなのに、父は未だにレッドフォード公爵家に食い込む野心を捨てられずに、アンジェリカは彼への恋心を諦めることすら許されない。ままならない現実にどこか疲れ切っていたんだと思う。とある夜会で、彼に似た面影のある既婚者と寝た。父に内緒で避妊薬を手に入れ、それからは寂しさを埋めるように、色々な人と関係を持った。それでも一時の温もりは得られても心は満たされなかった。
学園の卒業式、結婚式……とクリストファーとアイリーンがきらきらと輝き称賛されるのを他人事のように見守った。そろそろ、父も諦めて、自分の進退も決まるだろうと覚悟を決めた頃、父に呼び出された。そこにはなぜか渋い顔をしたレッドフォード公爵とほほ笑むレッドフォード公爵夫人がいた。
「アンジェリカ、喜べ、お前は今日からレッドフォード次期公爵の秘書になった。ゆくゆくは第二夫人になれることは約束されている。しっかり務めるんだぞ」
公爵夫婦からも父からも、詳しい説明も、懇願も謝罪もなく、アンジェリカは公爵邸へと連れて行かれた。そこには、新婚だと思えないほど、憔悴したクリストファーがいた。こんな時なのに、久々に彼を近くで見られたことに、胸がときめく。
「こんなことになって申し訳ない。アンジェリカ、君の力が公爵家には必要なんだ。力を貸してほしい。こちらも君が不自由なく暮らせるように手筈を整えるから、なんでも言ってほしい」
次期公爵がこんなに簡単に人に頭を下げてはいけない。そんな事はクリストファーも承知だろうに、謝る誠実さにまた、胸がきゅっと苦しくなる。なにがあったのかはわからないが、アイリーンが次期公爵夫人の座から転落し、アンジェリカが選出されたのだろう。もしかしたら、このままクリストファーを支えていったら、歩み寄って、愛し愛される夫婦になれるかもしれない。アンジェリカの胸に小さな希望が灯った。
公爵夫人から、昼間は公爵夫人の仕事をし、夜は閨を共にするように言われた。子どもができたら、結婚して第二夫人になれるらしい。侍女達にぴかぴかに磨き上げられて、顔がにやけるのを止められない。父の言う通りだったわ。本当にクリストファーと夫婦になれるかもしれない。こんなことなら、簡単に純潔を捨てるんじゃなかった。
「母から聞いているかもしれないが、今日から閨を共にすることになった。結婚したわけでもないのに、すまない。できるだけ、痛みのないようすぐに終わらせる」
浮かれる気持ちで寝室に向かうと、クリストファーは隙なく夜着をまとい、アンジェリカに告げた。その表情は他人に向けるのと変わらないいつもの冷めたもの。露出の多いランジェリーに、艶のあるテロンとしたガウンを羽織ったアンジェリカはとたんに自分が恥ずかしくなった。
「もし、気分が乗らないなら、今日はなにもしない。君の心の準備ができるまで待つよ」
アンジェリカの一瞬の沈黙を別の意味に取ったのか、クリストファーが言葉を続ける。この人は、どれだけ恋焦がれていたのかわかっていない。肌を合わせることをどれだけ楽しみにしていたのかわかっていない。怒りに駆られて、アンジェリカはクリストファーの前をくつろげると、クリストファーのものを取り出して、舐めようとした。
「やめてくれ!」
悲鳴のようなクリストファーの声が響き、アンジェリカの体が押しのけられる。そこにはアンジェリカへの明らかな拒絶があった。
「すまない。あまり、こういった親密な行為は得意ではないんだ。大丈夫ならはじめてもいいか」
アンジェリカは呆然として、頷いた。
クリストファーはキスをすることも、お互いのガウンや夜着をはだけさせることもなく、アンジェリカを反転させると、背後から少しアンジェリカの入口を指でほぐすと、そこに潤滑油を塗り込み、自分のものをしごいて入れた。沈黙のうちに、クリストファーが腰を振り果てた。キスもない、前戯もない、肌の触れ合いもない。ただ機械的な行為だった。夜を共にしたのに、アンジェリカから距離をとり背を向けて眠る彼を見て、余計に距離が遠くなったように感じられた。
3
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる