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番外編
side クリストファー④ クズな夫と妻の歪な関係
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それはアイリーンを思ってしたことだった。
アイリーンの母はアイリーンを公爵領の片隅の屋敷へ幽閉して、すぐに亡くなっている。その頃にはクリストファーも余裕がなく、アイリーンに知らせることも対応することもできなかった。五年も経っているが、墓参りくらいはしたいだろうと、気軽な気持ちで母親の墓のあるアイリーンの実家の伯爵領へ連れて行った。
そこで、母親の死を告げると、アイリーンは錯乱した。突然現れた父親に正気を取り戻したが、その日はどこか様子がおかしかった。馬車の中で自分からキスをして、腰を振る。アイリーンに求められて、嬉しかった。でも、クリストファーに縋る必死な様子に次第に胸がざわめいてくる。
確かに、アイリーンはただ周りからの称賛を求め、妹を利用し、虐げていた。それは、許されることではない。
でも、アイリーンも実家の伯爵家で孤独だったのだろうか? 自分に関心のない両親。そして、最低限の事しかしない婚約者。
実家の伯爵家は、アイリーンの妹の告発で父親は無関心で、母親は子どもの世話を禄にせず、虐げていたことが明らかになった。貴族としても、親としても失格だ。クリストファーは両親からのプレッシャーや厳しい教育はあったが、同時にきちんと目をかけてもらえていた。両親は折りに触れ、アドバイスをくれたし、支えてくれた。
アイリーンには今、縋る相手はクリストファーしかいない。ボロボロと涙を零すアイリーンを抱きしめることしかできない。本当は、クリストファーがアイリーンを手放して、家令のダンの言うように、国外へと嫁がせた方がアイリーンは幸せになれるのかもしれない。でも、クリストファーは自分の手の中にある温もりを手放すことはできなかった。
◇◇
アイリーンの元へと通い始めた頃は、公爵邸はアンジェリカの懐妊に浮足たっていたこともあり、クリストファーの行動を見咎められることはなかった。しかし、回数を重ね、数カ月が経つ頃には、アンジェリカや秘書達からチクチクと諫められるようになった。
わかっている。わかっている。頭ではわかっているんだ。
第二夫人が再び懐妊した今、第一夫人の元へ夫がせっせと向かうことを周りがどう思うかなんて。それが、再び公爵家の醜聞になることなんてわかっているんだ。
でも、みんな好き勝手に生きているのになぜ、私だけが我慢しなければいけないんだ?
なぜ、私だけはだめなんだ? 一つくらい我儘を通してもいいじゃないか。
自分に言い訳をして、アイリーンの元へと通うことを止める事はなかった。
「あなたって本当にどうしようもないのね。未だに自分だけ、被害者だって思ってるんでしょう? いい加減、公爵家当主としての自覚を持ったらどうなの? 確かに、あの子って未だに男を惹きつける容姿をしているものね。それとも、あっちの方がいいのかしら?」
アンジェリカが冷ややかにクリストファーを見る。アンジェリカがこういう眼をする時は、クリストファーにとどめを刺そうとする時だ。アンジェリカがわざわざ辺境の村のアイリーンのところまで行き、狼藉を働いたことはアイリーンを幽閉している屋敷の家令のダンから聞いている。それは正当な怒りなので、クリストファーには諫めることはできない。そのことを隠す気もないようだ。
「本当に身勝手な一族よね。ねぇ、知っていた? あなたって、お祖父さまとお義母さまの子どもなのよ。ふふっ。おぞましいわね。子種がないなら、諦めればいいのに、貪欲に血を繋いでいるのね。本当に、アイリーンがまともに公爵夫人として仕事をしていてくれたら、あの子が叔父さんと寝て子どもを生んでくれていたのにね。私、こんな家に嫁ぐぐらいなら、どこかの後妻に入っていた方がマシだったわ」
アンジェリカの紡ぐ言葉は毒のようにクリストファーに染み込んでいった。それを理解するのに時間がかかった。
自分は父と母の子どもではなくて、祖父と母の子ども?
父も自分と同じように子種がなかったのか?
自分の足元がグラグラ揺れる気がする。
少し大きくなってきたお腹を撫でながら、クリストファーを眺めるアンジェリカに言葉を返すこともなく、屋敷を飛び出す。頭上に広がる黒い雲がまるで自分の心を現しているかのようだった。
「お母様、アンジェリカが私は、お祖父さまとお母様の子どもだと言っていましたが、本当ですか?」
「クリストファー、前触れも伴もなく、公爵家当主が移動してはいけませんよ。なんですか、不躾に。それは事実だけど、なにか問題があるかしら? それくらい高位貴族では珍しくもない話よ。アンジェリカの子どものことも聞いているんでしょ? 公爵家では、血を継ぐことがなにより大切なのよ。まだ、男に問題があると認めるだけいい家じゃない。子種がないのに、次から次へと女をあてがわれたら、そちらの方が地獄じゃないかしら? ああ、アンジェリカに子どものこと、提案したのも、引き合わせたのも私よ。恨むなら私を恨みなさい。それに、あなたも公爵家の血を間違いなく引いているのだから問題なんてないでしょう?」
なんてことないように話す母が、まるで別の生き物のように思える。それくらい自分の出生は軽いのか?
「このこと、お父様は……?」
「もちろん、知ってるわよ。あの人だって、なんとも思ってないわよ。私だって、男が嫌いだし、相手が誰でもいいのよ。閨事が嫌な事に変わりないの。あなたも、公爵家の当主を引退してから、好きになさい」
「お母様は私のこと、自分の子どもだと思っていますか?」
「なにを言っているの? あなたは私の子どもじゃなくて、公爵家の子でしょ。そう思って育てたつもりだけど? 今は悩むこともあるかもしれないけど、今だけのことよ。貴族の責務だと思って、我慢なさい」
なぜ、父や母やアンジェリカや叔父は、受け入れられるのか?
公爵家のためだと、貴族の責務だと、当然のものだと思えるのか?
いちいち、心が引き裂かれそうになる自分が弱いのか?
いくら仕事を詰め込んで、無表情を装っても、どうしても心や感情を消せない。
呆然として、馬に跨る。公爵邸へと向けていた鼻先を変えた。自分の立場も責任も何もかも吹き飛んで、馬を走らせる。どこかで雷が鳴り、雨がしとしとと降り始めた。雨で前が禄に見えないし、乗馬服も雨を含んで重たい。それでも、ひたすら、馬を前へ前へと進めた。
辺境の村に着く頃には、雨風がひどくなっていた。この悪天候の中、無事たどり着けたことは奇跡的なことなのだろう。迎えてくれた家令のダンに押し付けるように馬を預けると、アイリーンの部屋へ駆け込んだ。
暖炉の前でしゃがみこんでまどろむアイリーンの姿にほっとする。ここだけはクリストファーの温かくて安全な世界だ。そう感じた。
自分の悲劇に酔いしれるクリストファーを泥のような底なしの思考から掬い上げてくれたのはアイリーンだった。いつものように憎まれ口を叩かれてほっとする。そして、その中にアイリーンの思いやりを感じる。
アイリーンに会えて、体をさっぱりさせたことで、ほっとしてすぐに眠りに落ちる。浅い眠りの中で、アイリーンの声が聞こえて、うっすらと目を開ける。ベッドに半身を起こして、静かに涙を流して、懺悔するように自問自答するアイリーンが綺麗でしばし見惚れた。たまらない気持ちになって、キスをする。
どうしたら、私の気持ちが伝わるんだ?
君が必要で、ずっと求めていて、ただ居てくれるだけでいいのに。
ただ、お互いを埋め合うように抱き合った。アイリーンとする時は、お互い服を着ていたから、裸で抱き合うのは初めてで、その素肌の温もりと心地よさに心が満たされていく。ただ、傷ついた気持ちを埋めたくて、アイリーンを求めた。公爵家のことも自分の立場も責任も考えずに、そんな自分勝手なクリストファーに罰が下されることになる。
アイリーンの母はアイリーンを公爵領の片隅の屋敷へ幽閉して、すぐに亡くなっている。その頃にはクリストファーも余裕がなく、アイリーンに知らせることも対応することもできなかった。五年も経っているが、墓参りくらいはしたいだろうと、気軽な気持ちで母親の墓のあるアイリーンの実家の伯爵領へ連れて行った。
そこで、母親の死を告げると、アイリーンは錯乱した。突然現れた父親に正気を取り戻したが、その日はどこか様子がおかしかった。馬車の中で自分からキスをして、腰を振る。アイリーンに求められて、嬉しかった。でも、クリストファーに縋る必死な様子に次第に胸がざわめいてくる。
確かに、アイリーンはただ周りからの称賛を求め、妹を利用し、虐げていた。それは、許されることではない。
でも、アイリーンも実家の伯爵家で孤独だったのだろうか? 自分に関心のない両親。そして、最低限の事しかしない婚約者。
実家の伯爵家は、アイリーンの妹の告発で父親は無関心で、母親は子どもの世話を禄にせず、虐げていたことが明らかになった。貴族としても、親としても失格だ。クリストファーは両親からのプレッシャーや厳しい教育はあったが、同時にきちんと目をかけてもらえていた。両親は折りに触れ、アドバイスをくれたし、支えてくれた。
アイリーンには今、縋る相手はクリストファーしかいない。ボロボロと涙を零すアイリーンを抱きしめることしかできない。本当は、クリストファーがアイリーンを手放して、家令のダンの言うように、国外へと嫁がせた方がアイリーンは幸せになれるのかもしれない。でも、クリストファーは自分の手の中にある温もりを手放すことはできなかった。
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アイリーンの元へと通い始めた頃は、公爵邸はアンジェリカの懐妊に浮足たっていたこともあり、クリストファーの行動を見咎められることはなかった。しかし、回数を重ね、数カ月が経つ頃には、アンジェリカや秘書達からチクチクと諫められるようになった。
わかっている。わかっている。頭ではわかっているんだ。
第二夫人が再び懐妊した今、第一夫人の元へ夫がせっせと向かうことを周りがどう思うかなんて。それが、再び公爵家の醜聞になることなんてわかっているんだ。
でも、みんな好き勝手に生きているのになぜ、私だけが我慢しなければいけないんだ?
なぜ、私だけはだめなんだ? 一つくらい我儘を通してもいいじゃないか。
自分に言い訳をして、アイリーンの元へと通うことを止める事はなかった。
「あなたって本当にどうしようもないのね。未だに自分だけ、被害者だって思ってるんでしょう? いい加減、公爵家当主としての自覚を持ったらどうなの? 確かに、あの子って未だに男を惹きつける容姿をしているものね。それとも、あっちの方がいいのかしら?」
アンジェリカが冷ややかにクリストファーを見る。アンジェリカがこういう眼をする時は、クリストファーにとどめを刺そうとする時だ。アンジェリカがわざわざ辺境の村のアイリーンのところまで行き、狼藉を働いたことはアイリーンを幽閉している屋敷の家令のダンから聞いている。それは正当な怒りなので、クリストファーには諫めることはできない。そのことを隠す気もないようだ。
「本当に身勝手な一族よね。ねぇ、知っていた? あなたって、お祖父さまとお義母さまの子どもなのよ。ふふっ。おぞましいわね。子種がないなら、諦めればいいのに、貪欲に血を繋いでいるのね。本当に、アイリーンがまともに公爵夫人として仕事をしていてくれたら、あの子が叔父さんと寝て子どもを生んでくれていたのにね。私、こんな家に嫁ぐぐらいなら、どこかの後妻に入っていた方がマシだったわ」
アンジェリカの紡ぐ言葉は毒のようにクリストファーに染み込んでいった。それを理解するのに時間がかかった。
自分は父と母の子どもではなくて、祖父と母の子ども?
父も自分と同じように子種がなかったのか?
自分の足元がグラグラ揺れる気がする。
少し大きくなってきたお腹を撫でながら、クリストファーを眺めるアンジェリカに言葉を返すこともなく、屋敷を飛び出す。頭上に広がる黒い雲がまるで自分の心を現しているかのようだった。
「お母様、アンジェリカが私は、お祖父さまとお母様の子どもだと言っていましたが、本当ですか?」
「クリストファー、前触れも伴もなく、公爵家当主が移動してはいけませんよ。なんですか、不躾に。それは事実だけど、なにか問題があるかしら? それくらい高位貴族では珍しくもない話よ。アンジェリカの子どものことも聞いているんでしょ? 公爵家では、血を継ぐことがなにより大切なのよ。まだ、男に問題があると認めるだけいい家じゃない。子種がないのに、次から次へと女をあてがわれたら、そちらの方が地獄じゃないかしら? ああ、アンジェリカに子どものこと、提案したのも、引き合わせたのも私よ。恨むなら私を恨みなさい。それに、あなたも公爵家の血を間違いなく引いているのだから問題なんてないでしょう?」
なんてことないように話す母が、まるで別の生き物のように思える。それくらい自分の出生は軽いのか?
「このこと、お父様は……?」
「もちろん、知ってるわよ。あの人だって、なんとも思ってないわよ。私だって、男が嫌いだし、相手が誰でもいいのよ。閨事が嫌な事に変わりないの。あなたも、公爵家の当主を引退してから、好きになさい」
「お母様は私のこと、自分の子どもだと思っていますか?」
「なにを言っているの? あなたは私の子どもじゃなくて、公爵家の子でしょ。そう思って育てたつもりだけど? 今は悩むこともあるかもしれないけど、今だけのことよ。貴族の責務だと思って、我慢なさい」
なぜ、父や母やアンジェリカや叔父は、受け入れられるのか?
公爵家のためだと、貴族の責務だと、当然のものだと思えるのか?
いちいち、心が引き裂かれそうになる自分が弱いのか?
いくら仕事を詰め込んで、無表情を装っても、どうしても心や感情を消せない。
呆然として、馬に跨る。公爵邸へと向けていた鼻先を変えた。自分の立場も責任も何もかも吹き飛んで、馬を走らせる。どこかで雷が鳴り、雨がしとしとと降り始めた。雨で前が禄に見えないし、乗馬服も雨を含んで重たい。それでも、ひたすら、馬を前へ前へと進めた。
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暖炉の前でしゃがみこんでまどろむアイリーンの姿にほっとする。ここだけはクリストファーの温かくて安全な世界だ。そう感じた。
自分の悲劇に酔いしれるクリストファーを泥のような底なしの思考から掬い上げてくれたのはアイリーンだった。いつものように憎まれ口を叩かれてほっとする。そして、その中にアイリーンの思いやりを感じる。
アイリーンに会えて、体をさっぱりさせたことで、ほっとしてすぐに眠りに落ちる。浅い眠りの中で、アイリーンの声が聞こえて、うっすらと目を開ける。ベッドに半身を起こして、静かに涙を流して、懺悔するように自問自答するアイリーンが綺麗でしばし見惚れた。たまらない気持ちになって、キスをする。
どうしたら、私の気持ちが伝わるんだ?
君が必要で、ずっと求めていて、ただ居てくれるだけでいいのに。
ただ、お互いを埋め合うように抱き合った。アイリーンとする時は、お互い服を着ていたから、裸で抱き合うのは初めてで、その素肌の温もりと心地よさに心が満たされていく。ただ、傷ついた気持ちを埋めたくて、アイリーンを求めた。公爵家のことも自分の立場も責任も考えずに、そんな自分勝手なクリストファーに罰が下されることになる。
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