【完結】私は生きていてもいいのかしら? ~三姉妹の中で唯一クズだった私~【R18】

紺青

文字の大きさ
上 下
30 / 46
2 夫と再会した後の私のそれから

16 夫と自分の歪な関係を清算する時

しおりを挟む
 嵐の日にやって来たクリストファーは、翌日から高熱を出して寝込んだ。王都の公爵邸から雨の中、馬で駆けてきて、さらにアイリーンを朝方まで抱いていたせいかもしれない。都合のいい事に、近くでがけ崩れが起きていて、どの道帰ることはできなかった。

 「本来は、こういう時に鳥を飛ばすのね」
 王都の本宅へ連絡を入れるという家令のダンに、崖が崩れているのにどう連絡を取るのか聞くと、鳥にメッセージを運んでもらうらしい。ダンの説明にアイリーンは納得した。今までは、クリストファーのアイリーンへの贈り物やメッセージをせっせと運んでくれた鳥達だが、ようやく本来の仕事ができる時が来たようだ。

 熱のせいなのか、精神的なものなのか、時折うなされるクリストファーが心配でずっと付いていたかったが、ダンとタニアに止められた。アイリーンまで倒れたらみんなの手間が増えるらしい。なので、ダンとタニアとアイリーンは三人で交代でクリストファーの看病をして、アイリーンはできるだけクリストファーの傍にいた。

 「……帰りたくない」
 体調のせいなのか、自分の複雑な出生を知ったせいなのか、クリストファーの瞳には力がなく、珍しく弱音を吐いている。アイリーンだって、クリストファーにずっとここにいてほしい。でも、そうさせてあげられる力はアイリーンにはなかった。ただ、クリストファーの話を聞いて、手を握ることしかできなかった。

◇◇

 「奥様、今日は先代公爵様の弟様がみえます。身なりを整えましょう」
 鳥による公爵家の本宅とのやり取りで、前触れが来たらしい。緊張した面持ちのダンに告げられ、アイリーンにも緊張が走る。どんな用件かは、わからないが、クリストファーの不利にならないようにきちんと出迎えなければならない。

 アンジェリカが来た時はなんの前触れもなかったため、普段の格好で出迎えることになったが、一応、正装が昼用と夜用にそれぞれ一式だけ残してあった。久々にコルセットを締めると気が引き締まる気がする。ずっと付けていなかった、結婚指輪を左手にはめ、公爵家の家紋の入った少し大ぶりな石の付いた指輪を右手にはめる。

 「おやおや、これは噂通り美しい奥様だ。はじめましてかな?」
 現れたクリストファーの叔父にあたる男は、色彩や顔立ちは似ているが、クリストファーの血縁とは思えないような大柄で逞しい体つきをしていた。着ている服はシンプルでしっかりとした生地のもので、服装が違っていたら公爵家の縁戚の者だとは思われないだろう。クリストファーの父の弟だということだが、年が離れているらしく、義父と比べると随分若々しい。軽妙な口調とは裏腹に、瞳に表情はなく、感情が読めない。

 クリストファーが寝込んでいることを伝えると、アイリーンと話したいと希望があったようだ。

 「今日はどのような要件ですか?」
 なんとか淑女の仮面をかぶり、微笑みを貼りつけて、挨拶をすると訪ねて来た目的を聞く。アイリーンには貴族の腹を探るような会話はできない。きっと、そういったことも婚約者時代はクリストファーが担ってくれていたのだろう。目の前の、海外を放浪していたという人物はさまざまな経験や修羅場を切り抜けてきたことを感じさせる老獪な目をしている。アイリーンが話術でかなう相手ではない。
 
 「全部欲しいんだよね。俺って強欲でさ。公爵家も公爵家の領地も権力も財産も。アンジェリカも生まれた子どもも……ってまぁ、俺の子だしな。譲ってくれるように、クリストファーに言ってくれない?」

 「……それは……」

 「悪い話じゃないだろう? だって、公爵家の跡取りは俺の子どもだし、クリストファーには荷が重いんだろう? 自分の本当の父親を知っただけで、全部ほっぽり出して逃げ出しちゃってさぁ、向いてないんだよね」

 今の弱っているクリストファーだけを見ていたら、すぐに承諾してもいいように思える。ただ、アイリーンはクリストファーが公爵家の当主となるために、今まで積み上げてきた努力を知っている。そして、苦しみながらも、公爵家当主として責任を持って、仕事をこなしてきたことを。子どもを作れたという理由だけで、今まで自由に生きて来て、隠し子までいる叔父に、家督を譲るなんて無責任なことはきっと望まない。自分のためではなく、公爵家や領民のために。アイリーンには自分勝手なことを言う目の前の人物にふつふつと怒りが湧いてきた。

 「全部欲しかったなら、なんで、最初からそうしなかったんですか?」

 「だってさー、家って長男が継ぐもんじゃん? それに兄さんには、子どもが生まれちゃったしさー。って、クリストファーは俺の弟なんだっけ? ははっ、だったら兄の俺が継ぐべきじゃん!」

 「だったら、諦めずに最初からあなたが努力していれば、よかったんじゃないですか? そうすれば、クリストファーは辛い当主教育を受けなければいけない事もなかったし、自分に子種がないとか、自分の出生を知ることもなかったじゃないですか! クリストファーが今まで努力して築き上げてきたものをなんだと思ってるんですか? 勉強に励んで、生徒会の仕事をして、当主教育を受けて、婚約者のフォローをして。その間あなたは海外を好きに放浪して、好き勝手に生きていたんでしょう? その間、お義父様と公爵家と公爵領を支えてきたのはクリストファーですよ! それを、それを、後からぽっと出てきて、全部欲しいなんて我儘だと思いませんか?」

 「ふーん、ただお綺麗なだけの空っぽで我儘なお嬢さんって聞いてたけど、なかなかいいじゃーん。なに? クリストファーが当主じゃなくなると、困るから必死なの? それとも、クリストファーの事、アイシちゃってるの?」

 アイリーンをじっとりと眺めると、テーブルを回り込んで来て、アイリーンの隣に座る。腰のあたりに手を滑らせて、アイリーンの手にもう片方の手を添えてくる。その感触の気持ち悪さに、背筋に悪寒が走る。

 「クリストファーのことも体で落としたんだろ? 俺を満足させたら、このままここで囲ってやるよ」
 耳元でささやかれて、ぞわっとしたものが体を走った。アイリーンはクリストファーと以外、閨の経験がないので、他人に親密にされるのがこれほど気持ちの悪いものだと知らなかった。

 「アイリーンから離れろ!」
 そこへ、寝巻姿のクリストファーが現れる。まだ、本調子じゃなくふらついている。

 「あーらら、正義の味方参上ってかんじ?」
 叔父は、アイリーンに密着させた体を離さずに、挑発する。

 「なー、クリストファー。俺に公爵家の全部、ちょうだいよ」
 アイリーンはそのまま、両腕を後ろで捕まれ、喉元にナイフをつきつけられる。喉元にキラリと光る凶器に叔父の本気を知る。喉に当たる金属の冷んやりした感覚に、体が震えてくる。

 「クリストファー、私の代わりはいるけど、あなたの代わりはいないのよ! あなたが公爵家の当主でしょ! 無責任なこの人に公爵家を譲ったら、あなたは絶対に後悔するわ! だから、言う事を聞いちゃだめよ」

 「ほーんと、威勢のいいお嬢さんだね。ちょっと黙ってもらっていい?」
 ぐっと喉元に金属が押し当てられた感覚がすると思ったら、首筋に生温かい液体が流れるのを感じる。目線を向けると、赤い筋が滴り、ドレスに染みていた。不思議と痛みは感じない。さすがに、命の危機を感じて、アイリーンは口を噤む。

 「やめろ! やめてくれっ!! わかったから、話を聞くから。アイリーンは関係ないだろう? アイリーンを離してくれ。叔父さんの悪いようにはしないから」

 「話し合いをしにきたんじゃない。お願いにきたんだ。書類に黙ってサインしてくれよ」

 叔父の侍従がテーブルに書類を並べる。クリストファーはのろのろとテーブルの前に着いた。

 「早くしないと、手が滑っちまいそうだなぁ……なぁ、クリストファー、自分の妻、それも幽閉してるなんの役にも立たない女のために、言う事聞いちまうようならなぁ、俺じゃなくても、公爵家をどうとでもできちまうぞ? 公爵家の当主としてこれからもありたいなら、いっそのこと処分したほうがいいんじゃないか?」
 
 アイリーンは一瞬、頭が真っ白になった。ずっと体だけの関係だと誤魔化してきたけど、アイリーンにとってクリストファーが大事な存在になったのと同じように、クリストファーの中でアイリーンの存在が大きくなっていることはなんとなく感じてきた。それに、こんな歪な関係はいつか綻びが生じるのはわかっていたことだ。

 自分は結局、クリストファーの足を引っ張る存在でしかないのかもしれない。烏滸がましいことに、最近は自分の存在が少しでもクリストファーの慰めになるのかもしれないなんて思っていた。

 それに、叔父に公爵家を譲っても、アイリーンをまた人質に取られたら、クリストファーは陰で叔父の言いなりになって働かされるかもしれない。アイリーンの存在はクリストファーにとってマイナスでしかない。

 先ほど、自分が言った言葉が自分に突き刺さる。自分の代わりなどいくらでもいるのだ。クリストファーの代わりはいない。今はアイリーンに執着しているけど、もっと柵のない人ともっと穏やかな関係を築くことがきっとできる人だ。アイリーンさえいなくなれば。

 クリストファーは叔父の言葉が聞こえているのか聞こえていないのか、ぼんやりとして、それでも目はしっかりと書類の文言を追っている。やっぱり顔は好きなのよね。さらさらの金色の髪も、綺麗な空色の瞳も、すっきりとして整った顔立ちも。今、好きなのは顔だけではないけど。

 クリストファーは幸せになるべき人だ。

 クリストファーに注意が向いて、アイリーンの両手を押さえる叔父の片手が少し緩んだ。アイリーンは自分の右手をそっと引き抜くと、歯で公爵家に伝わる指輪に付いている石を外すと、中に入っている錠剤を飲みこんだ。

 「おいっ! なにを?」
 「アイリーン!!!」
 部屋にクリストファーの叫びが響きわたった。

 最後に名前を呼んでもらえた。それだけで、アイリーンには十分だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

愛を語れない関係【完結】

迷い人
恋愛
 婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。  そして、時が戻った。  だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

大好きなあなたを忘れる方法

山田ランチ
恋愛
あらすじ  王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。  魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。 登場人物 ・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。 ・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。 ・イーライ 学園の園芸員。 クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。 ・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。 ・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。 ・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。 ・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。 ・マイロ 17歳、メリベルの友人。 魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。 魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。 ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

処理中です...