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2 夫と再会した後の私のそれから
12 クズな夫が心まで奪っていく
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「今日は出かけるから、着替えてくれ。平民が着るような簡素な服にしてくれ。少し冷えるから外套も用意して。あと、足元は歩きやすいブーツ」
社交シーズンが終わり久々の再会だというのに、今回は来るなり、クリストファーは侍女や侍従に指示を出した。アイリーンが困惑するうちに、優秀な侍女達によって準備が整い、馬車に放り込まれた。
「え、私ってあの屋敷から出ちゃ行けないのよね? どこに行くっていうの?」
なんだかこの公爵家の別宅へ連れてこられたときのような状況にアイリーンに不安がじわじわと押し寄せてくる。
「私と一緒なら別にいいよ。着けばわかるから」
簡素でカーテンの引かれた馬車は、幽閉される時に乗った馬車にそっくりだ。窓からの景色で気をまぎらわせることもできない。あの時は対面に座っていて、クリストファーは書類からずっと目を離さなかったっけ……。今はアイリーンの隣にぴったりと座っていて、当然のようにアイリーンの手を握っている。そのことに安堵を覚える。
「ねぇ、なんであのとき五日もかけたの? この村って王都の公爵邸から馬車でせいぜい半日もかからないでしょ?」
公爵領は縦長な形をしているので、王都から離れた側へ行こうと思ったら三日以上かかるだろう。だが、この村は公爵領の端に位置するが、王都に近い方の端なのだ。
「あー……。アイリーンにこの村の場所を正確にわからなくするため、かな。あまり王都に近いとわかると誰かを垂らしこんで、王都に戻ってくるかもしれないだろう?」
「そっか……。本当に信用がなかったんだね……まぁ、あの頃の私ならやりかねないか」
「……それだけじゃないけど。もう、アイリーンをどこかにやったりしないから。しばらくかかるし、眠っていればいいよ」
クリストファーはあくびを一つすると、アイリーンに体ごともたれかかって、座ったまま眠ってしまった。すやすやと眠るクリストファーの整った横顔をそっと眺める。その端正な顔は眠ると少し幼い。目の下には濃い隈が復活している。社交シーズンで会わないうちにまた眠れなくなってしまったんだろうか?
なにか深い悩みがあって眠れないのかしら?
そういえば、子種がないって言っていたわよね……
それなら、アンジェリカが産んだ公爵家の長男は誰の子どもなのかしら?
仕事が忙しいのだろうか?
公爵家の当主の仕事の大変さやプレッシャーはアイリーンに想像しえないものだ。そんな大変な中、週に一回アイリーンに会いに来ている。
その時間を作るのに仕事を詰め込んでいるんだろうか?
いや、別にアイリーンが会いに来てと頼んだわけではないけど……
つらつらと考え事をしているうちに、馬車のガタゴトという揺れとクリストファーの体温の心地よさにいつの間にかアイリーンも眠っていた。
◇◇
「ここは……?」
着いたよと下ろされた場所は、アイリーンの暮らす公爵領の片隅より寂れた場所だった。
開けているが、人気はなく、ただ広々とした野原が広がっている。その中にぽつぽつと墓石らしきものが立ち並んでいる。
そのうちの一つの墓石の前にクリストファーが跪いて、花を供える。その墓石は小さくて簡素なものだが、苔などが生えておらず、比較的新しいもののように見える。アイリーンの心臓がドクリと嫌な音を立てる。
「君の母上の墓だ。最後に立ち会わせられなかったこと、そして母上の死を伝えなかったこと、申し訳なく思う」
「っ……」
忘れたわけではない。でも、どこかで生きてそれなりに暮らしていると思っていた。急に聞かされた母の死をアイリーンはすぐには受け止められなかった。
母の死から、目をそらすように、アイリーンの足が一歩後ろに下がる。
だって、お母様は無敵だった。いつも凛としていた。強かった。
自分には優しかったが、二人の妹達には容赦なかった。
いつだって完璧に装っていて、強い人だった。
それが、亡くなって、冷たい墓石の下に眠っているだなんて信じられなかった。
「すまない。君の母上は父上が伯爵の爵位を譲渡して、僻地に送られた後に精神的に病んでしまい食べ物を受け付けなくなり、3か月もせずに衰弱して亡くなった。一応、君の父上が医者や聖職者などを手配して手を尽くしたらしい。最後は父上に見送られ眠るように亡くなったそうだ。ここはその村の共同墓地だ」
アイリーンがショックを受けたのは、母が恋しかったせいではない。自分本位な母と自分はどこか似ているとアイリーンは自覚していた。母の最期の様子は狂っていた頃の自分とそっくりだ。もしかしたら、自分も母のような末路を辿るのだろうか? 冷たい墓の下から母の手が自分を引きずりこんでくるような錯覚を覚えて、アイリーンは震えた。
「嫌、嫌、嫌ーー!!!」
自分を抱きしめて、叫ぶアイリーンをクリストファーが抱きしめる。クリストファーの腕の中でもがき、自分の髪を掻きむしる。
「嫌、嫌、死にたくない……死にたくない!!」
「アイリーン、アイリーン、しっかりするんだ!」
クリストファーが、アイリーンの肩を揺さぶるが、錯乱したアイリーンには聞こえていない。
その時、ガサリッと背後で物音がした。
アイリーンは我に返って、そちらを振り向くと、小柄だけどがっしりとした男が立っていた。村人のような風貌で、帽子を深くかぶり、手にはそのあたりで摘んできたような花を持っている。
「お父様……」
不在がちであった父親の風貌はあまり覚えていないし、追憶の中にあるぼんやりとした父の姿と目の前にいる男とは似ても似つかない。それでも、確信に近いものがアイリーンにはあった。帽子の奥の黒い瞳からはなんの感情も読み取れない。
その男は、無言で踵を返すと、墓に参ることも花も供えることもなく、来た道をのしのしと帰っていった。
「すまない。アイリーン。説明してから連れてこればよかった。両親のことを聞かれることはないと家令達から聞いていたから、もう消化しているかと思っていたんだ。父上が来るとも思っていなかった」
「いいの、クリストファー。知らないより知ったほうがいいから。取り乱してごめんなさい。もう大丈夫」
帰りの馬車の中で、寄り添って座りながら、しばらくはどちらも話すことはなかった。
「ひとつ言っておきたいのだけど。私、別に母の死が悲しくて錯乱したんじゃないの。怖かったの。私は母に似ているから、自分も狂って、同じように死んでいくんじゃないかって怖かっただけなの。最低でしょ」
自嘲するように笑いながら、アイリーンは告げた。クリストファーの返事を聞くのが怖くて、クリストファーにまたがると、首に手をからめてキスをして口をふさいだ。
「あっ、うん……」
自分からキスをするのは初めてで、クリストファーに拒まれるのが怖くて、自ら舌をからませ、口づけを深くしていく。クリストファーがそれに応えてくれて、キスが深まるにつれて、クリストファーの下腹部が固くなっていく感覚を感じてうれしくなる。
クリストファーの固くなったそこに、自分の股を強請るようにすりつける。
「……! アイリーン!」
キスはもちろん行為もいつもはクリストファーからの求めに応じるだけで、積極的に自分からしたことはない。でも、アイリーンはすぐにでもクリストファーが欲しくてたまらなくなった。
手早く自分の下着を脱ぐと、クリストファーの前をくつろげ、自分のぬかるんだそこを広げて、クリストファーのものを沈める。クリストファーのもので自分が埋められると気持ちよさと安心感を感じた。
「あぁ……」
アイリーンには今、この人の温もりが、体温が必要だったのだ。繋がっているところから、溶けていく感覚が広がる。
更に気持ちよさを求めて、アイリーンは必死に腰を振った。
「クリストファー、気持ちいい?」
「アイリーン……、あぁ……気持ちいいよ。中がうごめいていて、気持ちがいい……」
クリストファーは不安定な体勢のアイリーンを支えるようにしながら、下から突き上げ始めた。
「ねぇ、クリストファー。私を必要として。体だけでもいいから、必要として……」
気づくとアイリーンはボロボロと涙を零して、クリストファーに懇願していた。あまりの気持ちよさに、本音が零れてしまう。一瞬、クリストファーの切れ長の目が丸く見開かれた。クリストファーは言葉を返さずに、激しい口づけをする。
上も下もつながった状態で、アイリーンはあまりの気持ちよさに、頭がおかしくなりそうだった。
「あぁっ、クリストファー、お願い。優しくしないで。私を物みたいに扱って」
体だけならまだいいのに、心まで持って行かれたら、きっと狂ってしまう。どこまでも求めてしまう。母のように。
「お願い。私をいらないって言わないで」
クリストファーがアイリーンの中で果てると、アイリーンはぐったりとクリストファーにもたれかかるように抱き着いた。もう、すでに狂っているのかもしれない。だって、アイリーンはこの人がいないと、生きていけない。家に着くまで、二人はただきつくお互いを抱きしめていた。
社交シーズンが終わり久々の再会だというのに、今回は来るなり、クリストファーは侍女や侍従に指示を出した。アイリーンが困惑するうちに、優秀な侍女達によって準備が整い、馬車に放り込まれた。
「え、私ってあの屋敷から出ちゃ行けないのよね? どこに行くっていうの?」
なんだかこの公爵家の別宅へ連れてこられたときのような状況にアイリーンに不安がじわじわと押し寄せてくる。
「私と一緒なら別にいいよ。着けばわかるから」
簡素でカーテンの引かれた馬車は、幽閉される時に乗った馬車にそっくりだ。窓からの景色で気をまぎらわせることもできない。あの時は対面に座っていて、クリストファーは書類からずっと目を離さなかったっけ……。今はアイリーンの隣にぴったりと座っていて、当然のようにアイリーンの手を握っている。そのことに安堵を覚える。
「ねぇ、なんであのとき五日もかけたの? この村って王都の公爵邸から馬車でせいぜい半日もかからないでしょ?」
公爵領は縦長な形をしているので、王都から離れた側へ行こうと思ったら三日以上かかるだろう。だが、この村は公爵領の端に位置するが、王都に近い方の端なのだ。
「あー……。アイリーンにこの村の場所を正確にわからなくするため、かな。あまり王都に近いとわかると誰かを垂らしこんで、王都に戻ってくるかもしれないだろう?」
「そっか……。本当に信用がなかったんだね……まぁ、あの頃の私ならやりかねないか」
「……それだけじゃないけど。もう、アイリーンをどこかにやったりしないから。しばらくかかるし、眠っていればいいよ」
クリストファーはあくびを一つすると、アイリーンに体ごともたれかかって、座ったまま眠ってしまった。すやすやと眠るクリストファーの整った横顔をそっと眺める。その端正な顔は眠ると少し幼い。目の下には濃い隈が復活している。社交シーズンで会わないうちにまた眠れなくなってしまったんだろうか?
なにか深い悩みがあって眠れないのかしら?
そういえば、子種がないって言っていたわよね……
それなら、アンジェリカが産んだ公爵家の長男は誰の子どもなのかしら?
仕事が忙しいのだろうか?
公爵家の当主の仕事の大変さやプレッシャーはアイリーンに想像しえないものだ。そんな大変な中、週に一回アイリーンに会いに来ている。
その時間を作るのに仕事を詰め込んでいるんだろうか?
いや、別にアイリーンが会いに来てと頼んだわけではないけど……
つらつらと考え事をしているうちに、馬車のガタゴトという揺れとクリストファーの体温の心地よさにいつの間にかアイリーンも眠っていた。
◇◇
「ここは……?」
着いたよと下ろされた場所は、アイリーンの暮らす公爵領の片隅より寂れた場所だった。
開けているが、人気はなく、ただ広々とした野原が広がっている。その中にぽつぽつと墓石らしきものが立ち並んでいる。
そのうちの一つの墓石の前にクリストファーが跪いて、花を供える。その墓石は小さくて簡素なものだが、苔などが生えておらず、比較的新しいもののように見える。アイリーンの心臓がドクリと嫌な音を立てる。
「君の母上の墓だ。最後に立ち会わせられなかったこと、そして母上の死を伝えなかったこと、申し訳なく思う」
「っ……」
忘れたわけではない。でも、どこかで生きてそれなりに暮らしていると思っていた。急に聞かされた母の死をアイリーンはすぐには受け止められなかった。
母の死から、目をそらすように、アイリーンの足が一歩後ろに下がる。
だって、お母様は無敵だった。いつも凛としていた。強かった。
自分には優しかったが、二人の妹達には容赦なかった。
いつだって完璧に装っていて、強い人だった。
それが、亡くなって、冷たい墓石の下に眠っているだなんて信じられなかった。
「すまない。君の母上は父上が伯爵の爵位を譲渡して、僻地に送られた後に精神的に病んでしまい食べ物を受け付けなくなり、3か月もせずに衰弱して亡くなった。一応、君の父上が医者や聖職者などを手配して手を尽くしたらしい。最後は父上に見送られ眠るように亡くなったそうだ。ここはその村の共同墓地だ」
アイリーンがショックを受けたのは、母が恋しかったせいではない。自分本位な母と自分はどこか似ているとアイリーンは自覚していた。母の最期の様子は狂っていた頃の自分とそっくりだ。もしかしたら、自分も母のような末路を辿るのだろうか? 冷たい墓の下から母の手が自分を引きずりこんでくるような錯覚を覚えて、アイリーンは震えた。
「嫌、嫌、嫌ーー!!!」
自分を抱きしめて、叫ぶアイリーンをクリストファーが抱きしめる。クリストファーの腕の中でもがき、自分の髪を掻きむしる。
「嫌、嫌、死にたくない……死にたくない!!」
「アイリーン、アイリーン、しっかりするんだ!」
クリストファーが、アイリーンの肩を揺さぶるが、錯乱したアイリーンには聞こえていない。
その時、ガサリッと背後で物音がした。
アイリーンは我に返って、そちらを振り向くと、小柄だけどがっしりとした男が立っていた。村人のような風貌で、帽子を深くかぶり、手にはそのあたりで摘んできたような花を持っている。
「お父様……」
不在がちであった父親の風貌はあまり覚えていないし、追憶の中にあるぼんやりとした父の姿と目の前にいる男とは似ても似つかない。それでも、確信に近いものがアイリーンにはあった。帽子の奥の黒い瞳からはなんの感情も読み取れない。
その男は、無言で踵を返すと、墓に参ることも花も供えることもなく、来た道をのしのしと帰っていった。
「すまない。アイリーン。説明してから連れてこればよかった。両親のことを聞かれることはないと家令達から聞いていたから、もう消化しているかと思っていたんだ。父上が来るとも思っていなかった」
「いいの、クリストファー。知らないより知ったほうがいいから。取り乱してごめんなさい。もう大丈夫」
帰りの馬車の中で、寄り添って座りながら、しばらくはどちらも話すことはなかった。
「ひとつ言っておきたいのだけど。私、別に母の死が悲しくて錯乱したんじゃないの。怖かったの。私は母に似ているから、自分も狂って、同じように死んでいくんじゃないかって怖かっただけなの。最低でしょ」
自嘲するように笑いながら、アイリーンは告げた。クリストファーの返事を聞くのが怖くて、クリストファーにまたがると、首に手をからめてキスをして口をふさいだ。
「あっ、うん……」
自分からキスをするのは初めてで、クリストファーに拒まれるのが怖くて、自ら舌をからませ、口づけを深くしていく。クリストファーがそれに応えてくれて、キスが深まるにつれて、クリストファーの下腹部が固くなっていく感覚を感じてうれしくなる。
クリストファーの固くなったそこに、自分の股を強請るようにすりつける。
「……! アイリーン!」
キスはもちろん行為もいつもはクリストファーからの求めに応じるだけで、積極的に自分からしたことはない。でも、アイリーンはすぐにでもクリストファーが欲しくてたまらなくなった。
手早く自分の下着を脱ぐと、クリストファーの前をくつろげ、自分のぬかるんだそこを広げて、クリストファーのものを沈める。クリストファーのもので自分が埋められると気持ちよさと安心感を感じた。
「あぁ……」
アイリーンには今、この人の温もりが、体温が必要だったのだ。繋がっているところから、溶けていく感覚が広がる。
更に気持ちよさを求めて、アイリーンは必死に腰を振った。
「クリストファー、気持ちいい?」
「アイリーン……、あぁ……気持ちいいよ。中がうごめいていて、気持ちがいい……」
クリストファーは不安定な体勢のアイリーンを支えるようにしながら、下から突き上げ始めた。
「ねぇ、クリストファー。私を必要として。体だけでもいいから、必要として……」
気づくとアイリーンはボロボロと涙を零して、クリストファーに懇願していた。あまりの気持ちよさに、本音が零れてしまう。一瞬、クリストファーの切れ長の目が丸く見開かれた。クリストファーは言葉を返さずに、激しい口づけをする。
上も下もつながった状態で、アイリーンはあまりの気持ちよさに、頭がおかしくなりそうだった。
「あぁっ、クリストファー、お願い。優しくしないで。私を物みたいに扱って」
体だけならまだいいのに、心まで持って行かれたら、きっと狂ってしまう。どこまでも求めてしまう。母のように。
「お願い。私をいらないって言わないで」
クリストファーがアイリーンの中で果てると、アイリーンはぐったりとクリストファーにもたれかかるように抱き着いた。もう、すでに狂っているのかもしれない。だって、アイリーンはこの人がいないと、生きていけない。家に着くまで、二人はただきつくお互いを抱きしめていた。
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◇画像はGirly Drop様からお借りしました
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