【完結】私は生きていてもいいのかしら? ~三姉妹の中で唯一クズだった私~【R18】

紺青

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2 夫と再会した後の私のそれから

5 ひどいことをした夫に馴染んでいく体

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 「えっ? もう来たの?」
 「いつ来ても自由だろう。ここも私の屋敷の一つだ」
 「そうなんだけど……」
 ノックも気配もなくアイリーンの部屋に突然現れたクリストファーにアイリーンは驚いた。前回の訪問からまだ一週間しか経っていない。てっきり、クリストファーの訪問は月に一回程度かと思っていたアイリーンは驚いた。

 「本を読んでいるのか? 珍しいな」
 「だって、誰かさんが人と会うな、話すなって言うから、やる事が他にないのよ。一番最初にクリストファーが来た時に一緒にいた神父さんとだって不適切な関係じゃないっていうのに勝手に誤解するし……」
 机に向かって、本を読んでいたアイリーンを背後からのぞき込むクリストファーをアイリーンは睨みつける。クリストファーに誤解されて蹂躙された後は、アイリーンは幽閉当初クリストファーに言われた通りに、どこにも出かけずに屋敷に籠っている。机に向かうのは嫌いだけど、あまりにやることがなくて、最近は図鑑や絵本に見入っている。精巧に描かれた見たことのない動物や植物や幻想的な挿絵はとても美しくて、アイリーンの心を束の間和ませてくれる。美しいといえば、神父はクリストファーによく似た美しい顔立ちをしている。雰囲気も気安い。だが、本人から恋愛対象は男性だと聞いている。だから、彼とそういう関係になることはないのだ。まぁ、女性が恋愛対象だとしても、アイリーンの全てを知っている神父はお断りだと思うけど。

 「ふーん、宝石の図鑑か……?」
 「宝石というか鉱物の図鑑よ。宝石の元になっている石も載っているわ。ダンがわざわざ国外から取り寄せてくれたの」
 「アイリーンは宝石が欲しいのか?」
 「いらない。着けていく所もないし、着ている服にも合わないし、宝飾品はいらないわ。今は綺麗な物は身に着けるより、見ているほうが楽しいの」
 「愁傷な心がけだな。時間を持て余しているようだから、相手をしてあげよう」
 クリストファーは図鑑を閉じると、アイリーンの手を引いて椅子から立ち上がらせる。
 「何をするの?」
 「二人ですることといったら一つだろう?」
 クリストファーの瞳が楽し気に瞬く。アイリーンには悪い予感しかしなかった。

 「あっ、あっ……ねぇ、クリストファーこの格好恥ずかしいからやめて……」
 「今から、もっと恥ずかしい事をするんだから、気にするな。アイリーンは本当に止めて欲しいのか?」
 まだ、日の高い時間だというのに、ソファーで座るクリストファーの上にアイリーンは座らされている。後ろ開きのワンピースのボタンを外され、中途半端にはだけられた状態で、後ろから胸を弄られていた。目を逸らそうとしてどうしても自分の小ぶりな胸とそれをもみほぐすクリストファーの手が視界に入る。今までは強い力で捕まれるように揉まれていたので、痛いばかりだったが、胸の突がりをさけるようにやわやわと触られるとなぜか気持ちの良さを感じてしまう。
 「ずいぶん気持ち良さそうな声が出ているけど。ダンに言われて勉強したかいがあったな」
 クリストファーにそう言われた瞬間、アイリーンは固まった。第二夫人であるアンジェリカが脳裏によぎる。その勉強の相手って誰なんだろう? アンジェリカ? それとも他の誰か? そう問い詰める権利はアイリーンにはないけど。
 「違う。ダンに渡された本を読んだだけだ。実技はしてない」
 一瞬のアイリーンの体の強張りから疑問を察したのか、クリストファーが弁解して、アイリーンに後ろからキスをする。
 「うむっ……はっ……あぁ……」
 クリストファーの与える深いキスに、アイリーンはなにも考えられなくなる。
 「このままじゃ下は触りにくいな……」
 クリストファーはアイリーンを抱き上げると、そのままソファにアイリーンだけ座らせた。そして、クリストファーはアイリーンの前に跪いて、スカートをめくる。
 「ちょっと!!」
 「この下着はなんだ?」
 「これはアンが……。クリストファーがどこでも盛るから、こういう下着の方が便利じゃないかって言って、用意してくれたの」
 アンが用意してくれたのは、下着の両サイドが紐になって結ぶ形になっているもので、布の面積が少ないし、横の結び目の部分が気になるのでアイリーンは落ち着かない。ただ、下着を足から引き抜かなくても、紐の結び目をほどくと脱ぐことができるので、事に及ぶ時には便利かもしれない。まさか、こんなに早くに披露するはめになるとは思わなかった。
 「なるほど、これは便利だ。でも、普段からアイリーンがこれを付けているかと思うとなんだか不愉快だな……これを着けるのは私がいる時だけだ」
 クリストファーは片側の結び目をほどくと、アイリーンの膝を持って足を広げる。外気があたって、股の間がスースーする。
 「んっ!!」
 「やはり、痛いか?」
 「んー……ちょっと……」
 クリストファーが徐に自分の指を舐めて、アイリーンの中に指を差し入れるけど、やはり少し痛みを感じる。
 「なにしてるの? あっ……ねぇ、クリス……汚いからやめてぇっ!」
 股の間になにかねろっとした感覚がしたと思ったら、クリストファーがアイリーンのそこを舐め始めた。ぴちゃぴちゃという水音が部屋に響く。恥ずかしさと居たたまれなさでアイリーンの頭はおかしくなりそうだった。アイリーンがクリストファーの頭を押しのけようとするけど、びくとも動かない。手でアイリーンの膝をがっちり抑えたまま、アイリーンのそこを熱心に舐め続けている。
 「あっあっ、あぁ……、クリストファー、もうやめてぇ……」
 「でも、アイリーンの中から愛液が溢れてきているぞ? 指より舌の方がいいのか。そういえば、女性はこっちの方が快楽を得られやすいらしいな……」
 いつも指でいじられている時には感じたことのない、ドロドロに溶けそうな感覚を感じて本能的に怖くなる。そんなアイリーンを見て、クリストファーは楽しそうに笑った。
 「やだっ! そこ……なに? あぁ、あんっんんっ! いや、いや、クリストファー……」
 入口より上の敏感な部分をペロペロと舐められてアイリーンは初めて感じる快楽に飲みこまれそうになる。アイリーンがいくら懇願しても、クリストファーは執拗にそこを舐め続けた。
 「んんっ、ああっ」
 その瞬間、アイリーンは背筋をそらして、足をピンとはった。気持ち良さが体を突き抜ける。
 「イッたか。今日は潤滑油はいらないな。こっちもドロドロだ……。中をもっとほぐすように言われたんだ。もう十分かな?」
 「イッた……?」
 今の身体を突き抜けるような感覚はなんなのだろう? 閨事は子をなす為のものではないのだろうか? そういえば、伯爵家の侍女は『キスもその先も蕩けるくらい気持ちがいいんですよー』なんて言っていたっけ……ぼんやりとそんなことが頭を巡る。
 クリストファーはやっとアイリーンのそこから顔を離すと、指を中に捻じ込んだ。クリストファーの言うように指はぬるりとスムーズに入った。中でクリストファーの指が抜き差しされると、いつもとは違う感覚がする。
 「どうだ? もう二本も指を飲みこんでいるぞ」
 「どうって言われても? あんっ」
 クリストファーの指がどこかを掠って、そのとたんに先ほどとはまた違う気持ちよさを感じる。
 「ここがいいのか?」
 「んんっ……あっあっ……」
  あまりの気持ちよさに溢れる嬌声をなんとか止めようと、アイリーンは自分の口を手でふさぐが、声が漏れ出る。
 「このままアイリーンの気持ちのいいところを探りたいけど、もう我慢できそうにない」
 クリストファーは指を引き抜くと、アイリーンをソファに押し倒して、自身のものを捻じ込んだ。いつものような引き攣れるような感覚はまるでなくて、アイリーンのそこは喜ぶようにしてクリストファーのものを迎え入れる。そのままクリストファーの与える快楽にアイリーンは翻弄された。痛いのも嫌だけど、快楽に飲みこまれるのは蹂躙されるよりも怖かった。冷静にならなくちゃ、一線を越えてはいけない、と思うのになにも考える事ができなくなった。アイリーンはただただクリストファーの名前を呼んで、すがって、クリストファーの与える快楽を享受した。

 ◇◇

 「あれ、クリストファーは?」
 「とっくにお帰りですよ。本当にご当主様は加減ってもんを知らないんだから。初心者の奥様に手加減してほしいですよねー」
 「アン」
  クリストファーは今回は時間ぎりぎりまでアイリーンを離さなかった。初回に蹂躙された時でさえ気を失うことはなかったのに、最後にはアイリーンは気を失っていたらしい。気づいたら、アンとタニアに風呂に入れられていた。いつも通りのアンとタニアにアイリーンから笑みが零れる。少しだけ、ほんの少しだけ、クリストファーに別れの挨拶ができなかったことが残念だ。次はいつ来るんだろうか……。

 風呂あがりにマッサージをしながら、アンはクリストファーの跡が散るアイリーンの背中を丁寧にほぐす。
 「なんか順調に調教されてないですか、奥様?」
 「調教って……でも、どうせ好きにされるなら、痛いより気持ちいいほうがいいじゃない?」 
 「そうですけど……」
 「体だけならいいじゃない。お互い一時だけ、気持ち良くなって憂さ晴らししてるだけでしょう?」
 「奥様。でも、人間てそんな単純じゃないですよ。けっこう体に心が引っ張られたりすることもあるんですよ」
 「心にとめておくわ。でも、大丈夫。クリストファーに心をもっていかれたりなんかしないわ」
 「はー、その言葉忘れないでくださいよ。奥様はただでさえ難しい立場ですし、ご当主様がクズなことに変わりないんですから」
 アンの忠言はアイリーンに刺さった。それはアイリーンも確かに感じた不安だった。クリストファーに優しくされて大切にされると頭がおかしくなりそうだ。昔と違って、クリストファーはアイリーンといると瞳や表情に感情が現れている。楽しそうだったり、意地悪でからかうようだったり、気持ちよさそうだったり。そして、それをうれしいと思ってしまう自分がいる。自分を戒めるように首を振る。自分たちは体を共有するだけの関係だ。そうでなければならない。
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