13 / 46
1 クズだった私のこれまで
12 幽閉された公爵夫人の日常
しおりを挟む
「今日もよく晴れてるわねぇ」
澄んだ空を見ると夫であったクリストファーの空色の瞳を思い出す。少し胸は痛むが、今は怒りも恨みもなんの感情もない。ただ、アイリーンが捻じ曲げてしまった彼の人生が軌道に乗っている事を祈るばかりだ。
でも、こんな人里離れた所でアイリーンが祈らなくても、クリストファーはきっと幸せで順風満帆な人生を送っていることだろう。アイリーンとは違って中身も外見も優れていて、クリストファーを想ってくれているアンジェリカを妻にして、公爵を継ぎ、世継ぎにも恵まれた。真面目で優秀なクリストファーならきっと立派な公爵家当主となっているだろう。
「ねぇ、ダン。私、人と話しちゃダメなんじゃなかったっけ?」
「そうでしたかな? 確かに奥様はこの村から出ることはできませんが、必要最低限なら話したり、出かける事も許されるでしょう」
家令のダンとアイリーンの専属侍女のタニアの夫婦はアイリーンに甘い。アイリーンが慎ましやかに生活をし始めてからかなりの自由が許されている。
「これって罰になるのかしらね?」
「以前の奥さまでしたら、耐えがたい境遇だったのではないですか? 心持ちが変われば見える世界も変わるんですよ」
「ふふふっ。そうかもね。ありがたく感謝して、受け入れることにするわ」
確かに、ここに連れてこられた時のアイリーンは、茶会も夜会もおしゃれな店もない、着飾っても称賛してくれる人もいないこの場所に絶望した。でも、この状況に絶望して、自分に絶望して、そして改めて見回してみれば、ここは楽園のような場所だ。
小さな村だが、空気は澄んでいるし、緑豊かで自然に囲まれていて美しい景色が広がり、大きな建物がないせいか空も広く見える。教会までの道のりをダンとタニアとのんびり歩きながら、道端に咲く花を見て楽しむ。
動けるようになって、初めはダンやタニアやアン以外の人が怖かった。周りの皆が、アイリーンがヒステリーを起こしたあげくに、死んでいるような状態で介護されているのを知っているのが怖かった。数人の者を除くと屋敷で働く者は通いだ。小さな村なので、家族や友人に話していたりしたら、村人みんながアイリーンのことをダメでクズで捨てられた公爵夫人だと知っているだろう。蔑んだ目線で見られたらどうしよう。ヒソヒソと噂されたらどうしよう。アイリーンは屋敷の中でも侍女や侍従や騎士達の目線が怖くて、ずっと下を見て歩いていた。
でも、そんなのはアイリーンの思いこみで、冷たい目で見られたり、ヒソヒソと陰口を言われることはなかった。こういった田舎の小さな村では、皆仲が良くて、団結が強くて、おせっかいでおしゃべりなイメージがあった。だが、この村の人々は淡々としていて、お互いにある程度の距離感を保って暮らしている。アイリーンが問題ある公爵夫人だから、侍女達に遠巻きにされているのかと思ったが、それが普段のありのままの姿みたいだ。挨拶はするけど、雑談はしない。話しかければ答えてくれる。そういう関係性なのだと理解したアイリーンはようやく屋敷から出られるようになった。
元気を取り戻したアイリーンは暇を持て余した。本を読んだり、刺繍をしたりするのはあまり好きではない。ダンに相談すると、教会や孤児院で雑務を手伝うことを提案された。
教会や孤児院で働く人も聖歌隊に所属する人も、村人は概ねそんな様子だった。今のアイリーンはそんなドライに感じるくらいの距離感がちょうど良く感じて、すぐに馴染んでいった。
「ねー、アイリーン、なんで、文字を覚えないといけないのー? つまんないよー、外で遊びたいよー」
「知らないより、知っているほうがいいよ。勉強できる場所があるなら、学んだ方がいいよ。どこで自分の役に立つかわからないよ」
今日は、アイリーンは教会に併設されている孤児院で、子ども達に勉強を教えるのを手伝っている。活発で外で遊ぶのが大好きな ヨランダは、天気がいい日に室内にいるのが不満なのだろう。アイリーンもかつて、ヨランダのように机に向かうのが嫌で仕方なかった自分を思い出して胸がちくりと痛む。
「こんなの役にたつかなー?」
「うん。私も勉強するの嫌いだったけど、もっとちゃんと勉強しておけばよかったって後悔してる。そうしたら、がっかりさせたり、迷惑かけることもなかったのにって」
「ふーん……。でも、アイリーンは今、先生できてるからいいじゃん!」
「そうよ。だから、ヨランダも勉強できるときにしようね。ほら、あと一時間がんばったら、外遊びできるから」
ヨランダはなぜかアイリーンに懐いているので、なんだかんだ言いながら、アイリーンに言われたらちゃんとやる。もう一度、机に向かうヨランダを見て、他に困っている子がいないか見回した。
「ふーっ、子どもは元気だな……」
勉強の時間が終わって、外で元気に遊ぶ子ども達を窓から眺める。さすがに、体力のない元貴族令嬢のアイリーンには外遊びにつきあうことはできずに、部屋の片付けや掃除を手伝っている。
「レッドフォード公爵家ってすごいのね……」
小さな村なのに、教会も孤児院もアイリーンの寄付などいらないくらいに整っている。勉強や習得させる技術も多岐に渡る。孤児だけでなく、村の子ども達も自由に出入りできて、一緒に勉強したりしているし、親の仕事の間に子どもを預かったりもしている。建物やカリキュラムだけでなく、そういった仕組みもよくできていた。
こんな領地の片隅の村まで、居心地を良くするなんて、領主であるクリストファーはどれだけ労力を注いでいるのだろうか?
「そうですねぇ、色々と内部に問題はありますが、まっとうな領主であることは確かですねぇ」
どこからともなく現れた神父が、アイリーンの言葉に相槌をうつ。淡々とした距離感を好む村人の中の唯一の例外である神父は、アイリーンだけでなく皆になにくれとなく目をかけて、声を掛けている。
「私の寄付だったり、手伝いなんて必要ないくらいに整ってますよね」
「そうですね、正直な所、資金も人手も十分です。でも、気持ちが大事ですし、奥様がいると場が和みますから。潤いって何事にも必要なんですよ」
「ありがとうございます」
最初はクリストファーが現れたのかと思うくらいそっくりに見えた神父だが、接するうちに内面の違いからか、見間違えることはなくなった。綺麗な金色の髪と空色の瞳に透き通るように白い肌は同じだけど。人は外見が似ていても、表情や仕草で全然違う人に見えるものらしい。
「今日は聖歌隊の練習に顔を出しますか?」
「もちろん!」
神父と共に、教会へ行き、聖歌隊の皆と合唱の練習に励んだ。教会や孤児院の手伝いだけでなく、最近は聖歌隊の歌の練習にも顔を出している。歌を歌っていると、ああ、まだ生きていけると思える。青空に溶け込むような皆の澄んだ歌声と自分の体に響く声にアイリーンは力が湧いてくるのを感じた。そして、自分が周りの者達に見守られ、生かされていることに感謝した。
澄んだ空を見ると夫であったクリストファーの空色の瞳を思い出す。少し胸は痛むが、今は怒りも恨みもなんの感情もない。ただ、アイリーンが捻じ曲げてしまった彼の人生が軌道に乗っている事を祈るばかりだ。
でも、こんな人里離れた所でアイリーンが祈らなくても、クリストファーはきっと幸せで順風満帆な人生を送っていることだろう。アイリーンとは違って中身も外見も優れていて、クリストファーを想ってくれているアンジェリカを妻にして、公爵を継ぎ、世継ぎにも恵まれた。真面目で優秀なクリストファーならきっと立派な公爵家当主となっているだろう。
「ねぇ、ダン。私、人と話しちゃダメなんじゃなかったっけ?」
「そうでしたかな? 確かに奥様はこの村から出ることはできませんが、必要最低限なら話したり、出かける事も許されるでしょう」
家令のダンとアイリーンの専属侍女のタニアの夫婦はアイリーンに甘い。アイリーンが慎ましやかに生活をし始めてからかなりの自由が許されている。
「これって罰になるのかしらね?」
「以前の奥さまでしたら、耐えがたい境遇だったのではないですか? 心持ちが変われば見える世界も変わるんですよ」
「ふふふっ。そうかもね。ありがたく感謝して、受け入れることにするわ」
確かに、ここに連れてこられた時のアイリーンは、茶会も夜会もおしゃれな店もない、着飾っても称賛してくれる人もいないこの場所に絶望した。でも、この状況に絶望して、自分に絶望して、そして改めて見回してみれば、ここは楽園のような場所だ。
小さな村だが、空気は澄んでいるし、緑豊かで自然に囲まれていて美しい景色が広がり、大きな建物がないせいか空も広く見える。教会までの道のりをダンとタニアとのんびり歩きながら、道端に咲く花を見て楽しむ。
動けるようになって、初めはダンやタニアやアン以外の人が怖かった。周りの皆が、アイリーンがヒステリーを起こしたあげくに、死んでいるような状態で介護されているのを知っているのが怖かった。数人の者を除くと屋敷で働く者は通いだ。小さな村なので、家族や友人に話していたりしたら、村人みんながアイリーンのことをダメでクズで捨てられた公爵夫人だと知っているだろう。蔑んだ目線で見られたらどうしよう。ヒソヒソと噂されたらどうしよう。アイリーンは屋敷の中でも侍女や侍従や騎士達の目線が怖くて、ずっと下を見て歩いていた。
でも、そんなのはアイリーンの思いこみで、冷たい目で見られたり、ヒソヒソと陰口を言われることはなかった。こういった田舎の小さな村では、皆仲が良くて、団結が強くて、おせっかいでおしゃべりなイメージがあった。だが、この村の人々は淡々としていて、お互いにある程度の距離感を保って暮らしている。アイリーンが問題ある公爵夫人だから、侍女達に遠巻きにされているのかと思ったが、それが普段のありのままの姿みたいだ。挨拶はするけど、雑談はしない。話しかければ答えてくれる。そういう関係性なのだと理解したアイリーンはようやく屋敷から出られるようになった。
元気を取り戻したアイリーンは暇を持て余した。本を読んだり、刺繍をしたりするのはあまり好きではない。ダンに相談すると、教会や孤児院で雑務を手伝うことを提案された。
教会や孤児院で働く人も聖歌隊に所属する人も、村人は概ねそんな様子だった。今のアイリーンはそんなドライに感じるくらいの距離感がちょうど良く感じて、すぐに馴染んでいった。
「ねー、アイリーン、なんで、文字を覚えないといけないのー? つまんないよー、外で遊びたいよー」
「知らないより、知っているほうがいいよ。勉強できる場所があるなら、学んだ方がいいよ。どこで自分の役に立つかわからないよ」
今日は、アイリーンは教会に併設されている孤児院で、子ども達に勉強を教えるのを手伝っている。活発で外で遊ぶのが大好きな ヨランダは、天気がいい日に室内にいるのが不満なのだろう。アイリーンもかつて、ヨランダのように机に向かうのが嫌で仕方なかった自分を思い出して胸がちくりと痛む。
「こんなの役にたつかなー?」
「うん。私も勉強するの嫌いだったけど、もっとちゃんと勉強しておけばよかったって後悔してる。そうしたら、がっかりさせたり、迷惑かけることもなかったのにって」
「ふーん……。でも、アイリーンは今、先生できてるからいいじゃん!」
「そうよ。だから、ヨランダも勉強できるときにしようね。ほら、あと一時間がんばったら、外遊びできるから」
ヨランダはなぜかアイリーンに懐いているので、なんだかんだ言いながら、アイリーンに言われたらちゃんとやる。もう一度、机に向かうヨランダを見て、他に困っている子がいないか見回した。
「ふーっ、子どもは元気だな……」
勉強の時間が終わって、外で元気に遊ぶ子ども達を窓から眺める。さすがに、体力のない元貴族令嬢のアイリーンには外遊びにつきあうことはできずに、部屋の片付けや掃除を手伝っている。
「レッドフォード公爵家ってすごいのね……」
小さな村なのに、教会も孤児院もアイリーンの寄付などいらないくらいに整っている。勉強や習得させる技術も多岐に渡る。孤児だけでなく、村の子ども達も自由に出入りできて、一緒に勉強したりしているし、親の仕事の間に子どもを預かったりもしている。建物やカリキュラムだけでなく、そういった仕組みもよくできていた。
こんな領地の片隅の村まで、居心地を良くするなんて、領主であるクリストファーはどれだけ労力を注いでいるのだろうか?
「そうですねぇ、色々と内部に問題はありますが、まっとうな領主であることは確かですねぇ」
どこからともなく現れた神父が、アイリーンの言葉に相槌をうつ。淡々とした距離感を好む村人の中の唯一の例外である神父は、アイリーンだけでなく皆になにくれとなく目をかけて、声を掛けている。
「私の寄付だったり、手伝いなんて必要ないくらいに整ってますよね」
「そうですね、正直な所、資金も人手も十分です。でも、気持ちが大事ですし、奥様がいると場が和みますから。潤いって何事にも必要なんですよ」
「ありがとうございます」
最初はクリストファーが現れたのかと思うくらいそっくりに見えた神父だが、接するうちに内面の違いからか、見間違えることはなくなった。綺麗な金色の髪と空色の瞳に透き通るように白い肌は同じだけど。人は外見が似ていても、表情や仕草で全然違う人に見えるものらしい。
「今日は聖歌隊の練習に顔を出しますか?」
「もちろん!」
神父と共に、教会へ行き、聖歌隊の皆と合唱の練習に励んだ。教会や孤児院の手伝いだけでなく、最近は聖歌隊の歌の練習にも顔を出している。歌を歌っていると、ああ、まだ生きていけると思える。青空に溶け込むような皆の澄んだ歌声と自分の体に響く声にアイリーンは力が湧いてくるのを感じた。そして、自分が周りの者達に見守られ、生かされていることに感謝した。
5
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
愛を語れない関係【完結】
迷い人
恋愛
婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。
そして、時が戻った。
だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる