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プロローグ
私が生きている意味
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こんな私が生きている意味ってなんだろう?
クズでダメで傲慢で性悪な私はなんで生かされているんだろう?
ああ、そうか、かつて私を捨てた夫の慰み者になるためか。
こんな私にもまだ、使い道はあったんだわ……
だから、この状況をただ受け入れる事しか今の私に選択肢はない。
◇◇
「うぅ……んん……」
春麗らかな晴天の今日。豊かな公爵家の領地の片隅にある人里離れた屋敷に、アイリーンの唸るような苦し気な声と夫がアイリーンに腰を打ち付ける音だけが庭に響いている。
小さな屋敷に付随する広大な庭は、さすがは公爵家の別宅だけあって、綺麗に整備され季節の花が綺麗に咲き誇っている。庭のあちこちに東屋や木のテーブルやベンチなどが配置され、庭を様々な角度から観賞できるようになっている。
そのうちの一つのテーブルで、結婚後1か月で捨てられた夫になぜかアイリーンは押し倒されていた。ドレスとも呼べない簡素なワンピースの胸元は乱暴に破られて、アイリーンの小さいが形の良い白い胸が外気にさらされている。アイリーンの喉から胸元まで、露出している部分には、夫が噛みついた跡や吸い付いた跡が散っている。
ろくにほぐされず、いきなり突っ込まれ、夫が腰を打ち付けるたびに、裂けるようなヒリヒリした痛みが襲ってくる。こういった事ははじめてではない。でも、慣れてもいない。経験したのは、夫との義務的な初夜の一回だけ。でも、あの時は潤滑をよくする薬でも使っていたのか、ここまでの痛みはなかった。あの時は、夫の態度を冷たいと思ったけど、それなりに気を使ってもらっていたのかもしれない。
強く掴まれている手首も痛い。ギリギリと締め付けるような強い力に細身で華奢なように見えて夫も男なのだと実感する。唸る合間に、はぁはぁと荒い息をしながら、夫の表情のない顔を見る。
アイリーンは、自分を蹂躙している夫と五年前に結婚した。ずっと妹に勉強や生徒会の仕事を肩代わりしてもらったツケがきたのか、元々の素養がなかったのか、次期公爵夫人としての仕事を熟せないアイリーンは、結婚後1か月で夫と義母に見限られた。
今もアイリーンの籍は公爵家に入ったままだ。病気で倒れた第一夫人として、公爵領の片隅の屋敷へ隔離された。ただ、温情として一生、面倒は見てもらえると言われた。
夫は出来損ないで嘘つきで性格の悪いアイリーンの代わりに、アイリーンと学園時代に成績を競っていた侯爵家のアンジェリカを第二夫人に娶り、彼女は恙なく次期公爵夫人の仕事をして、息子も生まれたと聞いた。爵位も継いで、夫は今はレッドフォード公爵家当主のはず。
なのに、なぜ、いらないといった妻を相手にこんなところで腰を振っているの?
目の前でアイリーンに覆いかぶさる夫のさらさらした美しい金色の髪が太陽の光に煌めいている。かつて、美しいと見惚れていた水色の透き通った瞳に感情はなく、目の前のアイリーンすら映していない。肌も透き通るように白く相変わらず人形のように顔立ちも整っているが、よく見ると、目の下には隈があり、頬もやつれている。憔悴した様子の夫に、痛みの中で疑問が湧いてくる。
なぜ、ひどい事をしているあなたの方がよっぽど苦しそうで、辛そうなの?
焼け付くような痛みと次々湧いてくる疑問の中で、気を失えたらよっぽど楽なのにと思った。でも、無駄に丈夫な体と心がそれを許してくれない。夫がアイリーンの中で果てた。荒い息をして、アイリーンにもたれかかる夫の体重を受け止めながら、やっと解放されると、ほっとした。
「考え事をしていただろう、アイリーン。まだ、余裕があるな。これで終わりじゃない」
一旦、自身のものを抜いて、アイリーンを反転させると、スカートをたくしあげて、今度は後ろから突き入れられる。
「あぁっ……」
快楽からではなく、激しい痛みにアイリーンから嬌声に似た悲鳴が上がる。
「んんっ……」
夫は、後ろから胸の尖りを強い力でつまんだ。また違った種類の痛みにアイリーンの頬に涙が零れる。
「なんだ、中が締まったぞ。痛いのが好きなのか? ここでどれだけの男を咥えこんでいたんだ? 許さない……許さない……お前だけ幸せになるなんて……」
早く早くこの時間が終わりますように。
アイリーンを甚振るように続く夫の行為に、ひたすら痛みに耐えて、目の前のテーブルの木目を目で追った。
なぜ、こんな事になったんだろう?
なぜ、こんな目にあっているんだろう?
これは罰なのだろうか?
痛みから逃れたくて、アイリーンは自分の体の感覚から意識を逸らせるように、ここに至るまでの自分のゴミのような過去に思いを馳せた。
クズでダメで傲慢で性悪な私はなんで生かされているんだろう?
ああ、そうか、かつて私を捨てた夫の慰み者になるためか。
こんな私にもまだ、使い道はあったんだわ……
だから、この状況をただ受け入れる事しか今の私に選択肢はない。
◇◇
「うぅ……んん……」
春麗らかな晴天の今日。豊かな公爵家の領地の片隅にある人里離れた屋敷に、アイリーンの唸るような苦し気な声と夫がアイリーンに腰を打ち付ける音だけが庭に響いている。
小さな屋敷に付随する広大な庭は、さすがは公爵家の別宅だけあって、綺麗に整備され季節の花が綺麗に咲き誇っている。庭のあちこちに東屋や木のテーブルやベンチなどが配置され、庭を様々な角度から観賞できるようになっている。
そのうちの一つのテーブルで、結婚後1か月で捨てられた夫になぜかアイリーンは押し倒されていた。ドレスとも呼べない簡素なワンピースの胸元は乱暴に破られて、アイリーンの小さいが形の良い白い胸が外気にさらされている。アイリーンの喉から胸元まで、露出している部分には、夫が噛みついた跡や吸い付いた跡が散っている。
ろくにほぐされず、いきなり突っ込まれ、夫が腰を打ち付けるたびに、裂けるようなヒリヒリした痛みが襲ってくる。こういった事ははじめてではない。でも、慣れてもいない。経験したのは、夫との義務的な初夜の一回だけ。でも、あの時は潤滑をよくする薬でも使っていたのか、ここまでの痛みはなかった。あの時は、夫の態度を冷たいと思ったけど、それなりに気を使ってもらっていたのかもしれない。
強く掴まれている手首も痛い。ギリギリと締め付けるような強い力に細身で華奢なように見えて夫も男なのだと実感する。唸る合間に、はぁはぁと荒い息をしながら、夫の表情のない顔を見る。
アイリーンは、自分を蹂躙している夫と五年前に結婚した。ずっと妹に勉強や生徒会の仕事を肩代わりしてもらったツケがきたのか、元々の素養がなかったのか、次期公爵夫人としての仕事を熟せないアイリーンは、結婚後1か月で夫と義母に見限られた。
今もアイリーンの籍は公爵家に入ったままだ。病気で倒れた第一夫人として、公爵領の片隅の屋敷へ隔離された。ただ、温情として一生、面倒は見てもらえると言われた。
夫は出来損ないで嘘つきで性格の悪いアイリーンの代わりに、アイリーンと学園時代に成績を競っていた侯爵家のアンジェリカを第二夫人に娶り、彼女は恙なく次期公爵夫人の仕事をして、息子も生まれたと聞いた。爵位も継いで、夫は今はレッドフォード公爵家当主のはず。
なのに、なぜ、いらないといった妻を相手にこんなところで腰を振っているの?
目の前でアイリーンに覆いかぶさる夫のさらさらした美しい金色の髪が太陽の光に煌めいている。かつて、美しいと見惚れていた水色の透き通った瞳に感情はなく、目の前のアイリーンすら映していない。肌も透き通るように白く相変わらず人形のように顔立ちも整っているが、よく見ると、目の下には隈があり、頬もやつれている。憔悴した様子の夫に、痛みの中で疑問が湧いてくる。
なぜ、ひどい事をしているあなたの方がよっぽど苦しそうで、辛そうなの?
焼け付くような痛みと次々湧いてくる疑問の中で、気を失えたらよっぽど楽なのにと思った。でも、無駄に丈夫な体と心がそれを許してくれない。夫がアイリーンの中で果てた。荒い息をして、アイリーンにもたれかかる夫の体重を受け止めながら、やっと解放されると、ほっとした。
「考え事をしていただろう、アイリーン。まだ、余裕があるな。これで終わりじゃない」
一旦、自身のものを抜いて、アイリーンを反転させると、スカートをたくしあげて、今度は後ろから突き入れられる。
「あぁっ……」
快楽からではなく、激しい痛みにアイリーンから嬌声に似た悲鳴が上がる。
「んんっ……」
夫は、後ろから胸の尖りを強い力でつまんだ。また違った種類の痛みにアイリーンの頬に涙が零れる。
「なんだ、中が締まったぞ。痛いのが好きなのか? ここでどれだけの男を咥えこんでいたんだ? 許さない……許さない……お前だけ幸せになるなんて……」
早く早くこの時間が終わりますように。
アイリーンを甚振るように続く夫の行為に、ひたすら痛みに耐えて、目の前のテーブルの木目を目で追った。
なぜ、こんな事になったんだろう?
なぜ、こんな目にあっているんだろう?
これは罰なのだろうか?
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