【R18】最弱魔女ですが、なぜか召喚できちゃった淫魔には即刻お帰りいただきます!

阿佐夜つ希

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第7話

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「ぷはあっ……!」

 気付けばテレシュナは、自分の部屋へと戻ってきていた。途端に圧迫感が失せ、必死で呼吸を繰り返す。
 目の前では、淫魔も水面から顔を出した瞬間のように、わずかに顎を上げて幾度も深呼吸をしていた。
 ひとまず死なずに済んだ――淫魔に抱き上げられているという落ち着かない状況ながらもほっと胸をなでおろす。
 すると、すぐそばからのんびりとした声が聞こえてきた。

「おかえり、ご主人さま、淫魔さん。もうした?」
「いいや。まだだ」
「ちょ!? ドラヒポちゃん!?」

 かわいい使い魔が言ったとは信じたくない発言に、テレシュナは淫魔の腕の上で身じろぎした。

「ドラヒポちゃん、なんてこと言うんですか!」
「えーだって、結構長いこと帰ってこなかったから、もしかしたらその場で始めちゃったのかと思ってさ。中間層に長居すると危険だって聞いたことあるから、心配してたんだよ? ボク」
「それは、ごめんなさい……。心配してくれてありがとう、ドラヒポちゃん」
「ううん。無事でよかったよ。さて淫魔さん、寝室はこの部屋を出て左に進んだところにあるよ」
「よし来た。気が利くじゃねえか、小型ドラゴンくん」
「ちょちょちょっと待ってドラヒポちゃん!? なんで急にそんなこと教えちゃうんですか!?」

 テレシュナが叫ぶ間にも、淫魔はずんずんと勢いよく目的の場所へとむけて移動し始める。小型ドラゴンの使い魔の姿が遠ざかっていく。
 助けを求めて使い魔に視線をすがらせると、ドラヒポがにっこりと笑った。

「そこまでがっつり抱き合った男女がすることなんて、決まりきってるでしょ。ボクは千年生きているからね、人型の生物について詳しいんだ」
「それは一般論じゃありませんか? それに抱き合ってるわけじゃなくて、一方的に支えていただいているだけでして……!」

 必死な叫びは届かなかった。あっという間に寝室に到着していたのだった。
 慎重な手つきで、そっとベッドの上に横たえられる。
 見上げれば、淫魔はテレシュナのすぐそばに腰を下ろしていた。今までにひとりと一匹しか乗せたことのないベッドが、聞いたことのない軋んだ音を立てる。
 腰を落ち着けて振り向いた淫魔は、嬉しそうな、それでいて切なげな顔をしてテレシュナを見下ろし始めた。

「なあ、あるじサマ」
「え、あ、そうですよね。私があなたの召喚主だから、主人ってことになるんですね……」
「ああ。無事に人間界へと主サマを連れ戻せたってことで、この下僕めにひとつ、褒美をくれねえか」
「あ、はい。もちろんです。何がいいですか?」

 使い魔をねぎらうというのは召喚主にとっての義務である、とテレシュナは思っている。主従関係とはいえ、一方的にこき使うのは、テレシュナのしょうに合わないのだった。
 問いかけた途端、少しだけ眉をひそめていた淫魔が、輝くような笑顔に変わった。

「もちろん、俺にとってのご褒美は、ご・主・人・サ・マ。一択だぜぃひゃっはー!」

 雄たけびと共に、淫魔がテレシュナに覆いかぶさってくる。

「ちょ!? 待っ……、んん!」

 驚きの声は、熱い唇にさえぎられた。
 初めてのキスに頭が混乱する。
 強引に奪われたファーストキス。
 一方的で乱暴なそれは、すぐに穏やかなふれあいへと変わった。

「ん、ん、……っは、ん、ん……」

 ちゅっ、ちゅっ、と軽やかに吸い上げられる。しばらくそれが繰り返されたあと、わずかに唇を浮かせて息継ぎの間を与えてくれる。そして今度は、このまま食われてしまうかと錯覚するほどに、熱心に唇をんでくる。
 頬にかかる吐息。時折洩れ聞こえてくる、淫魔の熱い吐息と微かな声。その切なげな響きは、淫魔が自分とのキスに没頭していることをありありと示していた。
 それに気付いた瞬間、体に変化が起きた。唇が重ねられるたびに、下腹部に感じたことのない疼きを覚える。
 ずっと、唇を重ねていて欲しい――。初めてのキスにもかかわらずそんなはしたない願いを抱いてしまうほどに、淫魔とのふれあいは心地よかった。

 不意に、ワンピースの下に淫魔の手が滑りこんでくる。強引に背の下に滑り込んだ手は、いともたやすくブラジャーの留め具を外す。ワンピースと共にブラジャーがぐいっと押し上げられて、肌がさらされた。
 あらわになった胸を、淫魔がじっと見下ろす。赤い目が見開かれる。

「わっ。み、見ないでください……!」
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