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第一章
2 淫魔のテクニック(☆)
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寝室に立たされたマージェリィは面食らっていた。
さすが淫魔とでも言うべきか女性を脱がせるなどお手の物といった様子で、あっという間に魔女の黒いローブを剥ぎ取られてしまったのだった。
ベッドの柵にローブを掛けた手がマージェリィを抱き締めるようにして背中を探り出し、すんなりとブラジャーも外されてしまった。素肌を晒された恥ずかしさに自分を抱き締めるようにしてそこを隠すと、くすりと笑う声が聞こえてきた。
笑うなんてひどいと思いながらふてくされて睨み付けると、宥めるような笑みを返された。
「笑ってしまってすまぬ、主よ。初々しい反応があまりに愛らしかったゆえ」
顔を綻ばせたまま、ブラジャーをローブの上に掛けて今度はショーツに手を掛けてくる。
官能小説の中では素敵な恋人が器用に下着までするすると脱がしていくように思えたが、脱がされる側も自分から足を持ち上げたりして協力するものなのだなと、マージェリィはひとつ学びを得たのだった。
全裸になった途端にまたしても膝裏をさらわれてお姫様だっこされて、ベッドに運び込まれる。
(わはあ、すごい……)
ひとつひとつの出来事に、いちいち驚きと感動が湧き起こる。
シーツの上にそっと仰向けにされて、続けてレヴィメウスが覆い被さってくる。男性が初めて乗ったベッドがぎしっと音を立てた。
何をされるのかなと緊張に固まっていると、まずは頬にキスされた。
音を鳴らす唇は頬だけでは留まらず、髪、額、目蓋、顎、そして鼻先と、ちゅっちゅっと音を鳴らしながら顔じゅうにキスしてくる。
(あ、【キスの雨】ってこういうことなんだ……)
恋愛小説や官能小説でその言葉を見かけたことはあったし、頭の中に思い描いたこともある。
それを今まさに自分が味わっているという現実が信じられずにぼうっとしていると、顔のあちこちに触れていた唇が今度は唇に近付いてきた。
キスするのかと思いきやぺろりと舐められ、そのくすぐったさと意外さに笑ってしまいそうになった瞬間舌が滑り込んできた。
「ん、ふう……」
二度目の深いキス。舌を擦り合わせる感触にぞくりとして、上擦った声を洩らしてしまう。
口内を探られる生々しい感触に夢中になっていると、胸を揉まれ始めた。
大きな手が確かめるようにそこを何度か揉んだあと、唇が離れていった。どうしたのかなと閉じていた目蓋をそっと押し上げると、レヴィメウスは感心した風な目付きでマージェリィの胸をじっと見つめていた。
「主の胸は……かなり大きいな」
「やっぱりそうなんですかね? 街へ出たときに見かける女性たちよりちょっと大きいかもなーとは思ってたんです。これは別に魔女の薬は使ってなくて元から……」
自分の体について説明していると、いきなり唇に人差し指をそっと立てられた。突然の感触にびくっとしてしまう。
恐る恐る表情を窺うと、少し呆れた風な苦笑いに迎えられた。
「主よ」
「は、はいっ」
「我は主の僕となったのだぞ。我に敬語を使うでない」
「あ、そういうものなんですか? そしたら気を付けま、えっと気を付けるね」
「よろしい」
レヴィメウスが軽く頷きながらにっこりと笑った。
その笑顔があまりに眩しくてどきっとさせられてしまう。
(ホントにレヴィメウスってかっこいいな。こんなに素敵な人が私と主従関係になってくれたなんて信じられないよ)
例えば『ずっと顔を見ててもいい?』とお願いしたら聞き入れてくれるのかな、などと考えながら綺麗な黄金色の目を見つめていたら、レヴィメウスがマージェリィの顔の横に手を突き、そっと頬を撫で出した。
宝石のような瞳でまっすぐに見下ろしてくる。
「さて。まずは主の体を存分にほぐしてやろう。我を受け入れる準備を整えねばならぬからな」
「あ、はいっ。あ、うん! わ、分かりま……分かった」
つい敬語が出てしまい、素早く口を押さえる。
あたふたとしている隙にレヴィメウスはマージェリィの頬に添えていた指先を首から鎖骨に滑らせると、胸に手のひらを密着させて、先端を指の腹で撫で始めた。
「んっ……!」
軽く触れられただけで胸の先から腹の奥まで痺れが走り、独りでに体が跳ねる。
そこを指で転がされる度に心地よさが駆け抜けていきびくびくと跳ねていると、今度は胸の上に覆いかぶさって来て胸の先を舐められた。
「はあんっ……!」
「どうだ? ここを刺激されるのは心地好かろう」
と言ってまたそこを口に含み、吸い上げたり舌でぴちゃぴちゃと弾いたりする。
「はう、はあんっ、はううう、とっても気持ちいい……!」
もっと舐めて欲しくて頭をぎゅっと抱き締める。
するとレヴィメウスが胸の突端に唇を触れさせたまま小さく笑った。
「ふ。その初々しい反応は……実にそそるな」
「んっ……!」
濡れたそこに吐息が触れるだけで快感を拾ってしまい、背筋に震えが走る。
再び口に含まれ舌で弾かれ始めればまた甘い痺れが手足の先まで行き渡り、魚のようにびくびくと全身が跳ねる。
躍らされている間に足の隙間に指が滑り込んできて、勝手に動く体に追い打ちを掛けるように秘所をくりくりと弄られた。
「――きゃうっ!」
今まで触られた中で一番強い刺激が走り、マージェリィは悲鳴に近い叫びを部屋中に響かせた。
途端に愛撫がやむ。
「……今の触れ方は辛いか?」
「ううん、だ、大丈夫。でもね、なんか……すごく体がびくびくしちゃうの」
「そうか。我の愛撫に感じてくれているのだな。どれ、もっと可愛がってやろう」
再び秘所への愛撫が再開される。先ほどよりも優しく触れられて、強すぎない刺激にたちまち夢心地にさせられる。独りでに腰が浮き、気持ち良さのあまり胸を舐め続けているレヴィメウスの頭をぎゅうぎゅうと抱き締めてしまう。
「はうん……気持ちいよう……」
舌で胸を弾かれると同時に、指先が秘所をめくるように丹念に捏ね回す。ふたつの刺激が体の中心を駆け抜けていき、もはやその感覚を追うこと以外に何も考えられなくなる。
与えられる心地よさにただただ溺れていると、
「あっ……!」
不意に指が一本挿入された。
ずるりと体内に滑り込んでくるそれに、自分の体がすっかり濡れていることに気付かされる。
そんな自分の体の反応に恥じらいを覚えた直後。
「きゃうんっ!」
長い指がずるっと抜き出され、また元の深さまで戻って来た。
一度抜き差しされる度に、信じられないほどの快感が腹の底から湧き起こる。
「ふううう……はううう……!」
外側を撫でられていたときとは違う、深く体の奥底にまで響く痺れに涙が浮かんでくる。
体の中を掻き回される動きに翻弄される中、薄く目を閉じ涙を流れるままにしていると、レヴィメウスが胸の先をしゃぶりながら呟いた。
「ふ。まだ本番ではないというのに、これほどまでに敏感な反応をするとは……。実に愛いの、主は」
低く甘い声にどきっとさせられる。
マージェリィは懸命に呼吸を繰り返しつつ、涙の向こうに見える柔らかな笑顔を見上げた。
「ほ、本番?は、これ以上、気持ちよくなっちゃうの……?」
「ああ、もちろん。我の男根を主の膣に行き交わせ、主の子宮口を突く際は、過ぎた快楽に幾度も気を遣ることであろう」
「そ、そんなに……?」
「ああ。主が慣れぬうちは我も加減するように心掛ける所存だ。しかし主の瑞々しい反応にあてられてつい没頭してしまうやも知れぬ。我も性交は久しぶりなのだ。許せよ」
「う、うん、私も、レヴィメウスに夢中になってもらえるのは嬉しい、よ」
(本当に、私、気絶するほど感じちゃうのかな……)
今まで一度としてなったことのない状態にこれから自分がなってしまうのだと思えば、ただでさえ速くなっている鼓動がますます高鳴り出す。体が勝手にレヴィメウスの指をきゅっきゅっと締め付けてしまい、その動きにくすりと笑われ恥ずかしさのあまり顔を逸らす。
慣れない感覚と制御できない自身の反応に動揺して体を強張らせている間にも、緊張を解きほぐすかのように穏やかな指の抜き差しが再開された。
「はあんっ、はうん、はうう……」
体が溶けてしまうかと思うくらいの気持ちよさうっとりとしてしまう。
優しい手付きに浸っていると、いきなりぐちゅぐちゅっと激しく掻き混ぜられた。
「きゃうっ!」
突然の衝撃に全身が跳ね上がる。
するとまたすぐに緩やかな愛撫に戻った。
緩急を付けて触られて、手だけでこんなにも翻弄されてしまうことに驚かされる。
本当に、実際挿入されたときには一体自分はどうなってしまうんだろう――不安を抱き始めた矢先、長い指が中を丹念に擦りつつ、親指で外側の秘所を捏ね始めた。
「きゃんっ! はうう、はうんっ……!」
突然別の気持ち良さが加えられ、堪えがたい快楽にシーツに足裏を突き腰を浮かせてしまう。
必死に手を伸ばし、レヴィメウスの逞しい腕に縋り付き爪を立てて抵抗を試みる。
力んだ手の中にレヴィメウスの筋肉の動きが伝わってきて、その感触にすら高ぶらされていく。
「レヴィメウス、ダメ、ダメえ、いっぱいきもちいの、だめ、だめえ、はううっ、ふうっ、ふうううっ……」
自分でも聞いたことのない声が出そうになり、両手で口を押さえ込む。
その間にも内を外を同時に撫でられ、信じられないほどの快感が全身に響き渡った。腰をびくつかせながらも口を押さえる手に力を込めて声を抑え込む。
「んんっ、んんんっ……!」
自ら声で発散できなくした分、行き場をなくした快感が涙となって浮かんできた。
直後、レヴィメウスの綺麗な顔が近付いてきて雫の溜まった目尻にキスしてきた。恋愛小説で見たことのあるその仕草に驚く間にも、今度は耳に唇を寄せて低い声を流し込んでくる。
「主よ。声を聞かせてくれ」
「――んうっ!」
色っぽい声が背筋を駆け抜けていき、下腹にまで痺れを走らせる。
(声にまで感じさせられるってこういうことなんだ……!)
こんな風なシーンもまた官能小説で読んだことがあったのだった。
ひとつひとつの出来事にいちいち驚かされて混乱状態に陥っていると、口を押さえている手を剥がされてしまった。涙で歪んだ視界の中に、色気たっぷりの微笑みが見える。
「なにゆえ声を堪えるのだ、主よ。声にして発散すれば、より感ずることができるというのに」
「だって! ヘンな声出ちゃうからヤダよ、恥ずかしい」
「変なものか。実に愛いぞ、主の声は」
「私がご主人さまだからそう言うの?」
「否。心の底からそう思っている」
「本当に?」
「本当だ。だから主よ。我の愛撫に溺れていると、声にして聞かせておくれ」
「う、うん……」
改めて声を出さなきゃと思うと恥ずかしい。しかしそんな羞恥心は、愛撫が再開された途端に弾け飛んだのだった。
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