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第2章 びしょぬれ令嬢の回想
第019話 ババアじゃねーか!
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使用人からは、
「聞きあきた」
「長い」
「つまらない」
と評判の昔語りが始まった。
「あれはまだわたくしが魚卵のような乙女だった頃のこと」
ウオコお嬢様はノリノリで、
「叶わぬ恋をしておりましたわ。お相手は同じパーティーに所属するメンバー。まるでヒレのようなお耳が猛々しくて――」
「ちょっと待ってください」
「どうかしましたか?」
どうもこうもウオコお嬢様って元冒険者ですか?!
「若気の至りといいましょうか。でも結構強かったんですわよ」
「A級……だったりして?」
「正解♡」
「!?」
「史上最強と謡われたパーティーに所属していましたもの。何を隠そう、ドラゴン族を巨大魔石封印したのはわたくしのパーティーなのですわ」
マジかよ……。
ただのボンボンかと思ってたら武闘派じゃねーか。
ん?
でもよ、確かドラゴン族が封印されたのって、だいぶ前のことだよな?
ってことは……
「ババアじゃねーか!」
言っちゃいけないことを言っちゃったのはテレジアちゃん。
使用人たちの顔がさーっと青ざめる。
ウオコお嬢様はにこにこで、
「あら、エルフさん。何かおっしゃいましたか?」
「耳が遠いのかよ。やっぱババアじゃねーか」
「ふふふ。面白いですわね。同じエルフ族でも、愛しのあの方と違って、なんとまあお下品なことでしょう」
「あんたが好きだった人ってエルフ? 種族が違うじゃん。バッカじゃねーの」
「処しなさい」
使用人たちがテレジアちゃんを引っ張って行く。
これはしょうがない。
「おい! 助けろ!」
と言われても、俺もOKチョーケーも動かない。
使用人の一人が魔法を発動すると、テレジアちゃんとミズッキーニはふわりと宙に浮いて、プールの中に放り投げられた。
「ふえぇ~。どうしてぼくまでぇ!!?」
遠くでミズッキーニの声が響いた。
* *
「迎えに行ってあげますか」
さすがにかわいそうと思ったのか、翌日、OKチョーケーは朝一番でプールに向かった。
「おい! さっさと引き上げろ!」
「ふえぇ~」
テレジアちゃんとミズッキーニはプールの水から出られないようにされていた。
魔法の力で、自力では這い上がれないらしい。
OKチョーケーに助けられても、テレジアちゃんはお礼ひとつ言わず、
「あのババア、絶対ブッ殺す!」
違うから。
殺害じゃなくて警護が仕事だから。
「ふえぇ~、お水いっぱい飲んじゃいましたぁ~」
ミズッキーニは泣いてた。
「一晩中、テレジアさんがぼくを浮き輪代わりにしてきたんですぅ~」
「チクってんじゃねーよ、クソガッパ! いや、違う。違うって、てるてる坊主様。そんな目で見ないでよ。私はこいつに泳ぎ方とか浮き方とかを教えてあげてただけで――」
「この人、嘘つきですぅ」
「っせぇ! 黙れ!」
「いたぁ~い」
はいはい、内輪揉めはもおう終わり。
「お客さんが入り始めたぞ」
今日は魚輪の開催日。
「聞きあきた」
「長い」
「つまらない」
と評判の昔語りが始まった。
「あれはまだわたくしが魚卵のような乙女だった頃のこと」
ウオコお嬢様はノリノリで、
「叶わぬ恋をしておりましたわ。お相手は同じパーティーに所属するメンバー。まるでヒレのようなお耳が猛々しくて――」
「ちょっと待ってください」
「どうかしましたか?」
どうもこうもウオコお嬢様って元冒険者ですか?!
「若気の至りといいましょうか。でも結構強かったんですわよ」
「A級……だったりして?」
「正解♡」
「!?」
「史上最強と謡われたパーティーに所属していましたもの。何を隠そう、ドラゴン族を巨大魔石封印したのはわたくしのパーティーなのですわ」
マジかよ……。
ただのボンボンかと思ってたら武闘派じゃねーか。
ん?
でもよ、確かドラゴン族が封印されたのって、だいぶ前のことだよな?
ってことは……
「ババアじゃねーか!」
言っちゃいけないことを言っちゃったのはテレジアちゃん。
使用人たちの顔がさーっと青ざめる。
ウオコお嬢様はにこにこで、
「あら、エルフさん。何かおっしゃいましたか?」
「耳が遠いのかよ。やっぱババアじゃねーか」
「ふふふ。面白いですわね。同じエルフ族でも、愛しのあの方と違って、なんとまあお下品なことでしょう」
「あんたが好きだった人ってエルフ? 種族が違うじゃん。バッカじゃねーの」
「処しなさい」
使用人たちがテレジアちゃんを引っ張って行く。
これはしょうがない。
「おい! 助けろ!」
と言われても、俺もOKチョーケーも動かない。
使用人の一人が魔法を発動すると、テレジアちゃんとミズッキーニはふわりと宙に浮いて、プールの中に放り投げられた。
「ふえぇ~。どうしてぼくまでぇ!!?」
遠くでミズッキーニの声が響いた。
* *
「迎えに行ってあげますか」
さすがにかわいそうと思ったのか、翌日、OKチョーケーは朝一番でプールに向かった。
「おい! さっさと引き上げろ!」
「ふえぇ~」
テレジアちゃんとミズッキーニはプールの水から出られないようにされていた。
魔法の力で、自力では這い上がれないらしい。
OKチョーケーに助けられても、テレジアちゃんはお礼ひとつ言わず、
「あのババア、絶対ブッ殺す!」
違うから。
殺害じゃなくて警護が仕事だから。
「ふえぇ~、お水いっぱい飲んじゃいましたぁ~」
ミズッキーニは泣いてた。
「一晩中、テレジアさんがぼくを浮き輪代わりにしてきたんですぅ~」
「チクってんじゃねーよ、クソガッパ! いや、違う。違うって、てるてる坊主様。そんな目で見ないでよ。私はこいつに泳ぎ方とか浮き方とかを教えてあげてただけで――」
「この人、嘘つきですぅ」
「っせぇ! 黙れ!」
「いたぁ~い」
はいはい、内輪揉めはもおう終わり。
「お客さんが入り始めたぞ」
今日は魚輪の開催日。
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