皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜

菰野るり

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闇の来訪者

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その夜、雲泪ユンレイが目を覚ましたのは、微かに懐かしい匂いを感じたからだった。
満天の星空、生ぬるい草原に横たわり、彼の腕に抱かれて、頬を寄せて、首筋に口付けをする。

「…奕世イース…」
その名を口にするのは何年ぶりだろう。
瞼をあけると傍らには奕世イースの姿があった。 雲泪ユンレイに突然名前を呼ばれるなど思わなかったのだろう。その瞳には驚きがあった。

無骨な手が雲泪ユンレイをこわごわと撫でる。

「一目みにきた…会う気はなかった」

「もう死ぬまで会うことはないと思っていたわ」
手の届く先に奕世イースがいる。夢うつつの中、雲泪ユンレイはその頬を撫でる。
奕震イーチェンが俺より先に死んだか」
「まだ生きてるって思ってる。死体を見てないもの」
「待ってるんだな」
悲しそうに奕世イースは呟く。
「俺は招かれざる客だろう、お前は結局俺を待ってたわけじゃない」
「待ってたこともあるわよ、随分と昔にね。その時に来なかったんだから私たちのお話はおしまいよ」
そう言い切る雲泪ユンレイの方は随分と華奢に見えた。

奕世イースは迷いなく、 雲泪ユンレイに口付けをする。
「少し痩せたんじゃないのか」
「あなたは少し老けたみたい」

奕世イースの強い腕の力で抱き寄せられる。

「愛してる」

その言葉に 雲泪ユンレイは顔を歪める。
「ずるいわ、そんなこと…言われたら」
胸いっぱい奕世イースの匂いを吸い込む。
「もう、あらがえないわ」

なぜここに奕世イースがいるかも、どうでも良かった。夢の中で気持ちが赴くままに彼と愛し合いたかった。

「ねえ、このままさらって」

「私もうひとりになりたくない」

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