皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜

菰野るり

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黒曜の血筋

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 堯舜ヤオシュンは満面の笑みで白露バイルーたちを厩戸に案内している。

「これが黒曜コクヨウ、母上の馬だ。ここにいる馬は今やほとんどコイツの血をひいているんだ」
「母上?お母様?」
白露バイルーに聞き返されて 堯舜ヤオシュンは口を滑らせたことに気づく。
「い、いや。母上の馬と呼んでいるんだ、ずいぶんなお爺さんだが、オスだけど…ホラ!ここの馬の血筋の源流って意味だ」
「そんな言い方なさるんですね!わたし馬には詳しくなくて知りませんでした」

男の子の飛飛フェイフェイは興味津々で黒曜のをなでようと 堯舜ヤオシュンに抱かれながらも身を乗り出して撫でようとしている。
女の子の花花ホワホワは大きい動物が怖いのか白露バイルーにギュッとしがみついた。

「はは、怖くないよ」

小さなお手手がぎゅっと白露バイルーにしがみついているのはなんとも形容し難い可愛らしさだ。 堯舜ヤオシュンは胸の内に広がる暖かみを感じた。

不思議だ。

彼らといると不思議と落ち着く。

「わあ、真っ白なお馬だ」
飛飛フェイフェイの声に花花ホワホワも顔をあげる。視線の先には白馬が繋がれていた。

あんな馬はいなかったはずだがと、怪訝に思いながら近づいてゆく。衛兵と見知らぬ女が歩いてくるのが見えた。

「おい、厩戸係。水と干し草、コウリャンも持ってこい」
衛兵は相手が皇帝陛下だとは思いもよらないのだろう。大きな声で命令をうけた 堯舜ヤオシュンは「はい」と答える他ない。


白露バイルー飛飛フェイフェイを渡すと、「また今度ゆっくり、あとで」と 堯舜ヤオシュンは中座するしかなかった。

高貴な方に無礼があってはいけないと、頭を下にさげて白露バイルーはやりすごす。衛兵と銀髪の女性は白露バイルーを見ることもなく通り過ぎた。

「ママ、お姫様みた?」
「お姫様きれい」

はしゃぐ子供たちを抱いて白露バイルーは後宮への道を戻った。
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