皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜

菰野るり

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川のほとりで

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ズンズン歩いた白露バイルーは奇しくも、雲泪ユンレイと出会った川のほとりで立ち止まった。

「本当に失礼な目に合わせてごめんなさい」
煌めく両の目からは涙が溢れそうだ。
「いや、俺は大丈夫だ。君こそ」
華奢な両腕に幼子を2人抱いている彼女をみると、不思議となんでもしてあげたくなった。母の言っていたやつはこれか。男の子の方を白露バイルーの腕から抱きあげると、男の子は母の頭を撫でた。
「ママ、泣かないで」

その光景に 堯舜ヤオシュンは胸が締め付けられた。彼女たちを捨てた男に怒りすら湧いてきた。

「大丈夫だよ、これからは俺が守る…」
言いかけて自分に気持ち悪さを感じた 堯舜ヤオシュンは慌てて言い直す。
「これからは俺が仕事場につれていく?母から紹介すると、ほら言われていただろ」
白露バイルーの顔がパァッと華やぐと、 堯舜ヤオシュンはえもしれぬ多幸感を感じた。
「あの話、てっきりさっき私を連れ出す為の嘘かと」
「ママ良かったね」
「嬉しいね、笑ってるママ好き」
子供達が口々に喜びの声をあげる。

「嘘じゃないさ、今から行こう。住み込みで保育園もある。洗濯と繕いものと刺繍の仕事だ。持って行きたいものはあるか?」


白露バイルーが荷物をまとめる間、 堯舜ヤオシュンは護衛の影に指示を飛ばす。まさか、母親の言うとおり、このまま連れ帰るとは思っても見なかった。

影の1人が先に月華宮に戻り、どうせ母と女官たちがわくわく準備をするだろう。白露バイルーたちはほとんど荷物という荷物がなく、すぐに戻ってきた。

「俺は馬の世話をしているんだー」などと嘯きながら、ゆっくり城下へ向かう。

宮につくと母付きの女官頭小青シャオチンが迎えにきていた。もう後は任せれば大丈夫だろう。

「え、ここは…?」

宮で働くなどとは聞いていない白露バイルーが驚きの声をあげる。
「あ、あとは小青シャオチンに聞けばわかるから、無愛想だがいい人だよ」
小青シャオチンは無愛想どころか、見たことないような笑顔で出迎えている。

「じゃあ、俺は馬の世話があるから!」
「あの、お名前を…」
シュンでいい、またね」

足早に別れを告げ、 堯舜ヤオシュンは軽い足取りで抜け道を駆け抜ける。胸が高揚しているのに気付かないまま。鼓動が走っているからだと勘違いしたまま。
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