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信頼のカタチ

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「いつから知っていた?」

私を寝台に置くと、アンリは静かに尋ねた。

「最初から」
「あの子が魔王と知っていて、なぜ私に話さなかった」
「あなたと私が彼を愛せば変わると思ったから」

アンリは私をベッドに押し倒す。
「愛せば?こんな風にか?」
アンリは滾る雄を私に押し付けながら、熱い唇を押し付ける。

「なぜ、言わなかった。俺は信用されていないのか」
「あなたを巻き込みたくない」

アンリは大事だ。アンリを愛している。

「ユティカが大神官をけしかけて、私たちを滅ぼそうとしてる、魔王も、だから相談しに行ったの」
「なぜ俺に相談しない?あいつより頼りないか?」

私はいつの間にか、理由をつけて、アンリを裏切っていたのだ。良い人のアンリは気づかない方が幸せだろうと決めつけて。

「ミアは俺が守りたい」

私に覆い被さるアンリは大きくて、あの日のことを思い出してた。継母に殴られて、痛くて、アンリを思って耐えて。私の全身にアンリがキスをくれた日。

アンリはあの時、私の全てだった。

なぜだろう、私には泣く権利なんてないのに涙が止まらない。アンリともシュヴァルツともナタリーも私に関わってくれたこの世界の人に幸せになってほしいなんて、とんだ独りよがりだ。

アンリの側にいられたらいい。

肩に首にしがみついて、彼が名付けたミアという名前、私に巻かれたチクチクした毛布。自由気ままな風のようなアンリ。

拾われた子猫のように甘えていたかったのに。

私はなんで小賢しくなってしまったのだろう。
彼を傷つけるほどに。
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