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第51話 おい、お前ギルマスだろ、無視すんなよおい

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 ざわざわ
 
 シ・ハイニンの声を皮切りに、証人と呼ばれた者たちがぞろぞろと入廷してくる
 
「おいおい、嘘だろ…」
 
 そこには見知った顔が揃っていた
 
 と言っても、路地裏でぼこぼこにしたゴロツキや、自警団の団員…に扮した教団と思しき奴ら
 
「やっほー」
 
 その中には、陰鬱な表情で手をひらひらさせるフォリンの姿もあった
 
 全体的にまずい…、殆ど俺に不利な発言しかし無さそうな奴らしかいない。フォリンがいるのは不幸中の幸いか
 
 そして、証人達の証言が始まった訳だが
 
「ーーーそして、あなたは被告人から暴力を受けたと」
 
「ええ、路地裏の掃除をしていたら突然…兄貴なんて壁までぶっ飛ばされて…」
 
「異議有りぃぃぃ!」
 
「ひえぇっ」
 
「「ひえぇっ」じゃねーよ!お前、ふざけんなよぉ!」
 
「被告人、今は証人が発言をいているんですよ?ちょっと黙って貰えますか?恐喝と捉えますよ」
 
 レッドが笑いを堪えながら、指摘をする
 
 こいつ、さっきからなんなんだ。この場を楽しんでいる感じがひしひしと伝わってくる、こういう人を小馬鹿にして裏で何やってるかわからん奴が一番危ないんだ
 
「その通り、異議は認めません」
 
 レッドに賛同するようにライムが続く
 
「凶夜さん、これは旗色が悪いですよ」
 
「キョーヤ死んじゃうの?」
 
 (こいつら…他人事だと思いやがって)
 
「さぁ、続けますよ」
 
 続いて、自警団の団員(教団の人間)と名乗る証人が強い口調で発言を始める
 
「俺たちの団長はこいつにっ、いやこの悪魔に重傷を負わされたんだっ、家族だっていたのに働けなくなった団長を嫁は見捨てていっちまった、ひでぇ話じゃねーか!こんなこと人間のすることじゃねぇ」
 
 うむ、これが演技なら100点満点だろう、傍聴席からも抗議の視線が凶夜へと向けられる
 
 マークの野郎…生きてたのか…
 ってのが正直な感想だが
 
 いやそんな事行ってる場合じゃない、これは非常にまずい状況だ
 
 凶夜の額に汗が滲む
 
 なんせ、これはまったく嘘ではない、マークが魔王誕生に加担していた背景を知っていれば、決して責められる事ではない筈だが、それを証明する手段がないときている
 
 (…いや、まてよ?)
 
 フォリンがいるじゃねーか!
 
 ここは一発あいつに頑張って体を張ってもらうしか俺が助かる方法は無いな…
 
 そう思い、次の証人であるフォリンへ目線を写し、両手で拝むように合図を送るが
 
 (頼むっ、お前しか頼りがいねーんだ)
 
 ふるふる
 
 フォリンはそれを見て凶夜の意図に気がついたのか、一瞬考え込むような素ぶりをする
 
 (だぁぁ、何を悩んでるんだ!助けてくれこのとーり!へるぷみぃぃぃ!)
 
 そして目線を凶夜に合わせると、まるで自分には期待するなとでも言うように力なく首を横に振った
 
 
 (えっ?)
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