異世界ボーナスを引き当ててしまったようです。

SAIKAI

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第46話 後始末は的確に

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「やっと、やってくれたにゃぁ…ちゃんと、皆さん無事の様ですにゃ」
 
 村の入り口付近の丘から
 凶夜達がアプリを捕縛した事を確認した人物は呟いた
 
「んーーー、これでやっと次に進めるにゃぅーーーっ」
 
 ぴょこぴょこと尻尾を振り、耳をパタパタさせながら
 
 両手を天に掲げて伸びをする
 
「それにしても…はぁ」
 
 数秒経った後、挙げた両手をそのまま下げ、頭を垂れて何かを思い出したかの様に大きなため息をついた
 
「私は一体いつまでこんな理不尽に付き合わされるんだにゃ…ぐぬぬ、世界のバッキャニャローーーーーー! 全部あの緑髪のせいだにゃああああ!」
 
 一頻り叫んだ事で満足したのか、そろそろ自分の城(酒場)に戻るか、と
 
 その場に広げた双眼鏡や、武器の類を仕舞い始める
 
「次は無いといいんだけどにゃ…あーあ、どっかでこの現在いまを記録しておければいいのににゃー、そしたらエンディングまで一直線…ってそうそう都合よくはいかにゃいかぁ、そもそも誰がエンディングかもわからにゃいしぃ」
 
 酒場の店員にして、冒険者でもあり、さらには猫族でもあるという無駄に属性を詰め合わせた人物
 
 マディ・スカーレットの苦難は続くのだ
 
 もっとも、その苦悩は本人にしか分からないのだが…
 
 
 
 
 --------------------
 
 
 
 
「ふぁーあ」
 
 
 
「ほら、凶夜さん 欠伸あくびしてないで ちゃんと説明してくださいよ」
 
「そーだよ、もう沢山寝たでしょ?」
 
 凶夜達一行はアプリの一件の後、後日に事情聴取をすると言う事で一旦解散し、ギルド所管の病院で治療を行っていた
 
 そして、3日経った本日、報告のためギルドへと出向いたのだった
 
 報告は依頼を受けたギルドマスターの部屋で行うことになった
 
 まぁ秘密の依頼だったし、少しでも外部へ漏れる心配がない報告場所を選ぶのは、当然といえば当然だが
 
 ちなみに、俺は3日間寝っぱなしだった
 
 なんというか、倦怠感が酷くてずっと起きれなかったと言う方が正しいのか
 
 こんな事、今まで無かったんだけどなぁ…人生で初めて人間との命のやり取りをしたからだろうか?
 アプリとの戦いはゾッとする事の連続だったし
 
 まぁ死ぬかもしれんという状況ならこっち(異世界)に来てからここまで、割とあっている気はするけど
 
「で、結局教徒の目的は魔王の復活…いえ誕生だった…と?」
 
 椅子に腰掛けた、フォリンは手元の資料らしき物を見ながら話しかけてくる
 チラッと見えたが、町の被害状況や、教団の事が記載されている様だった
 
 もちろん俺自身が魔王候補である事は言っていない、アプリが言えばバレる事になるが、まぁ心配無いだろう
 
「ああ、少なくともアプリの目的はな」
 
「ふーん、今アプリコットの尋問を続けてるんだけど、一切口を割らないのよね、でもまさか魔王を誕生させようなんて、驚きだわ」
 
 (魔王候補については他の奴に話したら面倒な事になるのは目に見えてるしな、そもそもアイツの目当ては俺なのだからそんな話したら俺が拘束されかねない事も重々承知だろうし、そりゃ言わないよなぁ)
 
 改めて自分がメンヘラに狙われている事実を確認してぶるっと震える
 
「なぁ?」
 
「なによ?」
 
「ところで、なんでそこに座ってるんだ? いや、ずっと気になっていたんだが、あまりに自然に座ってるからツッコミが出来なかったんだが」
 
 しかも前に来たときよりも部屋が綺麗になっている、気がする
 フォリンの座っている椅子も、もっと埃まみれだった様な…
 
「だって私の椅子だもの」
 
「へーそうなんだ」
 
「そうよ」
 
 何でもない事の様に応えるフォリン
 
 しかし、どう見てもその椅子は以前に他ならぬフォリンから聞いたギルドマスターのものなんだが
 
「あ、もしかしてギャグか」
 
「凶夜」
 
「なんだよ」
 
「馬鹿だなーとは思っていたけど予想以上ね」
 
 はぁ、とため息をつき、手元の資料へ目を戻す
 
「あ、凶夜さん凶夜さんっ、私わかりましたよ!」
 
 そこへ横でゴールデンスライムの瓶を眺めていたクラリが突如、話しに割って入ってきた
 
「何がだよ、お前はそれでも食って大人しくしてろ、頼むから」
 
「どういう意味ですか、こんなん食べないですよ! だから、フォリンさんがマスターなんですよ」
 
「はぁ?」
 
「正解! クラリはかしこいわねぇ、どこぞの馬鹿とは出来が違うわ」
 
「えへへ」
 
 クラリは満更でも無い、顔でフォリンに頭を撫でられている
 
「えぇ…もしかしてギルドマスターなの? 駄フォが?」
 
「そうよ、それと駄フォは禁止って言ったでしょーが」
 
 眩暈がする…なんで受付嬢がギルドマスターもやってんだよ
 意味がわからん
 
 そういえば学校の校長が売店のおばちゃんで新人先生の質を見るとかそういうの漫画であったなぁ とか現実逃避をしてしまう
 
「でも、お前 前にギルドマスターは留守にしてるって…」
 
「あ、あれね 嘘よ嘘、あの時は忙しくて説明するのめんどくさかったんだもの、まぁ後は正体を隠しておくと動きやすいじゃない?」
 
 …まじか こいつまじか …うん、まぁ もういいわ それはそれでいい
 こういうもんだと思って諦めよう 考えるだけ無駄だ
 
「わかった」
 
「あら? えらくものわかりがいいじゃない?」
 
「いいんだ、俺にはそれよりも大事なものがある」
 
 そう、金だ マネーだ
 
 金、俺が現世で借金取りに追われる理由になった人類の英知の結晶
 これさえあれば、大抵の事はなんとかなる
 
 逆に言えば、無ければ死ぬ!
 
 もうそんなレベルの代物だ
 
 金は命より重い、そんな格言が生まれるくらい重要なんだ
 
「ああ、それね、報酬2倍だったっけ」
 
「そうだ、1万ゴルド 今すぐよこせっ さーよこせ」
 
 凶夜はフォリンに倒す勢いで迫るが
 
「あー、実は使ちゃった てかさらに追加で5千万ゴルド必要、みたいな?」
 
「は、はぁあああああああ??」
 
「ほら、心当たり無い?」
 
 心当たり、金を使うような?
 
「……ある、いやあるにはあるがその金額は無いだろ」
 
「キョーヤ…」
 
「凶夜さん…」
 
 ミールとクラリが哀れみの目で見てくる
 
 こいつ等、他人事みたいな感じだしてるが、お前等も当事者なんだぞ?
 
 思い当たるのは、塔の破壊と地下牢の破壊、実際に壊したのは俺じゃないが
 
「崩れかけてる塔の修繕費ね、あと地下牢も今回アプリを閉じ込めるために改修したのよ」
 
「おい、前半も納得行かないが、後半は確実に俺のせいじゃないんだが」
 
「あら? 壊したでしょ牢屋? 入りたいの?」
 
「いえ…」
 
「そう、よかったわ」と、フォリンは何やら書類にサインをする
 
 …これだけ苦労して、借金を背負う羽目になるとは
 
「悪夢だ…」
 
「あと、なんか裁判所から任意同行?求められてたわよ? あとで行っておいてね」
 
 そう言うとフォリンは凶夜達を部屋から出した、心なしか扉が閉まる音が重い
 
 (まるで俺の心の様だ…)
 
「なぁ?こんな金額返せる気がしないんだが」
 
「凶夜さん、今こそ古代龍エンシェントドラゴンの討伐へ行くべきですよ!エンシェントドラゴンを倒せばそんな借金楽勝で返せます!」
 
「キョーヤ大丈夫だよ、よくわかんないけど借金を背負ったのはキョーヤな訳だし」
 
「がぁぁぁーーー!お前らは本当にポンコツだな!聞いた俺が悪かったよ、ちくしょう!」
 
 凶夜の苦難は続く
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