34 / 50
第一章
第34話 美麗な剣士のコンタクトマテリアル
しおりを挟む
この話の主な登場人物
カトリーヌ 主人公(わたし)
フランツ 護衛
ヒルダ 家庭教師
金髪の剣士
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
飛び出した剣士は足をあげ、勢いそのままに、その足の裏で賊を蹴り押した。
「うあっ」
賊は道の反対側、緩やかな傾斜を転がり落ちてゆく。
「大丈夫ですか?」
美麗な剣士がヒルダに微笑む。
暗闇でもそれと分かる端正な面立ち。
わずかな残照でも光る長いブロンドがきらきらと輝いている。
その長い毛の間から、青い目がのぞいていた。
「だ、いじょ、うぶ、です」
ヒルダはその剣士に見とれながら答える。
そのとき、二人の横をフランツが駆け抜ける。
彼は剣士に向かって、「助かるっ」と声をかけ、背後の賊へ突撃を敢行した。
そして剣戟を繰り広げた。
ぎんっ、がきん、と剣が打ち合わされる音が響き、その途中途中で、「ぐぎゃ」と悲鳴が聞こえ、賊が倒されてゆく。
ヒルダは胸の前で両手を握り合わせている。
震えが止まらないのだ。
剣士はその震えるヒルダの手をとり、そして身体を低くして片膝をついた。
その姿勢で彼女の手の甲に口をつけ、「ご無事で何より」と言った。
ヒルダの震えが一瞬で消える。
それを確認した剣士は顔をあげた。
そして固まる。
初めてヒルダの顔を子細に見た彼は、薄暗がりでもそれと分かるほど顔を赤くしている。
「あ、あの」
剣士が何かを語ろうとしているが言葉がでない。
やっという感じで勢いよく口を開いた。
「と、とにかくっ、怪我がなく、なくて、よかうたっ!」
剣士が言葉をかんだ。
それを聞いたヒルダは、「はいっ」と微笑む。
それを受けた剣士も、顔を赤らめたままふっと微笑みを返す。
彼は立ち上がると、「ご挨拶はまたあとで」と、こんどは噛まずに言い残し、フランツのもとへと駆け出す。
そして、「わたしも」剣を抜いた。
その細身の剣。
レイピアだった。
薄刃のまるで針のような剣だ。
腕を伸ばし、その剣先を賊に向け、「お前ら生かして帰すと思うなよ」と冷たい目でにらむ。
その剣士は握っている剣、その柄を中心にして剣をくるんと回した。
さらに手首を返してくるんくるんと器用に八の字を描くように回転させる。
それはロッドを回すコンタクトマテリアルと言う技。
それで剣を回転させているのだ。
それが高速なことは剣先の音で分かる。
もう、びゅうびゅうと空を切っているのだ。
「やさ男が、こんなのハッタリよ」と賊が剣を振りかぶって切りつける。
それを金髪の剣士はすっと避け、相手の剣を回転する刃でかきんと弾く。そして相手の腕が伸びきったところに突きを加える。
刺し貫かれた賊は、「ぐあっ」と崩れるようにして地面に横たわった。
「ならこれはどうだっ」
身体の大きな賊は、剣を両手で振りかぶり、それを力任せに振り降ろしてきた。
力で回転するレイピアを封じようとしているのだ。
だけど金髪の剣士は、それをまたも回転する刃でかちんっと軽く弾いていなす。
そして姿勢が崩れたところを、賊の正中線、つまり身体の中心部にレイピア、その尖った剣先で貫く。
「ぎえっ」
それは心の臓をに完全に通過して、背中にレイピアの剣が飛び出す。
すっと剣を引くと、それで賊は白目をむいてうつぶせに倒れた。
「どうした、このわたしに触れることすらできないのか」と剣士は涼しい顔でレイピアをコンタクトマテリアルできりきりと回転させている。
そして、「か弱いご婦人相手にしか強がれないのか、貴様らはっ!」と剣士はにらみながら前に出る。
浮き足立つ賊たち。
もう一方の集団もフランツによってさんざんになぶられている。
こっちは剛の剣で両断するように切り進んでいる。
この二名の剣士よにり、無数いると思われた賊は統率が取れなくなり、後ずさる。
それをびゅっびゅっと回転する刃で追跡する金髪の剣士。
彼は剣を振りながらこう言った。
「ご婦人はこの世で一番尊いもの。太陽と同じ。なければこの世は暗闇に包まれる。それほどまでに尊くかけがえのない存在、この身にかえても守らなければ成らぬ。それをみだりに手を触れたり、欲しいままにしようとするなっ。その所業、万死に値する。お前らっ、この世から消え失せろっ!」
そう言い放ち、美麗な剣士は身を躍らせるようにして残った賊の集団に飛び込む。
回転する刃を器用にもちい、たちまちにして数名、そのすべての心の臓、または喉といた急所を貫いて絶命させた。
そして賊が崩れ落ちる音を聞きながら、端正な顔の涼しい表情で、「他愛なし」と言った。
これで賊を始末し終えたと思ったとき、馬車の前方、その離れたところに、さらに新しい集団が現れた。
その人影の集まりがざわついている。
「あんの野郎、仲間を」
「お前ら集まれ」
「一気にやっちまうぞ」
そう言い合ってぞろぞろとかき集めている。
それをフランツと金髪の剣士は見る。
そして見つめたまま、その方向へ歩き出す。
二人は並んで、ざっざっと前に進む。
フランツは、「わたしが前に出る。貴殿は打ち漏らした敵から馬車を守ってほしい」
そう言って前に出る。
「承知」と剣士は立ち止まった。
フランツはなおも前に出る。
そして馬車の少し前で仁王立ちになった。
胸を張り、剣を右手に、すっくと大地に立っている。
それを背後から見た金髪の剣士は、──いい男だ、地面に根が生えているよう。と、フランツのことをそう見た。
ヒルダがコンパートメントに戻ってきた。
そして二人で成り行きを見守る。
いまここに凄腕の剣士が二人も居る。
前にフランツ、その後ろに金髪の剣士。
その前後二段の構え。
わたしにはそれがプルートよりも大きく、たくましく見えた。
この二人が居たら、どんな敵も困難も盤石に防げる。
そんな気がしていたのだ。
たけどそんなわたしの気持ちとは別に、賊が集団で押し寄せてきた。
始めぞろぞろと、その手に得物を持って。
剣も居るが、槍が多い。
剣技では敵わぬとみて、槍を主体にして襲いかかろうとしていた。
賊の集団は一塊になってどどどっと押し寄せてくる。
人数を頼みとして襲うつもりなのは明白だった。
「野郎っ」
「ぶっ殺せ」
「たった二人だ」
「やっちまえっ」
「女はいただきだっ!」
そう叫びつつ押し寄せてくる。
だけどフランツは微動だにしない。
背後から見ていてもわかる。
彼は正面を見据え、待ち構えていた。
だけど。
背後にいる金髪の剣士が、「わたしにお任せあれ」と言った。
フランツはそれが何であるのか分かっているようで、肩越しに、んっとあごを引き、「任せた」と言った。
金髪の剣士は左手を挙げる。
そして、「者ども、よいかっ」と言った。
さらに、「よこーやりを(横槍を)」とそこで言葉を切り、タイミングを見計る。
頃合いよしと見た彼は、大きな声で、「入れよっ」と腕を振り下ろす。
すると。
いま、襲い来る賊集団のその真横、そこの茂みから槍が伸びる。
しかも一本二本ではない。
幾本もの槍が、そのきらめく穂先をそろえて伸びる。
そして隊列が、どっと飛び出してきた。
たまらないのは賊達だ。
いま、フランツ一人を殺ろうと押しかけているさなかに、その横から槍を構えた一隊に襲われたからだ。
たちまちにして賊は槍に刺し貫かれる。
「ぎゃあ」
「うわあぁ」
「た、たすけ、ぐあっ」
無数の断末魔が響き渡る。
その攻撃は一瞬で終わった。
つい先ほどまでいた賊は、もう誰一人として生存しなくなっていたのだ。
------------------------------
すみません
私事ですが、仕事により数日ほど更新ができません
今週末には、また更新できる予定です
もし宜しかったらブクマなど入れていただけると励みになります
それでは失礼いたします
カトリーヌ 主人公(わたし)
フランツ 護衛
ヒルダ 家庭教師
金髪の剣士
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
飛び出した剣士は足をあげ、勢いそのままに、その足の裏で賊を蹴り押した。
「うあっ」
賊は道の反対側、緩やかな傾斜を転がり落ちてゆく。
「大丈夫ですか?」
美麗な剣士がヒルダに微笑む。
暗闇でもそれと分かる端正な面立ち。
わずかな残照でも光る長いブロンドがきらきらと輝いている。
その長い毛の間から、青い目がのぞいていた。
「だ、いじょ、うぶ、です」
ヒルダはその剣士に見とれながら答える。
そのとき、二人の横をフランツが駆け抜ける。
彼は剣士に向かって、「助かるっ」と声をかけ、背後の賊へ突撃を敢行した。
そして剣戟を繰り広げた。
ぎんっ、がきん、と剣が打ち合わされる音が響き、その途中途中で、「ぐぎゃ」と悲鳴が聞こえ、賊が倒されてゆく。
ヒルダは胸の前で両手を握り合わせている。
震えが止まらないのだ。
剣士はその震えるヒルダの手をとり、そして身体を低くして片膝をついた。
その姿勢で彼女の手の甲に口をつけ、「ご無事で何より」と言った。
ヒルダの震えが一瞬で消える。
それを確認した剣士は顔をあげた。
そして固まる。
初めてヒルダの顔を子細に見た彼は、薄暗がりでもそれと分かるほど顔を赤くしている。
「あ、あの」
剣士が何かを語ろうとしているが言葉がでない。
やっという感じで勢いよく口を開いた。
「と、とにかくっ、怪我がなく、なくて、よかうたっ!」
剣士が言葉をかんだ。
それを聞いたヒルダは、「はいっ」と微笑む。
それを受けた剣士も、顔を赤らめたままふっと微笑みを返す。
彼は立ち上がると、「ご挨拶はまたあとで」と、こんどは噛まずに言い残し、フランツのもとへと駆け出す。
そして、「わたしも」剣を抜いた。
その細身の剣。
レイピアだった。
薄刃のまるで針のような剣だ。
腕を伸ばし、その剣先を賊に向け、「お前ら生かして帰すと思うなよ」と冷たい目でにらむ。
その剣士は握っている剣、その柄を中心にして剣をくるんと回した。
さらに手首を返してくるんくるんと器用に八の字を描くように回転させる。
それはロッドを回すコンタクトマテリアルと言う技。
それで剣を回転させているのだ。
それが高速なことは剣先の音で分かる。
もう、びゅうびゅうと空を切っているのだ。
「やさ男が、こんなのハッタリよ」と賊が剣を振りかぶって切りつける。
それを金髪の剣士はすっと避け、相手の剣を回転する刃でかきんと弾く。そして相手の腕が伸びきったところに突きを加える。
刺し貫かれた賊は、「ぐあっ」と崩れるようにして地面に横たわった。
「ならこれはどうだっ」
身体の大きな賊は、剣を両手で振りかぶり、それを力任せに振り降ろしてきた。
力で回転するレイピアを封じようとしているのだ。
だけど金髪の剣士は、それをまたも回転する刃でかちんっと軽く弾いていなす。
そして姿勢が崩れたところを、賊の正中線、つまり身体の中心部にレイピア、その尖った剣先で貫く。
「ぎえっ」
それは心の臓をに完全に通過して、背中にレイピアの剣が飛び出す。
すっと剣を引くと、それで賊は白目をむいてうつぶせに倒れた。
「どうした、このわたしに触れることすらできないのか」と剣士は涼しい顔でレイピアをコンタクトマテリアルできりきりと回転させている。
そして、「か弱いご婦人相手にしか強がれないのか、貴様らはっ!」と剣士はにらみながら前に出る。
浮き足立つ賊たち。
もう一方の集団もフランツによってさんざんになぶられている。
こっちは剛の剣で両断するように切り進んでいる。
この二名の剣士よにり、無数いると思われた賊は統率が取れなくなり、後ずさる。
それをびゅっびゅっと回転する刃で追跡する金髪の剣士。
彼は剣を振りながらこう言った。
「ご婦人はこの世で一番尊いもの。太陽と同じ。なければこの世は暗闇に包まれる。それほどまでに尊くかけがえのない存在、この身にかえても守らなければ成らぬ。それをみだりに手を触れたり、欲しいままにしようとするなっ。その所業、万死に値する。お前らっ、この世から消え失せろっ!」
そう言い放ち、美麗な剣士は身を躍らせるようにして残った賊の集団に飛び込む。
回転する刃を器用にもちい、たちまちにして数名、そのすべての心の臓、または喉といた急所を貫いて絶命させた。
そして賊が崩れ落ちる音を聞きながら、端正な顔の涼しい表情で、「他愛なし」と言った。
これで賊を始末し終えたと思ったとき、馬車の前方、その離れたところに、さらに新しい集団が現れた。
その人影の集まりがざわついている。
「あんの野郎、仲間を」
「お前ら集まれ」
「一気にやっちまうぞ」
そう言い合ってぞろぞろとかき集めている。
それをフランツと金髪の剣士は見る。
そして見つめたまま、その方向へ歩き出す。
二人は並んで、ざっざっと前に進む。
フランツは、「わたしが前に出る。貴殿は打ち漏らした敵から馬車を守ってほしい」
そう言って前に出る。
「承知」と剣士は立ち止まった。
フランツはなおも前に出る。
そして馬車の少し前で仁王立ちになった。
胸を張り、剣を右手に、すっくと大地に立っている。
それを背後から見た金髪の剣士は、──いい男だ、地面に根が生えているよう。と、フランツのことをそう見た。
ヒルダがコンパートメントに戻ってきた。
そして二人で成り行きを見守る。
いまここに凄腕の剣士が二人も居る。
前にフランツ、その後ろに金髪の剣士。
その前後二段の構え。
わたしにはそれがプルートよりも大きく、たくましく見えた。
この二人が居たら、どんな敵も困難も盤石に防げる。
そんな気がしていたのだ。
たけどそんなわたしの気持ちとは別に、賊が集団で押し寄せてきた。
始めぞろぞろと、その手に得物を持って。
剣も居るが、槍が多い。
剣技では敵わぬとみて、槍を主体にして襲いかかろうとしていた。
賊の集団は一塊になってどどどっと押し寄せてくる。
人数を頼みとして襲うつもりなのは明白だった。
「野郎っ」
「ぶっ殺せ」
「たった二人だ」
「やっちまえっ」
「女はいただきだっ!」
そう叫びつつ押し寄せてくる。
だけどフランツは微動だにしない。
背後から見ていてもわかる。
彼は正面を見据え、待ち構えていた。
だけど。
背後にいる金髪の剣士が、「わたしにお任せあれ」と言った。
フランツはそれが何であるのか分かっているようで、肩越しに、んっとあごを引き、「任せた」と言った。
金髪の剣士は左手を挙げる。
そして、「者ども、よいかっ」と言った。
さらに、「よこーやりを(横槍を)」とそこで言葉を切り、タイミングを見計る。
頃合いよしと見た彼は、大きな声で、「入れよっ」と腕を振り下ろす。
すると。
いま、襲い来る賊集団のその真横、そこの茂みから槍が伸びる。
しかも一本二本ではない。
幾本もの槍が、そのきらめく穂先をそろえて伸びる。
そして隊列が、どっと飛び出してきた。
たまらないのは賊達だ。
いま、フランツ一人を殺ろうと押しかけているさなかに、その横から槍を構えた一隊に襲われたからだ。
たちまちにして賊は槍に刺し貫かれる。
「ぎゃあ」
「うわあぁ」
「た、たすけ、ぐあっ」
無数の断末魔が響き渡る。
その攻撃は一瞬で終わった。
つい先ほどまでいた賊は、もう誰一人として生存しなくなっていたのだ。
------------------------------
すみません
私事ですが、仕事により数日ほど更新ができません
今週末には、また更新できる予定です
もし宜しかったらブクマなど入れていただけると励みになります
それでは失礼いたします
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる