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第十五話 騎士の誓い①
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「うんん……あと五分……」
意識の覚醒を自覚して、私は条件反射のようにそう呟いた。
と突然、身体に重みがのしかかる。
「ぐぇっ! な、なに!?」
目を開けると、すぐ傍にキュロットの顔があった。どうやら彼女が私の上にダイブしてきたらしい。
キュロットは泣き顔のような表情で言う。
「よかったですわシエザ! わたくし、このままシエザは目覚めないのではと心配で心配で!」
これはいったいどういう状況なのだろうか。私は目を丸くしつつ、ぐるりと辺りを見渡してみた。
キュロットの傍らには、安堵の表情を見せるヒーシスとルフォートの姿があった。見覚えのある場所だなと思いきや、ここは学園の医務室である。
(なんで私、医務室のベッドで寝てんだろ……?)
怪訝に思って記憶を辿っていくと、最後に目にした光景をまざまざと思い出した。
私は慌てて問いかける。
「そうだ、ブラドは!? 無事なの!?」
その問いに答えてくれたのはルフォートだ。ルフォートは無駄にキザな仕草で翡翠色の髪をかきあげ、フッと笑う。
「心配ないさハニー。軽い剣傷を負ってはいたが、魔法薬で傷口はすぐにふさがった。俺たちの静止を振り切って、シエザを背負ってここまで運んだのもあいつだし、ピンピンしてるよ」
「そうなんだ」
ということは、ブラドの背中でぐっすりと眠っていたということか。
ヨダレ垂らさなかったかな……。
そんな思考で気恥ずかしさを紛らわせた私は、小首を傾げて問を重ねた。
「あれ? でもブラドの姿見えないわね。どこにいるの?」
「それがあいつ、なにか忘れ物でもしてたのか、いったん屋敷に帰るって学園を飛び出してさ。けっこう時間がたつから、そろそろ帰ってくるとは思うんだが……」
その時、誰か医務室に入ってくる気配がした。
噂をすれば何とやら。ブラドが戻ってきたのだと直感した私は、そちらへと視線を振り――そこであんぐりと口を開けた。
そこにはブラド・シュターがいた。
気弱で卑屈なブラドではなく、『王立学園の聖女』で攻略対象となっていたメインキャラの一角。髪は燃え上がる炎を連想させるようなツンツン頭で、腰には騎士としての誇りである剣を吊った、精悍な美少年であるブラド・シュターがいた。
驚きに満ちた皆の視線を一身に浴びたブラドは、気後れしたようにたじろいだが、すぐさまその場に踏み止まった。
無言で私の前まで歩を進めると、意を決したように口を開く。
「ぼく……いや、お、俺様がこの剣にかけて誓おう! シエザを二度と危険な目には遭わせない! シエザの身は俺様が必ず守る!」
ブラドはかしずくようにその場で片膝をつくと、腰に吊った剣を水平に掲げ持つ。次いで、鞘から僅かに剣を引き抜き、再びカチャッと澄んだ音を響かせて納剣した。
意識の覚醒を自覚して、私は条件反射のようにそう呟いた。
と突然、身体に重みがのしかかる。
「ぐぇっ! な、なに!?」
目を開けると、すぐ傍にキュロットの顔があった。どうやら彼女が私の上にダイブしてきたらしい。
キュロットは泣き顔のような表情で言う。
「よかったですわシエザ! わたくし、このままシエザは目覚めないのではと心配で心配で!」
これはいったいどういう状況なのだろうか。私は目を丸くしつつ、ぐるりと辺りを見渡してみた。
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その問いに答えてくれたのはルフォートだ。ルフォートは無駄にキザな仕草で翡翠色の髪をかきあげ、フッと笑う。
「心配ないさハニー。軽い剣傷を負ってはいたが、魔法薬で傷口はすぐにふさがった。俺たちの静止を振り切って、シエザを背負ってここまで運んだのもあいつだし、ピンピンしてるよ」
「そうなんだ」
ということは、ブラドの背中でぐっすりと眠っていたということか。
ヨダレ垂らさなかったかな……。
そんな思考で気恥ずかしさを紛らわせた私は、小首を傾げて問を重ねた。
「あれ? でもブラドの姿見えないわね。どこにいるの?」
「それがあいつ、なにか忘れ物でもしてたのか、いったん屋敷に帰るって学園を飛び出してさ。けっこう時間がたつから、そろそろ帰ってくるとは思うんだが……」
その時、誰か医務室に入ってくる気配がした。
噂をすれば何とやら。ブラドが戻ってきたのだと直感した私は、そちらへと視線を振り――そこであんぐりと口を開けた。
そこにはブラド・シュターがいた。
気弱で卑屈なブラドではなく、『王立学園の聖女』で攻略対象となっていたメインキャラの一角。髪は燃え上がる炎を連想させるようなツンツン頭で、腰には騎士としての誇りである剣を吊った、精悍な美少年であるブラド・シュターがいた。
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無言で私の前まで歩を進めると、意を決したように口を開く。
「ぼく……いや、お、俺様がこの剣にかけて誓おう! シエザを二度と危険な目には遭わせない! シエザの身は俺様が必ず守る!」
ブラドはかしずくようにその場で片膝をつくと、腰に吊った剣を水平に掲げ持つ。次いで、鞘から僅かに剣を引き抜き、再びカチャッと澄んだ音を響かせて納剣した。
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