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第十九話 Sスイッチ
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……何この思い出!?
もう黒歴史とかいうレベルじゃないんだけど!
唯奈ちゃんにはゴメンとしか言いようがない!!
俺は自己嫌悪に陥りそうになるが、頭を振って目の前のことに集中した。
アシュミーが展開したホーリーシールドに対抗するため、新スキルを使用する。
「スキル発動、『ボールギャグ』!」
俺の呼びかけに応じてボールギャグが顕現。呪文詠唱のため大きく開いたアシュミーの口に瞬時に収まり、革ベルトが後頭部にぐるりと回って、しっかり固定される。
「んぐぅ!?」
アシュミーが驚きに目をむいた。すぐさま取り外そうとするが、スキルで装着されたボールギャグはそう簡単に外せるものではない。
俺はアシュミーの方へ悠々と一歩を踏み出した。それを見たアシュミーはロッドを構え魔法を行使しようとする。
だが。
「んぐぐぅ……ふぐっ!?」
アシュミーが慌てた様子で、何度もロッドを振る。
しかし俺のもとに殺到するはずだったホーリーシールドは先程から沈黙しており、やがて光の粒子と化して掻き消える。
俺は教え諭すように言った。
「無駄だよ、アシュミー。俺のスキル『ボールギャグ』は呪文の詠唱を阻害し、魔法を一定時間封じる効果がある」
「んん!? ふんん、うう!」
アシュミーは俺の言葉を聞き、信じられないとばかりにフルフルと首を振った。
俺はアシュミーの反応に満足し、口元を緩める。
……よかった。
驚いてくれてよかった。
だってこのスキル、単なる力業じゃね? スキルって呼ぶの恥ずかしいレベルじゃね?
そんなことを考えつつも、俺はアシュミーへと歩を進めていく。
アシュミーは怯えたように後ずさりながら、何とか魔法を発動しようとロッドを振る。
「んん! ふううぅ! んっ! んっ!!」
言葉にならない詠唱を続けていたアシュミーだったが、その表情が不意に強張った。自分でもいったい何が起きているのかわからないとばかりに、口元に手を当てて慄く。
アシュミーの口角から、ぬるりと垂れていく液体があった。それは止まるどころか次第に量を増し、顎先を伝ってポタリ、ポタリと胸元に垂れ落ちる。
液体の正体は唾液だ。
ボールギャグは口を塞ぐといっても、口唇を閉じた状態にするものではない。ボールを咥える口は常に大きく開かれており、口内に溜まった唾液は装着者の意志に関係なく、ボールに開いた穴から自然と垂れていくようになっているのだ。
「んふぅ!? んぐぐ!」
自身のだらしなく、はしたない姿にアシュミーの顔が恥辱に歪んだ。目尻には涙が浮かび、頬は赤く上気している。
身悶えするアシュミーに、俺はさらに近付いていった。アシュミーは距離を取ろうとするが、やがて女神像の台座に背中が当たり、それ以上は後退することができなくなる。
アシュミーは横に流れて逃れようとするが、俺は即に彼女に手が届くほどの距離にまで迫っていた。
ドンッ!
俺は台座に手をつき、アシュミーが横に回るのを阻止する。いわゆる壁ドンの体勢である。
「んん!?」
アシュミーがびくりと身体を縮めた。その瞳には怯えの色が浮かんでいるが、同時にどこか喜んでいるような、熱っぽい視線が感じられる。
俺たちはしばらく無言で見つめ合った。
ボールギャグから漏れる、フゥ、フゥという息遣いが、徐々に甘い吐息に変わっていく。
垂れ落ちていく唾液が糸を引き、ひどく卑猥で色っぽい。
もう黒歴史とかいうレベルじゃないんだけど!
唯奈ちゃんにはゴメンとしか言いようがない!!
俺は自己嫌悪に陥りそうになるが、頭を振って目の前のことに集中した。
アシュミーが展開したホーリーシールドに対抗するため、新スキルを使用する。
「スキル発動、『ボールギャグ』!」
俺の呼びかけに応じてボールギャグが顕現。呪文詠唱のため大きく開いたアシュミーの口に瞬時に収まり、革ベルトが後頭部にぐるりと回って、しっかり固定される。
「んぐぅ!?」
アシュミーが驚きに目をむいた。すぐさま取り外そうとするが、スキルで装着されたボールギャグはそう簡単に外せるものではない。
俺はアシュミーの方へ悠々と一歩を踏み出した。それを見たアシュミーはロッドを構え魔法を行使しようとする。
だが。
「んぐぐぅ……ふぐっ!?」
アシュミーが慌てた様子で、何度もロッドを振る。
しかし俺のもとに殺到するはずだったホーリーシールドは先程から沈黙しており、やがて光の粒子と化して掻き消える。
俺は教え諭すように言った。
「無駄だよ、アシュミー。俺のスキル『ボールギャグ』は呪文の詠唱を阻害し、魔法を一定時間封じる効果がある」
「んん!? ふんん、うう!」
アシュミーは俺の言葉を聞き、信じられないとばかりにフルフルと首を振った。
俺はアシュミーの反応に満足し、口元を緩める。
……よかった。
驚いてくれてよかった。
だってこのスキル、単なる力業じゃね? スキルって呼ぶの恥ずかしいレベルじゃね?
そんなことを考えつつも、俺はアシュミーへと歩を進めていく。
アシュミーは怯えたように後ずさりながら、何とか魔法を発動しようとロッドを振る。
「んん! ふううぅ! んっ! んっ!!」
言葉にならない詠唱を続けていたアシュミーだったが、その表情が不意に強張った。自分でもいったい何が起きているのかわからないとばかりに、口元に手を当てて慄く。
アシュミーの口角から、ぬるりと垂れていく液体があった。それは止まるどころか次第に量を増し、顎先を伝ってポタリ、ポタリと胸元に垂れ落ちる。
液体の正体は唾液だ。
ボールギャグは口を塞ぐといっても、口唇を閉じた状態にするものではない。ボールを咥える口は常に大きく開かれており、口内に溜まった唾液は装着者の意志に関係なく、ボールに開いた穴から自然と垂れていくようになっているのだ。
「んふぅ!? んぐぐ!」
自身のだらしなく、はしたない姿にアシュミーの顔が恥辱に歪んだ。目尻には涙が浮かび、頬は赤く上気している。
身悶えするアシュミーに、俺はさらに近付いていった。アシュミーは距離を取ろうとするが、やがて女神像の台座に背中が当たり、それ以上は後退することができなくなる。
アシュミーは横に流れて逃れようとするが、俺は即に彼女に手が届くほどの距離にまで迫っていた。
ドンッ!
俺は台座に手をつき、アシュミーが横に回るのを阻止する。いわゆる壁ドンの体勢である。
「んん!?」
アシュミーがびくりと身体を縮めた。その瞳には怯えの色が浮かんでいるが、同時にどこか喜んでいるような、熱っぽい視線が感じられる。
俺たちはしばらく無言で見つめ合った。
ボールギャグから漏れる、フゥ、フゥという息遣いが、徐々に甘い吐息に変わっていく。
垂れ落ちていく唾液が糸を引き、ひどく卑猥で色っぽい。
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