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2章⭐︎賢者の大冒険⭐︎
世界樹の種
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-side オーウェン-
「これが、本来のウィンドガイドの姿……」
疾風の獣が玉を取り出して、シルフによって呪文を唱えられ封印を開封されたウィンドガイドの力。それが彼の体に馴染んでいくのを感じる、
ウィンドガイドの姿形が変わる。透明感のある白い美しい竜。先ほどの鎖にがんじがらめにされていた白い球を大きくしたような透き通った見た目そしている。
「お前もかっこよくなったな」
『うれピー!うれピー!』
同時に俺の従魔であるミニ竜も同じような姿になった。以前よりも力を感じる。精霊竜エリアスほどではないが、エンシェントドラゴンくらいの力がスペースにもあるようだ。
……なら、本来のエリアスの力はどんなもんなんだろうか?分かるのは圧倒的な存在感。俺は大体の相手の力量は分かるがこの竜は力の底が見えない。人智を超えた圧倒的な力。
これが風の精霊王シルフを守護する精霊竜。
ひとしきりエリアスについて驚いた後、疾風の獣に気になっていた事を聞く。
「それはそれとして、俺をシルフ様の後継人に認めると言うのは……?」
『そうでした。世界樹は精霊界隈の証人でもあるのです。つまり第三者に認められるということ。これが意味することはこの世界の神が主従関係を認めるのと同義。すなわち、とてつもなく大きいです』
ふむ。薄々鵜感じていたが、世界樹はこの世界でいう神に近い存在。
その世界樹が俺たちの関係を認めてくれたということは、これはもう簡単に主従関係を切ろうと思ってもきれないような強い絆で俺とシルフが結ばれたということか。
『その通りです』
『主人にはお世話になっているからね。何らかしらの形でいつか日頃の恩返しをしたいと思っていたところなんだよ』
シルフがそんなことを思ってくれていたなんて。ありがたいことだ。
「それで、強い絆を得たことで俺たちに得られるメリットって何があるんだ?」
『具体的には、お互いどこにいるかが瞬時にわかること、お互いのステータスを高めること、選ばれしもののみが扱える精霊の宝具を使えるようになる事、そして、あなたとシルフだけの世界樹を育てられるようになるなどですね。』
そういうと、疾風の獣は世界樹に何やら指示を出し、拳サイズくらいの種を一粒俺に魔法で渡した。
『持っていってください。新たな世界樹の種を』
「すごい……!」
「何つー圧縮された魔力の塊さね!」
ロンとエリーゼさんが驚くのも納得だ。なるほど。これが世界樹の種。これを大切に育てることで何らかしらのメリットを享受できるということだな。他にも膨大な特権を与えられているようだ。
『そうですね。グリモワールの力や杖の力が貴方様に解放されていますので、あとのことは貴方の従魔であるスペースに聞くと良いでしょう』
『任せるピー』
頼りにしてくれとスペースが胸を張る。ウィンドガイドの分身体とあってとても優秀そうで助かる。
少なくともシルフの数倍は優秀そう。
『言い忘れてたけど、絆が強くなったことで相手の感情も色々読み取れるようになってるからね?今ばかにしたでしょう?』
「うん、した」
『ちょっとは隠そうとしようか、主人!?』
だって、シルフ相手に隠し事なんて今更めんどくさい。そもそも、こうなる前から心読まれてたし、なんだかんだで信頼しているし。
『し、信頼してくれてるのはありがたい。けど、絆されないんだからねっ!』
なんか、勝手に絆されてくれている。ちょろい。
『やれやれ。オーウェン殿。これは貴方のヴァイオリンの魔力の力でこの風の世界樹を復活させた貴方に私からのお礼です。ほんの気持ち程度ですが受け取ってください』』
――ドサッ
――ドサドサッ
――ドサドサドサッ
いや、多い多い。それになんかとんでもない力のありそうなものが混じってそうな気がする。
後で家に帰ったらちゃんと見よう。
こうして色々なことがあった俺たちは沢山のお土産を疾風の獣から渡され、世界樹から去るのであった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
『色々お世話になりました。オーウェン様』
「いえいえ。結局最後はエリーゼさんが不意をついて後ろを取ってくれましたし、俺がやったことと言ったら、みんなにバフを盛ったり、サポートに徹することだけでしたね。普通の攻撃は全て避けられるか軽くあしらわれてしまったし」
「あら、それは私もおなじさね。他のみんなだって大体は最初から正面からやっても勝てないと分かったからああいう立ち回りをしたんだろう?」
「それは……そうですが」
世界樹から精霊の国へ帰る途中、ウィンドガイドがお礼を言ってきた。
これが終わったら、リオンシュタットに帰ることをみんな分かっているのでしんみりとした空気が流れる。
「さて、いろいろな事が終わりましたし、これでやっと家に帰れますねぇ!」
「そうだな!リオンシュットのギルドの様子もそろそろ気になるさね。レオンがいれば大概のことはなんとかなるとはいえ、心配だから、そろそろ帰りたいねえ」
「そうだね」
「「「……」」」
あたりは静寂に包まれる…
「バイバイ……精霊の国」
『まあ、僕の主人である限りまたいつでも帰れるけどね』
「それは野暮って奴だよ」
たくさんの精霊達とはここでお別れだ。
『この神殿のゲートを通れば帰れますので』
「分かった。ありがとうウィンドガイド。いや、精霊竜エリアス」
『こちらこそ。あなたには返しきれない恩ができました。少しずつ返していきたいと思いますので、私もちょくちょくそちらへ遊びにいきますね。こちらにもいつでも遊びに来てください』
「もちろん、こっちにも是非、いつでもいらっしゃい」
そんなこんなで、精霊達に最後のお別れのお祭りを開いてもらって、俺たちはリオンシュットに帰ってきたのだった。うん、帰ってきたけど。
「なんじゃこりゃーーーー!」
森がまた1段階成長していたんだ、
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「これが、本来のウィンドガイドの姿……」
疾風の獣が玉を取り出して、シルフによって呪文を唱えられ封印を開封されたウィンドガイドの力。それが彼の体に馴染んでいくのを感じる、
ウィンドガイドの姿形が変わる。透明感のある白い美しい竜。先ほどの鎖にがんじがらめにされていた白い球を大きくしたような透き通った見た目そしている。
「お前もかっこよくなったな」
『うれピー!うれピー!』
同時に俺の従魔であるミニ竜も同じような姿になった。以前よりも力を感じる。精霊竜エリアスほどではないが、エンシェントドラゴンくらいの力がスペースにもあるようだ。
……なら、本来のエリアスの力はどんなもんなんだろうか?分かるのは圧倒的な存在感。俺は大体の相手の力量は分かるがこの竜は力の底が見えない。人智を超えた圧倒的な力。
これが風の精霊王シルフを守護する精霊竜。
ひとしきりエリアスについて驚いた後、疾風の獣に気になっていた事を聞く。
「それはそれとして、俺をシルフ様の後継人に認めると言うのは……?」
『そうでした。世界樹は精霊界隈の証人でもあるのです。つまり第三者に認められるということ。これが意味することはこの世界の神が主従関係を認めるのと同義。すなわち、とてつもなく大きいです』
ふむ。薄々鵜感じていたが、世界樹はこの世界でいう神に近い存在。
その世界樹が俺たちの関係を認めてくれたということは、これはもう簡単に主従関係を切ろうと思ってもきれないような強い絆で俺とシルフが結ばれたということか。
『その通りです』
『主人にはお世話になっているからね。何らかしらの形でいつか日頃の恩返しをしたいと思っていたところなんだよ』
シルフがそんなことを思ってくれていたなんて。ありがたいことだ。
「それで、強い絆を得たことで俺たちに得られるメリットって何があるんだ?」
『具体的には、お互いどこにいるかが瞬時にわかること、お互いのステータスを高めること、選ばれしもののみが扱える精霊の宝具を使えるようになる事、そして、あなたとシルフだけの世界樹を育てられるようになるなどですね。』
そういうと、疾風の獣は世界樹に何やら指示を出し、拳サイズくらいの種を一粒俺に魔法で渡した。
『持っていってください。新たな世界樹の種を』
「すごい……!」
「何つー圧縮された魔力の塊さね!」
ロンとエリーゼさんが驚くのも納得だ。なるほど。これが世界樹の種。これを大切に育てることで何らかしらのメリットを享受できるということだな。他にも膨大な特権を与えられているようだ。
『そうですね。グリモワールの力や杖の力が貴方様に解放されていますので、あとのことは貴方の従魔であるスペースに聞くと良いでしょう』
『任せるピー』
頼りにしてくれとスペースが胸を張る。ウィンドガイドの分身体とあってとても優秀そうで助かる。
少なくともシルフの数倍は優秀そう。
『言い忘れてたけど、絆が強くなったことで相手の感情も色々読み取れるようになってるからね?今ばかにしたでしょう?』
「うん、した」
『ちょっとは隠そうとしようか、主人!?』
だって、シルフ相手に隠し事なんて今更めんどくさい。そもそも、こうなる前から心読まれてたし、なんだかんだで信頼しているし。
『し、信頼してくれてるのはありがたい。けど、絆されないんだからねっ!』
なんか、勝手に絆されてくれている。ちょろい。
『やれやれ。オーウェン殿。これは貴方のヴァイオリンの魔力の力でこの風の世界樹を復活させた貴方に私からのお礼です。ほんの気持ち程度ですが受け取ってください』』
――ドサッ
――ドサドサッ
――ドサドサドサッ
いや、多い多い。それになんかとんでもない力のありそうなものが混じってそうな気がする。
後で家に帰ったらちゃんと見よう。
こうして色々なことがあった俺たちは沢山のお土産を疾風の獣から渡され、世界樹から去るのであった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
『色々お世話になりました。オーウェン様』
「いえいえ。結局最後はエリーゼさんが不意をついて後ろを取ってくれましたし、俺がやったことと言ったら、みんなにバフを盛ったり、サポートに徹することだけでしたね。普通の攻撃は全て避けられるか軽くあしらわれてしまったし」
「あら、それは私もおなじさね。他のみんなだって大体は最初から正面からやっても勝てないと分かったからああいう立ち回りをしたんだろう?」
「それは……そうですが」
世界樹から精霊の国へ帰る途中、ウィンドガイドがお礼を言ってきた。
これが終わったら、リオンシュタットに帰ることをみんな分かっているのでしんみりとした空気が流れる。
「さて、いろいろな事が終わりましたし、これでやっと家に帰れますねぇ!」
「そうだな!リオンシュットのギルドの様子もそろそろ気になるさね。レオンがいれば大概のことはなんとかなるとはいえ、心配だから、そろそろ帰りたいねえ」
「そうだね」
「「「……」」」
あたりは静寂に包まれる…
「バイバイ……精霊の国」
『まあ、僕の主人である限りまたいつでも帰れるけどね』
「それは野暮って奴だよ」
たくさんの精霊達とはここでお別れだ。
『この神殿のゲートを通れば帰れますので』
「分かった。ありがとうウィンドガイド。いや、精霊竜エリアス」
『こちらこそ。あなたには返しきれない恩ができました。少しずつ返していきたいと思いますので、私もちょくちょくそちらへ遊びにいきますね。こちらにもいつでも遊びに来てください』
「もちろん、こっちにも是非、いつでもいらっしゃい」
そんなこんなで、精霊達に最後のお別れのお祭りを開いてもらって、俺たちはリオンシュットに帰ってきたのだった。うん、帰ってきたけど。
「なんじゃこりゃーーーー!」
森がまた1段階成長していたんだ、
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