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2章⭐︎賢者の大冒険⭐︎
vs疾風の獣
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vs疾風の獣
-side オーウェン-
「おーー!きれいだなーー!」
「美しいですぅ!」
「これはなかなか圧巻の光景さね」
疾風の獣に、世界樹の中にあるバトルスタジオに通された俺たちは、その景色に圧倒されていた。
至る所に意匠を凝らした装飾がたくさんあり、風の雰囲気を漂わせている。それに、世界樹自体が風の魔力でできているため、至る所で美しい風の神秘的な空気が流れている。
『今日みなさんが来たのは、ウィンドガイドさんの力を取り戻すためですよね』
『うん』
『ここに、その力が封印されたのがあります』
「おおーー!」
封印された力は透明感のある美しい白いボールを鎖で縛ったような形をしている。どうやら本当にウィンドガイドの力があるらしい、来てよかったな。
『このボールを私から奪い取れたらあなた方の勝ちです。制限時間内に奪い取れなかったら私の勝ちです』
「俺らが負けたら何かあるのか?」
『特にないですが?そうですね……どうせなら、好きな時にあなたの魔力を貰える権利をください』
「それくらいならお安い御用だ」
要するにペナルティはないみたいだ。
本当にカジュアルマッチみたいな感じらしい。
まあ、相手が気心知れた精霊王で、目的がこの土地を守る精霊竜の力。これでウィンドガイドの力を返さなかったら完全に向こうが悪者って感じもする。だからと言って掟を破るわけにもいかない。話も通じそうな感じだから、そう言った状況も当然理解してこの対応をしているのだろう。
話が終わりバトルコートの定位置に着く。審判はいない。あたりには緊張感と静けさが舞い降りている。
『それじゃあ、始めますよ』
「ああ。よろしく頼む」
とはいえ、試練は試練だ。全力で頑張ろう。
『はじめ!』
――シャーー!
――ギャンギャン!
初めの合図と同時にフェル、黒猫は目にも止まらぬ速さで疾風の獣に飛びかかり、シルフと俺とロンは魔法を放ち、ウィンドガイドとエリーゼは相手が逃げる方向を予測して、移動した。
あんなに素早く鋭く攻撃できるんだあの子達。流石にあの攻撃喰らったら結構ダメージ喰らうだろう。いつも俺に甘えてガジガジと引っ掻いたりしているのは完全に甘えて手加減してくれていたんだな。
『ふむ』
――キャン!?
――ギャン!?
疾風の獣は軽く子供達をあしらうと、俺とロンとシルフの魔法は軽く右手の爪から風魔法でや刃を出しぶった斬った。
「本気じゃないとはいえ、やるね」
『そりゃこちらも誰に数万年もの間、世界樹守ってないのでね』
そう言う疾風の獣はとても貫禄があってかっこいい。
そうだよな。俺が思い描いていたファンタジーの精霊ってこんな感じだった。決して、シルフ達のようにポンコツ……ではなく親しみやすい感じの精霊ではなかったはずだ。
『悪かったね。俺の方が長く生きてるのにあんなに、貫禄なくて』
「い、いやっ!シルフのはシルフの良さがあってだな」
『大丈夫言わなくていいよ。はあ、俺ももっと筋肉つけようかな?』
そう言う問題じゃないんだけど。と言うか、そう言うところだぞ。そういうところ。なんというか、落ち着きがないと言うか。脳筋というか。
『ウィンドキングダム』
『ウィンドアーミー』
とそんなことを話していると、シルフとウィンドガイドの魔法が完成したみたいだ。どうやら、両頬うとも領域展開系の魔法らしい。ウィンドキングダムの方は風の結界の城が生み出され味方全員の攻撃と防御、命中率が上がる。ウィンドアーミーは大量のナイトが生み出されるのに加えて、味方全員の防御がものすごく上がる特化型の魔法だ。
見るものを圧倒する神秘的で大きい風の精霊の神殿と大量の風の精霊のナイトが生み出された。
これほどまでに大きな魔法は生まれて初めて見た。
王都の精鋭たちが全員本気で魔法を発動してもこれらの魔法の足元にも及ばないだろう。
ビリビリゾクゾクする。
「すごいですぅ!」
「これが……精霊王と世界樹の守り手の魔法。俺らも頑張らなきゃな」
そう思った俺は、シルフのに加えてさらに全体にバフをかける。
本来はヴァイオリンを弾くのが一番バフを振れると最近気づいたが、それでなくてもある程度は強化できる。
『これは……流石にこちらも本気を出さねば』
ウィンドガイドが気を引き締める気配を感じる。
どうやら、俺の魔法も相手の本気を引き出すのに一役買ったみたいだ。
せめて相手にされていてよかったよ。
「もらったよ」
そんな時だった。敵味方の大規模魔法の影で、今の今まで完全に気配を消して、いつの間にやら疾風の獣の背後を取っていたエリーゼさん。
『……っっ』
――どごおおおおおおおおおん!!!!
今のはものすごいダメージが入ったのではないか?流石すぎる。
俺らのヘイトをうまく利用して大ダメージだ。
一気にチャンスかと思いきや、大量の風のナイトが襲いかかる。
「マッディスコール。オーウェンさん。ここは私に任せてくださいぃぃ!これくらいだったらなんとかなるますぅ!疾風の獣さんにぶちかましてやってくださいぃぃ!」
「ありがとう!」
ロンがこれまた大規模魔法である泥のスコールを発生させ、ナイトたちを足止めする。
流石元学院長。いつもはポンコツだが戦闘になるとめっちゃ頼りになる。
「それでは、審判の光」
俺は自分の持てる最強の魔法を行使する。
審判の光。さらゆる次元をぶった斬る最強の光だ。
『……!その魔法は!参りました。』
それを見た瞬間、負けたと悟った疾風の獣は攻撃を喰らう前に全ての攻撃をストップさせ、降参したのだった。
「降参してくれてよかった。流石にそれが当たってたらいくら疾風の獣と言っても無事では済まなかっただろうし」
『流石に私も引き際くらい見極めています。それよりシルフ様、いくら私を倒すためとはいえ過剰戦力すぎます。ボコボコでしたよ』
「ウィンドガイドの力が封印されたのは本当に困ってたからね。君もわかってただろう?」
「はあ……まあそうですね。積もる話もあるでしょうし中へ入ってください。ウィンドガイドの力の返却および、シルフ様の後継人にオーウェン様がふさわしいという印を差し上げましょう」
「へ?俺も?」
『あなたもです』
え?どう言うことだ?俺にもなんかくれるの?
「サプラーイズ!」
「おいこらシルフ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
-side オーウェン-
「おーー!きれいだなーー!」
「美しいですぅ!」
「これはなかなか圧巻の光景さね」
疾風の獣に、世界樹の中にあるバトルスタジオに通された俺たちは、その景色に圧倒されていた。
至る所に意匠を凝らした装飾がたくさんあり、風の雰囲気を漂わせている。それに、世界樹自体が風の魔力でできているため、至る所で美しい風の神秘的な空気が流れている。
『今日みなさんが来たのは、ウィンドガイドさんの力を取り戻すためですよね』
『うん』
『ここに、その力が封印されたのがあります』
「おおーー!」
封印された力は透明感のある美しい白いボールを鎖で縛ったような形をしている。どうやら本当にウィンドガイドの力があるらしい、来てよかったな。
『このボールを私から奪い取れたらあなた方の勝ちです。制限時間内に奪い取れなかったら私の勝ちです』
「俺らが負けたら何かあるのか?」
『特にないですが?そうですね……どうせなら、好きな時にあなたの魔力を貰える権利をください』
「それくらいならお安い御用だ」
要するにペナルティはないみたいだ。
本当にカジュアルマッチみたいな感じらしい。
まあ、相手が気心知れた精霊王で、目的がこの土地を守る精霊竜の力。これでウィンドガイドの力を返さなかったら完全に向こうが悪者って感じもする。だからと言って掟を破るわけにもいかない。話も通じそうな感じだから、そう言った状況も当然理解してこの対応をしているのだろう。
話が終わりバトルコートの定位置に着く。審判はいない。あたりには緊張感と静けさが舞い降りている。
『それじゃあ、始めますよ』
「ああ。よろしく頼む」
とはいえ、試練は試練だ。全力で頑張ろう。
『はじめ!』
――シャーー!
――ギャンギャン!
初めの合図と同時にフェル、黒猫は目にも止まらぬ速さで疾風の獣に飛びかかり、シルフと俺とロンは魔法を放ち、ウィンドガイドとエリーゼは相手が逃げる方向を予測して、移動した。
あんなに素早く鋭く攻撃できるんだあの子達。流石にあの攻撃喰らったら結構ダメージ喰らうだろう。いつも俺に甘えてガジガジと引っ掻いたりしているのは完全に甘えて手加減してくれていたんだな。
『ふむ』
――キャン!?
――ギャン!?
疾風の獣は軽く子供達をあしらうと、俺とロンとシルフの魔法は軽く右手の爪から風魔法でや刃を出しぶった斬った。
「本気じゃないとはいえ、やるね」
『そりゃこちらも誰に数万年もの間、世界樹守ってないのでね』
そう言う疾風の獣はとても貫禄があってかっこいい。
そうだよな。俺が思い描いていたファンタジーの精霊ってこんな感じだった。決して、シルフ達のようにポンコツ……ではなく親しみやすい感じの精霊ではなかったはずだ。
『悪かったね。俺の方が長く生きてるのにあんなに、貫禄なくて』
「い、いやっ!シルフのはシルフの良さがあってだな」
『大丈夫言わなくていいよ。はあ、俺ももっと筋肉つけようかな?』
そう言う問題じゃないんだけど。と言うか、そう言うところだぞ。そういうところ。なんというか、落ち着きがないと言うか。脳筋というか。
『ウィンドキングダム』
『ウィンドアーミー』
とそんなことを話していると、シルフとウィンドガイドの魔法が完成したみたいだ。どうやら、両頬うとも領域展開系の魔法らしい。ウィンドキングダムの方は風の結界の城が生み出され味方全員の攻撃と防御、命中率が上がる。ウィンドアーミーは大量のナイトが生み出されるのに加えて、味方全員の防御がものすごく上がる特化型の魔法だ。
見るものを圧倒する神秘的で大きい風の精霊の神殿と大量の風の精霊のナイトが生み出された。
これほどまでに大きな魔法は生まれて初めて見た。
王都の精鋭たちが全員本気で魔法を発動してもこれらの魔法の足元にも及ばないだろう。
ビリビリゾクゾクする。
「すごいですぅ!」
「これが……精霊王と世界樹の守り手の魔法。俺らも頑張らなきゃな」
そう思った俺は、シルフのに加えてさらに全体にバフをかける。
本来はヴァイオリンを弾くのが一番バフを振れると最近気づいたが、それでなくてもある程度は強化できる。
『これは……流石にこちらも本気を出さねば』
ウィンドガイドが気を引き締める気配を感じる。
どうやら、俺の魔法も相手の本気を引き出すのに一役買ったみたいだ。
せめて相手にされていてよかったよ。
「もらったよ」
そんな時だった。敵味方の大規模魔法の影で、今の今まで完全に気配を消して、いつの間にやら疾風の獣の背後を取っていたエリーゼさん。
『……っっ』
――どごおおおおおおおおおん!!!!
今のはものすごいダメージが入ったのではないか?流石すぎる。
俺らのヘイトをうまく利用して大ダメージだ。
一気にチャンスかと思いきや、大量の風のナイトが襲いかかる。
「マッディスコール。オーウェンさん。ここは私に任せてくださいぃぃ!これくらいだったらなんとかなるますぅ!疾風の獣さんにぶちかましてやってくださいぃぃ!」
「ありがとう!」
ロンがこれまた大規模魔法である泥のスコールを発生させ、ナイトたちを足止めする。
流石元学院長。いつもはポンコツだが戦闘になるとめっちゃ頼りになる。
「それでは、審判の光」
俺は自分の持てる最強の魔法を行使する。
審判の光。さらゆる次元をぶった斬る最強の光だ。
『……!その魔法は!参りました。』
それを見た瞬間、負けたと悟った疾風の獣は攻撃を喰らう前に全ての攻撃をストップさせ、降参したのだった。
「降参してくれてよかった。流石にそれが当たってたらいくら疾風の獣と言っても無事では済まなかっただろうし」
『流石に私も引き際くらい見極めています。それよりシルフ様、いくら私を倒すためとはいえ過剰戦力すぎます。ボコボコでしたよ』
「ウィンドガイドの力が封印されたのは本当に困ってたからね。君もわかってただろう?」
「はあ……まあそうですね。積もる話もあるでしょうし中へ入ってください。ウィンドガイドの力の返却および、シルフ様の後継人にオーウェン様がふさわしいという印を差し上げましょう」
「へ?俺も?」
『あなたもです』
え?どう言うことだ?俺にもなんかくれるの?
「サプラーイズ!」
「おいこらシルフ」
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