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2章⭐︎賢者の大冒険⭐︎
世界樹の門番らしい
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-side オーウェン-
「それでシルフ、疾風の獣ってどこにいるんだ?」
『まあそう、焦るでない』
翌日、今はトムとレムが作ったご飯をエリーゼさんとロンと精霊達と一緒に食べている。
俺の膝の上には黒猫が座っている。
久しぶりにゆっくりと穏やかな朝食の時間だ。だから、なんも焦ってはないんだけど、雰囲気作りなのだろうか?
「全然焦ってない」
『うん、知ってた。主人はむしろちょっとは焦った方がいい』
言われてしまった。というか、疾風の獣はそんなに強敵なのか。
まあでも、別に相手が強いからと言って不安になる俺ではない。むしろ、逆境で燃えるタイプだ。
『ちょっとメンタル強すぎるかもしれないですわ~!この男』
『シルフ様、主人にちょっといい奴選びすぎじゃないか!?』
『うるさい。まさか俺もここまでこの人が肝座ってるとは思ってなかった』
精霊達は朝から賑やかなようだ。まあ、昨日まではフェアリーケロベロスもいたから、これでも大分マシになった方ではある。
シルフの部下はシルフが手綱をちゃんと握ってくれているみたいだから安心だ。
『……ハア、それで本題に入るけど、疾風の獣は世界樹の近くにいる。世界樹の門番をしているからね』
「世界樹……本当に実在するんだ」
『うん、精霊界にあるよ』
御伽話に出てくる世界樹。乙女ゲームにも存在は出てくる。
俺がやっていたストーリーではこの世界のどこ何ある世界樹がヒロインに力を貸して世界を救うみたいなことが書かれていた。
え?じゃあなんで精霊界がやばくても世界樹はヒロインに力を貸せていたんだろう?やっぱり、ソフィアが色々ヒロインの役目をサボっていたせいで俺が精霊界を救わなくなっていたという仮説が正しいということにまた一歩近づくことにならないか?
『精霊の国には4本の世界樹が存在する。疾風の獣はそのうちの一つ、風の精霊の世界樹を守っている』
「ほうほう」
ということは、風の世界樹がやばくても、他の世界樹は大丈夫でヒロインに力を貸していた可能性はあるな。
ふーむ、今の段階でソフィアのサボりを突きつけるのはまだ早計か。というか、どんどん精霊界隈の事情に詳しくなるな俺、下手したらもう国の誰よりも詳しくなっているかもしれない。次に王都に行く時は、俺の弟子の1人だった学園の教授で精霊好きの学園の精霊博士に報告しておこう。
「だったら、なんでシルフの言うこと聞かないんだ?」
『もし、僕が操られたら困るからね、世界樹の守り手は精霊王とは独立した存在であり、言うことを聞かない決まりになっている。当然世界樹も精霊とは対等の存在だ』
「ほーーん。そういうものか」
『うん。まあ本来なら、僕がサクッと倒すのがいいんだけどね。他の精霊王は多分そうしているし』
「ほーん」
なんだ。やっぱりこれ俺に頼る必要ないんじゃねえかとジト目でシルフの事を見る。
『い、いや。そのね!そもそも世界樹の守り神は手強い上に、回復したとはいえまだ全盛期の力には程遠い。それに俺は他の精霊王とは違い戦闘に不向きな風属性だから、オーウェンが一緒に行ってくれる方が確実だ』
「なるほど」
いくら精霊王とはいえど戦いに向き不向きはあるだろう。四大属性の中で、風が1番戦闘に不向きとされている。
火の精霊王サラマンダー、水の精霊王ウンディーネは言わずもがなめちゃくちゃ強そうだし、土の精霊王ノームもゴーレムを駆使すれば防御力は最強クラスだろう。それからすると、素早さ早いというのが1番強みなシルフは他に比べると若干劣るのかもしれない。前に戦いを見た感じ俺基準ではそれでもめちゃくちゃ強いが。
「一緒にと言うことはシルフも一緒に戦ってくれるのか?」
『うん、君は僕の主人だからね、お役には立てないかもしれないけどよろしく』
それは心強い。本人は謙遜しているが、普通にメインの戦闘力はある。
少なくともシルフがいて撤退戦で負けることはなさそうなので、ほぼ確実に逃げ切れるだろう。
シルフがいてくれるおかげで、勝てなくても負けることは無くなったと言える。
『ニャーゴ』『キャンキャン!』
「お前達も行きたいのか?」
『ニャーー』『キャンキャン!』
「でもなー……」
危ないからな。いくら精霊とはいえ、相手は風の精霊王国最強格の門番。ウィンドガイドが力を失っている現在ほぼ最強と言っても過言でない程に強いと言えるだろう。
『キャンキャン!』『ニャーニャー!』
返答に迷っていると、ジャンプして戦えるアピールをしてくる。正直愛くるしさしか感じないが、黒猫とリトルフェンリルのフェルはやる気満々なようだ。まあ2匹とも精霊だからな。戦うのを見たことはないが多分強いだろう。
「わかった。不思議の国へは一緒に行けなかったもんな」
『キャンキャン!』『ニャーゴ』
精霊は概念だからうっかりやられても復活する。ちょっと不安だけれど、まあ戦いには勝ちに行くからいいか。
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「それでシルフ、疾風の獣ってどこにいるんだ?」
『まあそう、焦るでない』
翌日、今はトムとレムが作ったご飯をエリーゼさんとロンと精霊達と一緒に食べている。
俺の膝の上には黒猫が座っている。
久しぶりにゆっくりと穏やかな朝食の時間だ。だから、なんも焦ってはないんだけど、雰囲気作りなのだろうか?
「全然焦ってない」
『うん、知ってた。主人はむしろちょっとは焦った方がいい』
言われてしまった。というか、疾風の獣はそんなに強敵なのか。
まあでも、別に相手が強いからと言って不安になる俺ではない。むしろ、逆境で燃えるタイプだ。
『ちょっとメンタル強すぎるかもしれないですわ~!この男』
『シルフ様、主人にちょっといい奴選びすぎじゃないか!?』
『うるさい。まさか俺もここまでこの人が肝座ってるとは思ってなかった』
精霊達は朝から賑やかなようだ。まあ、昨日まではフェアリーケロベロスもいたから、これでも大分マシになった方ではある。
シルフの部下はシルフが手綱をちゃんと握ってくれているみたいだから安心だ。
『……ハア、それで本題に入るけど、疾風の獣は世界樹の近くにいる。世界樹の門番をしているからね』
「世界樹……本当に実在するんだ」
『うん、精霊界にあるよ』
御伽話に出てくる世界樹。乙女ゲームにも存在は出てくる。
俺がやっていたストーリーではこの世界のどこ何ある世界樹がヒロインに力を貸して世界を救うみたいなことが書かれていた。
え?じゃあなんで精霊界がやばくても世界樹はヒロインに力を貸せていたんだろう?やっぱり、ソフィアが色々ヒロインの役目をサボっていたせいで俺が精霊界を救わなくなっていたという仮説が正しいということにまた一歩近づくことにならないか?
『精霊の国には4本の世界樹が存在する。疾風の獣はそのうちの一つ、風の精霊の世界樹を守っている』
「ほうほう」
ということは、風の世界樹がやばくても、他の世界樹は大丈夫でヒロインに力を貸していた可能性はあるな。
ふーむ、今の段階でソフィアのサボりを突きつけるのはまだ早計か。というか、どんどん精霊界隈の事情に詳しくなるな俺、下手したらもう国の誰よりも詳しくなっているかもしれない。次に王都に行く時は、俺の弟子の1人だった学園の教授で精霊好きの学園の精霊博士に報告しておこう。
「だったら、なんでシルフの言うこと聞かないんだ?」
『もし、僕が操られたら困るからね、世界樹の守り手は精霊王とは独立した存在であり、言うことを聞かない決まりになっている。当然世界樹も精霊とは対等の存在だ』
「ほーーん。そういうものか」
『うん。まあ本来なら、僕がサクッと倒すのがいいんだけどね。他の精霊王は多分そうしているし』
「ほーん」
なんだ。やっぱりこれ俺に頼る必要ないんじゃねえかとジト目でシルフの事を見る。
『い、いや。そのね!そもそも世界樹の守り神は手強い上に、回復したとはいえまだ全盛期の力には程遠い。それに俺は他の精霊王とは違い戦闘に不向きな風属性だから、オーウェンが一緒に行ってくれる方が確実だ』
「なるほど」
いくら精霊王とはいえど戦いに向き不向きはあるだろう。四大属性の中で、風が1番戦闘に不向きとされている。
火の精霊王サラマンダー、水の精霊王ウンディーネは言わずもがなめちゃくちゃ強そうだし、土の精霊王ノームもゴーレムを駆使すれば防御力は最強クラスだろう。それからすると、素早さ早いというのが1番強みなシルフは他に比べると若干劣るのかもしれない。前に戦いを見た感じ俺基準ではそれでもめちゃくちゃ強いが。
「一緒にと言うことはシルフも一緒に戦ってくれるのか?」
『うん、君は僕の主人だからね、お役には立てないかもしれないけどよろしく』
それは心強い。本人は謙遜しているが、普通にメインの戦闘力はある。
少なくともシルフがいて撤退戦で負けることはなさそうなので、ほぼ確実に逃げ切れるだろう。
シルフがいてくれるおかげで、勝てなくても負けることは無くなったと言える。
『ニャーゴ』『キャンキャン!』
「お前達も行きたいのか?」
『ニャーー』『キャンキャン!』
「でもなー……」
危ないからな。いくら精霊とはいえ、相手は風の精霊王国最強格の門番。ウィンドガイドが力を失っている現在ほぼ最強と言っても過言でない程に強いと言えるだろう。
『キャンキャン!』『ニャーニャー!』
返答に迷っていると、ジャンプして戦えるアピールをしてくる。正直愛くるしさしか感じないが、黒猫とリトルフェンリルのフェルはやる気満々なようだ。まあ2匹とも精霊だからな。戦うのを見たことはないが多分強いだろう。
「わかった。不思議の国へは一緒に行けなかったもんな」
『キャンキャン!』『ニャーゴ』
精霊は概念だからうっかりやられても復活する。ちょっと不安だけれど、まあ戦いには勝ちに行くからいいか。
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