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2章⭐︎賢者の大冒険⭐︎
力が強すぎた風の精霊竜エリアス
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-side オーウェン-
『おかえりなさいませ~』
『おかえりだぜ!シルフ様!オーウェン!』
「ただいま」
『ただいま~』
『戻ったケロ~』
「ニャーニャー」『キャンキャン』
シルフの部下であるルーカスとエリーゼが出迎えてくれる。精霊の黒猫とフェルも元気そうで良かった。
不思議な国にいたのは約1週間。こちらの世界の時間にすると数時間らしいが、随分と懐かしいと感じるのは気のせいだろうか?
まあシルフはここ--精霊の国に100年間くらい戻れなかったみたいだし、それからすると少しなのだろうが。
『随分と空気が良くなったね』
『そうですわ!精霊竜様も力が漲ると仰られておりました!』
確かに、出かけた時よりも空気が澄んでいて、精霊たちも生き生きとしているように思える。
--って、そうだ、そういえば精霊竜の事聞きたいんだった。
「ねえ、肝心の精霊竜に会わせては貰えないのか?」
『えっ……!?ああ、そういえば説明してなかったね』
そう言ってシルフがピューと口笛を吹く。
中々美しい音色だ。
杖から解放された風竜が見えるはず!
--バサバサバサ……。
「は?どういう事だ?」
『うん、ごめん、説明不足だったよね』
見慣れた美しい鷹--にしては姿が大きくなり手足も大分筋肉質になってかっこよくなったウィンドガイドが優雅に降りてきた。
まさか。
『紹介するよ。彼が俺の精霊竜エリアス。この姿になってからはウィンドガイド。今は力無くて鷹の姿をしているけれど、変わらず、俺の護衛の風龍だよ』
「ちょっと待て」
『そういえば、一番本体説明しないといけない方に説明してませんでしたね。今はウィンドガイド、通常時の名は風の精霊竜のエリアスという名前です』
「おいこら」
『仕方なかったんだよ!風流の杖に収まるような器ではなかったんだ!彼の力は!』
「……」
ウィンドガイドがエリアス。はあー。
言われてみれば確かにそれっぽい竜がウィンドガイドの他にいなかったから、彼を疑うべきだったのかもしれない。
というか、鷹だと思っていただけでドラゴン種なのか。
ウィンドガイドに意識を集中してみると、羽とかに立派な鱗がついている。ドラゴンは見たことがあったが、精霊を見るのが初めてだったので気づかなかった。
風の案内人ウィンドガイドは、元々風の空間の番人であるエリアスだったと。
なぜ名前2つも名前があるのかは知らない。今の言い方の感じ、おそらく、精霊の階級が関わっているのだろう。
『ご名答。そもそも、僕たちは自体が概念的な存在だから、姿が変わったら名前も変わるんだ』
「なるほど」
概念が変わってしまうほど大幅に弱体化してもなお、風の精霊の国とシルフを守っているのか……。
ウィンドガイド。なんだろう、不憫で頑張っていて、どこか応援できるような存在だ。
『驚くのも無理はありませんね。なんせこの姿ではとても風の精霊で最強だとは名乗れませんから』
「いや、充分優雅で立派な姿だと思うが」
『ハハハッ!フォローありがとうございます。ですが、まだまだですよ』
「そうなのか?フォローしたつもりはないが」
普通に鷹だと思っていただけで、今の姿だったら普通のドラゴンであれば、余裕で勝てそうだが?精霊の国でもトップクラスに気配が強いのは紛れもない事実だし。
『オーウェン殿、そんなお優しくて、これからお世話になるあなたに私からとっておきの武器を授けましょう』
そう言ってウィンドガイドは、体の一部を分離し、キラキラとしたかっこいいドラゴンの姿の宝石に姿を変化させる。
『それはオリハルコンで出来た私の分身。風の精霊ですので、風魔法が扱え、結界魔法や伝達、索敵などのサポート重視の能力を持っています。もちろんワイバーンくらいは倒せますし、攻撃も多少はできます。もしよければ連れて行ってください。きっとあなたの役に立ちます』
「おお!ありがたい」
『ピーピー!』
ウィンドガイドの文体が肩の上に乗っかってくる。姿はかっこいいが小さいため愛らしさもある。
『ピーピー!』
「よ、よろしくな!」
『出来れば名前もつけた方が良いかと』
「ピー!」
そうだな……、エリアスの分身体か。
だったらスペースとかかなあ。
『ピーピー!』
『気に入ってるようです!』
「お、じゃあ、お前の名前は今日からスペースだ!」
『ピーピー!よろピー!あるじー!』
スペースの名前を呼ぶと同時に従魔契約が結ばれて、喋れるようになった。
『流石、僕の精霊竜』
『私の概念の分身ですからね。生まれた直後でも話せるのは当然です』
「意思疎通できるのは大変ありがたい」
『しゃべれてうれピー!』
スペースは元気に飛び回っている。話し方が、妙にフランクなのは気のせいだろうか?
とりあえず、色々あったけれど無事に帰ってこれたという実感が湧いてきた。
帰ったら、グリモワールを少し触っておきたいな。
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『おかえりなさいませ~』
『おかえりだぜ!シルフ様!オーウェン!』
「ただいま」
『ただいま~』
『戻ったケロ~』
「ニャーニャー」『キャンキャン』
シルフの部下であるルーカスとエリーゼが出迎えてくれる。精霊の黒猫とフェルも元気そうで良かった。
不思議な国にいたのは約1週間。こちらの世界の時間にすると数時間らしいが、随分と懐かしいと感じるのは気のせいだろうか?
まあシルフはここ--精霊の国に100年間くらい戻れなかったみたいだし、それからすると少しなのだろうが。
『随分と空気が良くなったね』
『そうですわ!精霊竜様も力が漲ると仰られておりました!』
確かに、出かけた時よりも空気が澄んでいて、精霊たちも生き生きとしているように思える。
--って、そうだ、そういえば精霊竜の事聞きたいんだった。
「ねえ、肝心の精霊竜に会わせては貰えないのか?」
『えっ……!?ああ、そういえば説明してなかったね』
そう言ってシルフがピューと口笛を吹く。
中々美しい音色だ。
杖から解放された風竜が見えるはず!
--バサバサバサ……。
「は?どういう事だ?」
『うん、ごめん、説明不足だったよね』
見慣れた美しい鷹--にしては姿が大きくなり手足も大分筋肉質になってかっこよくなったウィンドガイドが優雅に降りてきた。
まさか。
『紹介するよ。彼が俺の精霊竜エリアス。この姿になってからはウィンドガイド。今は力無くて鷹の姿をしているけれど、変わらず、俺の護衛の風龍だよ』
「ちょっと待て」
『そういえば、一番本体説明しないといけない方に説明してませんでしたね。今はウィンドガイド、通常時の名は風の精霊竜のエリアスという名前です』
「おいこら」
『仕方なかったんだよ!風流の杖に収まるような器ではなかったんだ!彼の力は!』
「……」
ウィンドガイドがエリアス。はあー。
言われてみれば確かにそれっぽい竜がウィンドガイドの他にいなかったから、彼を疑うべきだったのかもしれない。
というか、鷹だと思っていただけでドラゴン種なのか。
ウィンドガイドに意識を集中してみると、羽とかに立派な鱗がついている。ドラゴンは見たことがあったが、精霊を見るのが初めてだったので気づかなかった。
風の案内人ウィンドガイドは、元々風の空間の番人であるエリアスだったと。
なぜ名前2つも名前があるのかは知らない。今の言い方の感じ、おそらく、精霊の階級が関わっているのだろう。
『ご名答。そもそも、僕たちは自体が概念的な存在だから、姿が変わったら名前も変わるんだ』
「なるほど」
概念が変わってしまうほど大幅に弱体化してもなお、風の精霊の国とシルフを守っているのか……。
ウィンドガイド。なんだろう、不憫で頑張っていて、どこか応援できるような存在だ。
『驚くのも無理はありませんね。なんせこの姿ではとても風の精霊で最強だとは名乗れませんから』
「いや、充分優雅で立派な姿だと思うが」
『ハハハッ!フォローありがとうございます。ですが、まだまだですよ』
「そうなのか?フォローしたつもりはないが」
普通に鷹だと思っていただけで、今の姿だったら普通のドラゴンであれば、余裕で勝てそうだが?精霊の国でもトップクラスに気配が強いのは紛れもない事実だし。
『オーウェン殿、そんなお優しくて、これからお世話になるあなたに私からとっておきの武器を授けましょう』
そう言ってウィンドガイドは、体の一部を分離し、キラキラとしたかっこいいドラゴンの姿の宝石に姿を変化させる。
『それはオリハルコンで出来た私の分身。風の精霊ですので、風魔法が扱え、結界魔法や伝達、索敵などのサポート重視の能力を持っています。もちろんワイバーンくらいは倒せますし、攻撃も多少はできます。もしよければ連れて行ってください。きっとあなたの役に立ちます』
「おお!ありがたい」
『ピーピー!』
ウィンドガイドの文体が肩の上に乗っかってくる。姿はかっこいいが小さいため愛らしさもある。
『ピーピー!』
「よ、よろしくな!」
『出来れば名前もつけた方が良いかと』
「ピー!」
そうだな……、エリアスの分身体か。
だったらスペースとかかなあ。
『ピーピー!』
『気に入ってるようです!』
「お、じゃあ、お前の名前は今日からスペースだ!」
『ピーピー!よろピー!あるじー!』
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『私の概念の分身ですからね。生まれた直後でも話せるのは当然です』
「意思疎通できるのは大変ありがたい」
『しゃべれてうれピー!』
スペースは元気に飛び回っている。話し方が、妙にフランクなのは気のせいだろうか?
とりあえず、色々あったけれど無事に帰ってこれたという実感が湧いてきた。
帰ったら、グリモワールを少し触っておきたいな。
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