ヴァイオリン辺境伯の優雅で怠惰なスローライフ〜悪役令息として追放された魔境でヴァイオリン練習し

西園寺わかば🌱

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1章⭐︎リオンシュタット初心者編⭐︎

一方、その頃王都では……①

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-side ユリウス-



「さてと、オーウェンがいなくなって、1ヶ月程が経つ。追放の証拠を集めも、行き詰まりだったけど、それも今日で終わると思うと、ちょっとスッキリするね」


 オーウェンの件で、僕の対応は、後手に回っていた。王族であるにも関わらず、ソフィアに側近を買収され。生徒会を乗っ取られたという失態。早々に、オーウェンの名誉を回復させないと、後々取り返しのつかない事になる。
 危機感を感じ、オーウェンを追放した後、彼の名誉を挽回するために、血眼になって、証拠を集めたが、どれも決定打に欠ける。行き詰まりを感じていた時に、あのお方から連絡が来たんだ。もしかしたら、あのお方なら、現状を打破するきっかけになるんじゃないか?--っと、思ったから、相談したところ、快く引き受けてくれるようになった。


 今日は、その人を学園に案内する日だ。
 相手は、転移魔法でこちらにやってくる。
 世界で3人しかいない大賢者と呼ばれた、権威のある世界的な魔法使いだ。機嫌を悪くさせて、他国に流出でもさせたら、それこそ国家の一大事。親しくさせて頂いているとはいえ、失礼の内容にしないと。


 そう思いながら、身だしなみをチェックし、校門の前まで行く。すると、お目当ての人物は既にいた。早速、内心焦る。


「お待たせして、申し訳ございません」
「ああ、いい、いい。こっちが、早く来すぎただけだからねえ。時間を潰すにも、中途半端でね。待つのも嫌いじゃないから、魔法の研究でもしながら、時間を潰してたのさ」
「ああ、そういう事でしたか……。もしかして、待ち合わせ時間を間違えたのではないかと、ほっとしました」
「ははっ!あんたが時間を間違えるというのは、想像がつかないねえ。それはないから、安心しな」
「よかったです。それにしても、お久しぶりですね。さん」


 神速の大賢者。エリーゼ。それが、今回の件でとてもお世話になっている方の二つ名だ。
 かつて、国家にエンシェントドラゴンが現れた際に、互角に渡り合ったとされる、国の英雄。王室の歴史書にも記載されていて、史実ではあるとされている。
 だけど、正直信じられないよね。意味がわからないもん。


「ああ。久しぶりだね。ユリウス殿下。元気してるかい?」
「ええ。おかげさまで。多少の心労は、ありますが」
「それに関しては、うちの馬鹿弟子が本当にすまなかった」
「い、いえいえ……、学園長のせいではないですよ。学校の環境はとても良いですし、お忙しい方でしょうから、生徒間のやり取りなど、知らないでしょう」


 王立レオンハルト学園。国内で最高の卒業実績を持つ学園の学園長は、エリーゼさんの弟子とされている。


「それでも、あれだけ優秀な人材を、あたしのところへ行く事を操作できたとはいえ、王都から追放してしまったんだ」
「ああ、やはり、エリーゼさんから見ても、彼は優秀でしたか」
「そうさね。正直、追放なんて、回りくどい方法をしなくても、あやつ程の実力を持っているのならば、もっとどうにか出来たんじゃないのかい?」
「やろうと思えば、出来ました……。ただ、この機会に、彼に足りないものを補って貰おうと思ったので」
「頼れる仲間……か」
「やはり、分かりますか」
「そりゃ、あたしも伊達に長い事生きてないからね」
「あはは……!野暮でしたね。おっと、こんなところで、立ち話もなんですから、早速ご案内いたします」


 僕たちは、目的地に行く前に、オーウェンの最近の様子を話す。


「最初リオンシュタットに来た時はどうしようかと思ったよ。死んだ目をしていたからね」
「貴族社会は、彼にとって窮屈すぎましたからね……。最初って事は、今はマシになっているんですか?」
「ああ。少々荒療治を。お陰で今は冒険者たちに揉まれて、いい感じに仕上がりつつあるよ。ブランなんて、あいつを弟子として、育てるなんつって、張り切っちゃって!」
「ブランというと……、武神、ブラン様の事ですか!?」
「ああ。そうさね」


 武神ブラン。Sランクの言わずと知れた超大物な冒険者。王家の血を引いている公爵家の3男でありながら、5歳の頃から負けなし。
 強い奴と戦いたいからと言う理由で、家出をし、冒険者になった変わり者。
 幸い、実家とは仲が良かったみたいで、その後、あまりの活躍に、実家から呼び出しを無事にくらい、国王陛下にも呼び出しをくらい、貴族として伯爵位を賜っている破天荒なお方。武神はその際につけられた二つ名。
 本人的には、冒険者として生活したいからと言う理由で、本人の望んだ魔境の一部を領地として貰い、早々に王都から出て行った。


「どえらいお方に気に入られたのですね」
「はっはっは!まあ、それだけのポテンシャルはあるさね」
「そうですね。僕も、彼の実力は大いに評価しています」


 親友が大物に、褒められるの聞いていると嬉しいね!鼻が高いよ。そんな事を話している間にお目当てのところが見えてきた。


「到着しました。ここが学園長室です」




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