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1章⭐︎リオンシュタット初心者編⭐︎
辺境への追放
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-side オーウェン-
「オーウェン=テューナー。お前は、ソフィアに対して、悪質ないじめをしていたとの証拠と、証言が、上がっている」
「ちがう……、ユリウス。俺はやっていない!!」
「俺も、そう思いたかったよ。だけど、教員や、お前のクラスメイトから、たくさんの証拠や証言が上がっている。だから、……これは仕方のないことなのだ」
「……!」
目の前にいる、金髪碧眼の17歳の青年は、ユリウスは俺の幼馴染であり、親友、この国の第二王子だ。そのユリウスでも、庇いきれない量の証言と証拠。
実際に、写真には、俺が悪質ないじめを行ったように見せかけたものばかり。
あいつらはそれほどまでに、俺のことを追放したいみたいだ。
はあ。……やれやれ。
「覚悟はできたみたいだな。お前を、この学園から追放する!この辺境の土地、リオンシュタットへ行け」
「分かった。」
仕方ない。ここは、戦略的撤退だ。
一旦、あいつら--権力大好きヒロインのソフィアとその仲間たちに勝ちを譲ろう。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その日の晩、俺は辺境へ行く身支度をしていた。
家の人たちにも、当然のように冷たい目線を向けられて、「お前は、我が家名を傷つけたから、二度と戻ってくるな」と言われたのだ。早めにでて行くべきだろう。
それにしても……、自慢じゃないが、俺は成績主席でもうすぐ卒業という一歩手前だったんだぞ。冗談じゃない。
さて、しかし……俺も覚悟を決める必要があるな。俺自身が、無実であることを証明することができない以上、あの学園から追放されることを今は、受け入れるしかない。
それでも俺は、自分の身の潔白を証明したいと思ってはいる。
自分が大事というよりは、ヒロイン達に屈するのが、なんか癪だからだ。
--次の日の朝、俺が家を、ほとんど追い出されるに近い形で出ようとしているところ、ユリウスが見送りに来た。
どうせなら、確認でもしておくか。
「ユリウス。本当に、そんなに多くの証言があるのか?」
「ああ、たくさんの奴らから、証言が寄せられていた。お前がソフィアに対して、いじめをしていたということを捏造するために、想像以上に多くの人間が動いたらしい。まったく……つまらない事をする」
悔しさと、絶望感に苛まれた。
自分が潔白であることを証明することができないのは、どうしようもないことだからだ。
だけど、あきらめるわけにもいかないな。
俺はこれからも、貴族社会で生きていく必要があるのだから。
「はあ……、俺は無実だと何度も言っているけど、追放されるのか。理不尽だな。
社交界に戻る事は、諦めたくないし、自分の無実の証拠を集めるとしますか」
ユリウスを見ると、優しく笑っていた。
「わかってるよ、オーウェン。でも、今は、追放されることを受け入れるしかないね。
これから君は、辺境の土地、リオンシュタットに行くことになるだろうけど、そこで、新しいスタートを切ってくれ。大丈夫、俺が選んだ土地だから悪いようにはならないはずだよ。それに、君の優秀さは異常だしね。
俺はこれから、いつか、君が再び社交界に戻ってきた時、無実であることを証明出来るように、証拠を集める事にするよ。
今回のようなヘマはしない」
ユリウスの悔しそうな言葉に救われた気がした。うん……、あきらめずに、新しいスタートを切る。そして、いつか、必ず無実であることを証明して、社交界に戻る。当面の目標が決まったな。
「ありがとう、ユリウス。俺は、必ずお前の元に、戻ってくる」
「うん。俺は俺でお前の無実を証明するために全力を尽くす。まあ、お前ならいうて、どこでもやっていけるだろうから心配はしていないけれど」
「お前……さっきから、ちょいちょい発言がおかしくないか?こんな時くらい心配しろよ?」
「あはは……!そのヴァイオリン……。持って行くんだ」
「ああ。爺さんの形見だし、戦場で俺が、出来る事といったらそれくらいだしな」
「へー!君のことだから、戦場で無双しに行くのかと思ってた」
「はあ?出来るわけないだろ。そんな事。
まったく……、心配しないのにも程があるわ!じゃあな、俺はもう行く!」
「あ!じゃあね!お土産待ってるよ~!」
「お前は……!どんだけ図々しいんだ!」
俺は、ユリウスに半分くらいの呆れと半分くらいの感謝の気持ちを込めて、睨みつけた。そして、これから行く土地、リオンシュタットの事について馬車の中で調べる事にしたのだった。
----------------------------------------
[コメント]
近況ノートにて、主人公、ヒロイン、シルフ(精霊)のイメージがあります。
[オーウェン]
[ユリウス]
「オーウェン=テューナー。お前は、ソフィアに対して、悪質ないじめをしていたとの証拠と、証言が、上がっている」
「ちがう……、ユリウス。俺はやっていない!!」
「俺も、そう思いたかったよ。だけど、教員や、お前のクラスメイトから、たくさんの証拠や証言が上がっている。だから、……これは仕方のないことなのだ」
「……!」
目の前にいる、金髪碧眼の17歳の青年は、ユリウスは俺の幼馴染であり、親友、この国の第二王子だ。そのユリウスでも、庇いきれない量の証言と証拠。
実際に、写真には、俺が悪質ないじめを行ったように見せかけたものばかり。
あいつらはそれほどまでに、俺のことを追放したいみたいだ。
はあ。……やれやれ。
「覚悟はできたみたいだな。お前を、この学園から追放する!この辺境の土地、リオンシュタットへ行け」
「分かった。」
仕方ない。ここは、戦略的撤退だ。
一旦、あいつら--権力大好きヒロインのソフィアとその仲間たちに勝ちを譲ろう。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その日の晩、俺は辺境へ行く身支度をしていた。
家の人たちにも、当然のように冷たい目線を向けられて、「お前は、我が家名を傷つけたから、二度と戻ってくるな」と言われたのだ。早めにでて行くべきだろう。
それにしても……、自慢じゃないが、俺は成績主席でもうすぐ卒業という一歩手前だったんだぞ。冗談じゃない。
さて、しかし……俺も覚悟を決める必要があるな。俺自身が、無実であることを証明することができない以上、あの学園から追放されることを今は、受け入れるしかない。
それでも俺は、自分の身の潔白を証明したいと思ってはいる。
自分が大事というよりは、ヒロイン達に屈するのが、なんか癪だからだ。
--次の日の朝、俺が家を、ほとんど追い出されるに近い形で出ようとしているところ、ユリウスが見送りに来た。
どうせなら、確認でもしておくか。
「ユリウス。本当に、そんなに多くの証言があるのか?」
「ああ、たくさんの奴らから、証言が寄せられていた。お前がソフィアに対して、いじめをしていたということを捏造するために、想像以上に多くの人間が動いたらしい。まったく……つまらない事をする」
悔しさと、絶望感に苛まれた。
自分が潔白であることを証明することができないのは、どうしようもないことだからだ。
だけど、あきらめるわけにもいかないな。
俺はこれからも、貴族社会で生きていく必要があるのだから。
「はあ……、俺は無実だと何度も言っているけど、追放されるのか。理不尽だな。
社交界に戻る事は、諦めたくないし、自分の無実の証拠を集めるとしますか」
ユリウスを見ると、優しく笑っていた。
「わかってるよ、オーウェン。でも、今は、追放されることを受け入れるしかないね。
これから君は、辺境の土地、リオンシュタットに行くことになるだろうけど、そこで、新しいスタートを切ってくれ。大丈夫、俺が選んだ土地だから悪いようにはならないはずだよ。それに、君の優秀さは異常だしね。
俺はこれから、いつか、君が再び社交界に戻ってきた時、無実であることを証明出来るように、証拠を集める事にするよ。
今回のようなヘマはしない」
ユリウスの悔しそうな言葉に救われた気がした。うん……、あきらめずに、新しいスタートを切る。そして、いつか、必ず無実であることを証明して、社交界に戻る。当面の目標が決まったな。
「ありがとう、ユリウス。俺は、必ずお前の元に、戻ってくる」
「うん。俺は俺でお前の無実を証明するために全力を尽くす。まあ、お前ならいうて、どこでもやっていけるだろうから心配はしていないけれど」
「お前……さっきから、ちょいちょい発言がおかしくないか?こんな時くらい心配しろよ?」
「あはは……!そのヴァイオリン……。持って行くんだ」
「ああ。爺さんの形見だし、戦場で俺が、出来る事といったらそれくらいだしな」
「へー!君のことだから、戦場で無双しに行くのかと思ってた」
「はあ?出来るわけないだろ。そんな事。
まったく……、心配しないのにも程があるわ!じゃあな、俺はもう行く!」
「あ!じゃあね!お土産待ってるよ~!」
「お前は……!どんだけ図々しいんだ!」
俺は、ユリウスに半分くらいの呆れと半分くらいの感謝の気持ちを込めて、睨みつけた。そして、これから行く土地、リオンシュタットの事について馬車の中で調べる事にしたのだった。
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[コメント]
近況ノートにて、主人公、ヒロイン、シルフ(精霊)のイメージがあります。
[オーウェン]
[ユリウス]
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