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4章⭐︎学園編⭐︎

学園の入学式

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-side リアム-



「いっけなーーい!遅刻遅刻!」
『お前……、いけないって事がわかってるならもっと焦れ』
「大丈夫、既に焦ってるよ!」
『全然だいじょばないのに開き直りやがった……』


 本日はたいして待ちに待ってないけれど来てしまった入学式当日。無事寝坊。


『正直すぎる』
「ふぁーー!」
『まだ寝起きだから聞いてないっぽいな』


 昨日は爆睡してしまった。
 家を急いで出る。このままでは遅刻するだろうから俺がルーカスに乗るって学校へ行くのも許されるだろう。


「じゃ!父上、行ってきまーす!」
「あのバカ!どこの世界にドラゴンに乗って学校へ行くやつがあるんだ!!!」


 ここにいるんだなあそれが。父上を振り切りルーカスに乗って、しばらく飛んでいると、魔法の建物が見えてくる。


「ふぁーーー!大きい!」


 王立魔法学園の建物は美しい中世の魔法世界を思わせるような壮大なデザインだった
。高い塔、装飾的な柱、魔法陣が刻まれた大きな門など魔法学園らしい特徴がある。
 それにしても、さっきからぎゃーー!とかうわあああん、とかいう声が聞こえてくる。なんでだろう?あっ……。


「なあ、ルーカス。もしかしてこれってデジャブ?」
『みたいだな……』
『あの……、シルバー。この人たちっていつもこんな感じなのですか?』
『うむ。大体いつも人里にドラゴン姿を晒して阿鼻叫喚させておる』


 ……いつもじゃないし。2ヶ月に1回くらいだし。


『それは中々のペースですねえ』
『であろう?』
「……」
 

 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


「えーー、皆さんが静かになるまで30分かかりました」
「あ、これは多分校長の声だ」
「なんでわかるんだよ」
「校長語録?」
「変な語録作るな」
「本当なんだって」


 聞き覚えのあるセリフが聞こえてきたから断定したが本当だった。というか、間に合ったみたいだ。そりゃ30分……、30分!?いや、待ちすぎでは?


『十中八九、お前のせいだろ』
「人のせいにするの、よくない」
『……』


 ジトーっと呆れた目をしてルーカスがこちらを見てくるが気にしない気にしない。
 ところで、入学式は王立魔法学園の正面広場で開催されている。
 この度俺が入学するのは貴族科だ。貴族科の新入生たちは華やかな制服を着用している。男子はドレッシーコートや帽子を女子はガウンを身につける。ドライ王国の伝統的な格好らしい。


 入学式の内容はこんな感じだ。
1. 開会の挨拶: 学園の学長や重要な教育者が挨拶し、新入生たちを歓迎。
2. 入学宣誓: 新入生代表は忠誠の誓いを立て、魔法学園への献身を誓う。


 この2つは大体どこも同じだろう。違うと言ったら、ここが魔法学園なので魔法のショーがあった事だ。とても綺麗だった。


「新入生代表!リアム=サンタウン!」
「へっ……!?」


 俺って新入生代表だったっけ!?


『リアム、お前……、まさか』
「リアム=サンタウン!前へ!」
「はいっ!?」
『ど、どうしよう!?ルーカス。何も聞いていないんだけど!?』
『ああ……、ヘンリーがお前がどうせ知らないだろうと心配して、俺に紙を渡してきた。この紙を読めば良いはずだ。確かお前のバッグの中に入ってるぞ。確かこれだっけ?』
『さっすが、ルーカスーー!』
『はあ……。絶対これ、後でヘンリーから怒られるやつだぞ。ほらあそこ』


 来賓客席の方を見ると、鬼のような形相で俺を睨んでいる父上がいた。


「ちょっと、やばいかもー」
『ちょっと……?ははっ……、な訳ないだろう。入学式でこの調子なら先が思いやられるな』
『笑顔で物騒なこと言うのやめろよ!?』
「自業自得だろ」
『うっ……、気にしない気にしない』


 なんだかんだ、何事もなく新入生代表の言葉を読み終えた。そのあとはこんな感じの事があった。


 1.無駄に長い校長挨拶: 多分ありがたいお話。眠かった。
 2.魔法のデモンストレーション: 教員や上級生が、魔法のデモンストレーションを行い、新入生たちに魔法の素晴らしさを示した。綺麗だった。
 3. 入学証書授与:偉い人の子供いっぱいで凄かった。


『感想浅くね?』
「そんなもんそんなもん」


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 そして、入学式が終わった後は入学パーティが開催された。豪華な祝宴で食事!
 高級ミノタウロスのローストビーフに色とりどりの野菜、豪華なティラミス!どれもこれもパクパク食べてしまう。


「美味しー!!」
「……。ここは同級生や教員と交流を深める事が目的の場所なんだけどね」


 食事にがっついていた時、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてくる。


「……!!もぐももあ!」
「あっ……、食べ終わってからでいいよ」
「……ごくん!ノア!!」
「うん、相変わらず元気そうだね。安心した」
「おう!そっちこそ」
「よければ、席を確保したから一緒に食べないかい?」
「本当か!?ありがとう!!いっぱいご飯盛ってくる!!」
「頼んだ」


 それから、山盛りごはんを盛ったプレートを席に運んだ俺たちは、他の人たちと交流する事なく、ずーっとおしゃべりしながら一緒に飯を食べていたのだった。


『何か忘れているのう?』
『ですねえ』
『あっ……』


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