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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎

出立の日

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-side リアム-



 ………
 ……………


「ロキ様……、ロキ様!!寝ぼけてないで起きてください!聞こえますか?」
『むにゃむにゃ……。はっ……!?
 ほへ……!?
 お主……、どうやってここへ?』


 ここは夢の中だ。ロキ様は寝ていたようで、寝巻き姿である。
 俺が、ロキ様のところに自力で会いに来れた事を驚いているみたいだ。


「えっと……気合いです!」
『む?むにゃ……!!正気か?』
「ええ。あなただったら、実際、ここに俺の魂が会いに来ているのは分かるでしょう?」
『む……?確かに。はあ……お主相変わらずぶっ飛んでやがるな。しかし……来れてしまったものは仕方あるまい。
 して、何のようだ?運命教のことならしばらく動きは落ち着いてそうだぞ。』
「いや。それは大丈夫です。俺は、ヨルムンガルドの居場所についての情報が知りたいです。
 もし持っていたら、教えてください!」
『む?なんだそんなことか。しかし、困ったな。すぐに言われたって知らない……。」
「あ、そうですか。では帰りま……。」
『待て待て待て。すぐには……だ。すぐには。調べれば、もしかしたら、分かるかも知れぬぞ。』
「あ、そうですか。
 でも、不確定要素があるんですよね?
 そういう運要素には、頼らない主義です。
 欲しいのはあくまで情報ですから。
 だから、帰り……。」
『待て待て待て。今日お前どうした?
 お、お、落ち着け。』
「そっちの方が落ち着いてください。
 というか、今、急いでいるので。
 じゃっ!」
『へ……?もしかして、これ夢だった?
 むにゃむにゃ。
 ……って流されるな。起きろ私!』


 …………
 ………


『お!起きたか、リアム。
 して、どうだったのだ?』
「ロキ様には会えたけど、知らないっぽかった。一応、調べることもできるとは言われたけど。」
『やめておけ。我親ながら、どんな要求されるか分かったものではないからのう。』
『ああ。それだったら、俺の親である知識神ノートから聞いた方がよっぽど信頼できるぜ。』
「だよなあ。」
「お前らロキ様に対する信頼なさすぎだろ。
 俺は会ったことはねえけど。」
「レオンも会ったら分かるよ。
 あれは信頼できない。」
「ほーーん。」


 あれから、俺はヘンリー、レオンの2人と戦闘での連携の確認をしたりして過ごしていた。
 父親としてのヘンリーはダンディー貴族というイメージだが、冒険者としてのヘンリーはイメージはやんちゃそうだが、仕事はしっかりするという感じの人だということが分かった。
 きっと、母上もこのギャップに惹かれたのだろう……そう思わされるくらいには面倒見の良い先輩だったな。
 2人にアドバイスも山ほど貰えて、前よりも確実に強くなった……気がする。


 それはそれとして、今日は出発日の朝……と言ってもまだ外は暗いけれども。
 ともかく、一つでも多く情報を手に入れたい俺達は手当たり次第、書物や頼れる人をあたっていた。
 さっきのロキ様の訪問もそうだ。
 どうしても、会いたかったので寝る前にロキ様に会いたいと願ったら、叶った事には驚きだったけれども。
 まあ、結果が期待外れであったのは仕方がない。元々ダメ元で言ったし、あの人のポンコツは想定の範囲内だ。


「よし。準備できた。行くか。」
「ああ。くーー。久しぶりの長期冒険だ。
 楽しみすぎるぜ。」


 沢山得られた情報のうち、ほとんどは外れだったが、数件は、それっぽい“当たり”の情報もあった。
 うち一つは、世界樹の場所である。まず最初にそこをあたろうという話になった。


 これから、一体どんな旅になるのだろうか。
 あの後、国からの指示は、何かしら成果を出せばオーケーという、レオンとヘンリー曰くとても緩い条件ということだったけど、俺は今回が実質初めての冒険であるので、それがどれくらい緩いかは分からないんだよな。


 緊張と不安と興奮と……色々な感情が混ざりながら、冒険はスタートした。




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