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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
早かった家出
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-side リアム-
『お主……家での諸々はどうするのだ。我だけでヨルムンガルドを見つけるのは大変だから、着いてきてくれるのは助かるが。』
「放っておこう。そうしよう。」
「それは……無責任じゃないか?ヘンリー様にはどう説明するつもりだよ。」
「普通に真正面から堂々と訪ねて、許可を取ればいいかなと。」
「取れるか?」
「そうは言っても、この家の人、誰も俺を止められないと思うんだけど。」
「……。お前、シンプルに問題児だよな。
手がつけられない分、余計に厄介だ。」
「褒め言葉?」
「だったら、どうする?」
「夕飯一品増やす。」
「交渉成立。」
『おい、レオン。お前まで買収されると終わるぜ。だけど……。たしかにな。
ごり押すというのは、アリかもしれない。
みんなで、探した方が早めに終わる。
リアムの力、特にロキ様の加護があった方が探すのは楽になるだろうしな!』
「決まりだね。早速ヘンリー様に話をつけてくる。」
「お、おう。こういう時だけは元気いいのなお前……。」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
というわけで、早速、ヘンリー様の書斎の目の前に来ている。
「ヘンリー様。リアムです。」
「……。ちょっと待て。
その入ってくる際の淡々とした言い方。
なんか嫌な予感しかしないんだが。
お前にしては妙に改まっているというか……通さなくてもいいか?」
色々と失礼な人だな。
俺がそんなことするやつだということは何も間違ってないけど。むしろ大正解すぎて、ただただすごいですけど。
「え?ダメですけど。
というか、勝手に入りますね。」
「……。元々、親の威厳なんて最初からなかったのかもしれないな。」
ヘンリーが落ち込んでいるのを若干可哀想だと思いつつも、護衛に通してもらう。
「あの……しばらく勉強をお休みして、旅に出たいんですが。」
「お、おう。そうか。いずれ、こういうこと言い出すのは想定の範囲内だったがな。
早すぎないか?まだ、うちに来て3ヶ月も経ってないぞ。
それにまだまだ……学園に入る前に、お前に教えることが山ほどあるんだがな。
金勘定に関しては俺よりお前の方が良くできているから何もいえないが。
この前のパーティだってコネ作りのために行なったが、結局招待した同い年の子とは仲良くなっていないって話ではないか。」
ギクリッ……!!同い年くらいの子と仲良くするの面倒くさがってたの、もろばれてた。
言い訳になってしまうが、今の俺は5歳児。
転生者なこともあって、流石に同い年くらいの子相手はキツイ。
同年代の子と比べても、おそらく相当賢いであろうノアですら10歳だから、少なくともそれまでは話し相手ならないだろう。
だから、関わっていなかった。
けど、父上の言っていることも分かる。
幼い頃から知り合っていて、仲良くしておくというのが、信頼関係を作る上で役に立つことは事実。
だからといって、頻繁には遊び相手になりたくない。絶妙な距離感が大切だから、そこを探っていたのだ。
ただ、それを説明するのは面倒なので、とりあえず、笑って誤魔化す事にした。
「あはは……、まあほら。
俺の友達なんてノアとミラだけいれば十分というか……、ね?」
「はい、言い訳だな。」
「ぐう……!!ドヤ顔精神攻撃は卑怯です。
父上。」
「言っとくけど、卑怯度で言ったらお前の方だからな?……っとその顔は気付いているか。
それで、どこへ行く?場所によっては護衛をつけるが。」
反対すると言えないあたり、自分の立場をよく分かっていらっしゃる。
俺が卑怯だという事も承知の上でこのような提案をしてくれているのだ。
我が父ながら、いい父すぎるな。
「それが……、分からないんです。その……ヨルムンガルドを探しに行くので。」
「はあ!?ヨルムンガルド探しに。
なんと羨ましいっ…!!その……お、俺も行きたいのだが。」
「ダメですよ。ヘンリー様。」
隣の執事が諌める。ヘンリー様もSランクの冒険者だからな。どうせ、ヨルムンガルドと戦いたいとか言い出すんだろう。
「ぐ……。し、しかし……我が息子のこと心配で心配で仕方がないのだ。」
「はいダウト。絶対、ヨルムンガルド探しに行きたいだけですよね。」
「う……でも、さ、流石にそれは本当だぞ。
お前だけでは心配だろう。」
「確かにそれもそうですけど。
でも、わざわざ、この屋敷の当主である父上が行く必要はないですよ?
ルーカスも、シルバーもレオンも、一緒ですし。俺自身もそこそこ強いですし、大丈夫ですって。」
「ただの驕り……と言えないところが、親としては辛いところだな。実際お前は強い。
だがこれだけは言わせてくれ。」
緊張した面持ちでそう言われて、思わずごくりと息を呑む。きっと大事なことを言われるのだろう。
「…………………。
俺も連れて行ってくれ!!」
「大事な言葉を期待して損しました。父上。
はあ、わざわざ、土下座までして頼み込まなくても、流石に連れて行きますって。」
「本当か?よっしゃあ!!」
「でも仕事はどうするんですか?」
「そういう時のための代官だろう。大丈夫だ。俺がいなくても世界は回るもの。」
大丈夫だろうか?この領主。
「はあ……分かりました。後のことはこちらでお任せください。
では、リアム様、レオン様、ヘンリー様の臨時パーティでのご出発という事で王国に報告いたします。」
おお、出来るな。この執事。
「頼んだ。」
「ですが、おそらく臨時とはいえ、王国最強のパーティになるでしょう。
最短で許可は出ると思いますが、帰って来た時、大事になる事だけは覚悟しといてください。手ぶらで帰って来るとかは許されないですからね。」
執事が溜息混じりにそう言う。思ったよりも大事になってしまったようだ。
「もちろん。分かっている。実の息子に格好悪いところ見せれないからな。
リアム。父ちゃん頑張るからな!!」
そう言って、父上は当主としての貴族の顔から冒険者としての顔になる。
おお……こうやって見ると、面倒見のいい先輩冒険者という感じあってかっこいいな。
「頼りにしてます!
よろしくお願いします!」
どんな冒険者になるだろうか?
いずれにせよ、2人の化け物級冒険者から色々学べるのだ。
俺も楽しみで仕方がないな!
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『お主……家での諸々はどうするのだ。我だけでヨルムンガルドを見つけるのは大変だから、着いてきてくれるのは助かるが。』
「放っておこう。そうしよう。」
「それは……無責任じゃないか?ヘンリー様にはどう説明するつもりだよ。」
「普通に真正面から堂々と訪ねて、許可を取ればいいかなと。」
「取れるか?」
「そうは言っても、この家の人、誰も俺を止められないと思うんだけど。」
「……。お前、シンプルに問題児だよな。
手がつけられない分、余計に厄介だ。」
「褒め言葉?」
「だったら、どうする?」
「夕飯一品増やす。」
「交渉成立。」
『おい、レオン。お前まで買収されると終わるぜ。だけど……。たしかにな。
ごり押すというのは、アリかもしれない。
みんなで、探した方が早めに終わる。
リアムの力、特にロキ様の加護があった方が探すのは楽になるだろうしな!』
「決まりだね。早速ヘンリー様に話をつけてくる。」
「お、おう。こういう時だけは元気いいのなお前……。」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
というわけで、早速、ヘンリー様の書斎の目の前に来ている。
「ヘンリー様。リアムです。」
「……。ちょっと待て。
その入ってくる際の淡々とした言い方。
なんか嫌な予感しかしないんだが。
お前にしては妙に改まっているというか……通さなくてもいいか?」
色々と失礼な人だな。
俺がそんなことするやつだということは何も間違ってないけど。むしろ大正解すぎて、ただただすごいですけど。
「え?ダメですけど。
というか、勝手に入りますね。」
「……。元々、親の威厳なんて最初からなかったのかもしれないな。」
ヘンリーが落ち込んでいるのを若干可哀想だと思いつつも、護衛に通してもらう。
「あの……しばらく勉強をお休みして、旅に出たいんですが。」
「お、おう。そうか。いずれ、こういうこと言い出すのは想定の範囲内だったがな。
早すぎないか?まだ、うちに来て3ヶ月も経ってないぞ。
それにまだまだ……学園に入る前に、お前に教えることが山ほどあるんだがな。
金勘定に関しては俺よりお前の方が良くできているから何もいえないが。
この前のパーティだってコネ作りのために行なったが、結局招待した同い年の子とは仲良くなっていないって話ではないか。」
ギクリッ……!!同い年くらいの子と仲良くするの面倒くさがってたの、もろばれてた。
言い訳になってしまうが、今の俺は5歳児。
転生者なこともあって、流石に同い年くらいの子相手はキツイ。
同年代の子と比べても、おそらく相当賢いであろうノアですら10歳だから、少なくともそれまでは話し相手ならないだろう。
だから、関わっていなかった。
けど、父上の言っていることも分かる。
幼い頃から知り合っていて、仲良くしておくというのが、信頼関係を作る上で役に立つことは事実。
だからといって、頻繁には遊び相手になりたくない。絶妙な距離感が大切だから、そこを探っていたのだ。
ただ、それを説明するのは面倒なので、とりあえず、笑って誤魔化す事にした。
「あはは……、まあほら。
俺の友達なんてノアとミラだけいれば十分というか……、ね?」
「はい、言い訳だな。」
「ぐう……!!ドヤ顔精神攻撃は卑怯です。
父上。」
「言っとくけど、卑怯度で言ったらお前の方だからな?……っとその顔は気付いているか。
それで、どこへ行く?場所によっては護衛をつけるが。」
反対すると言えないあたり、自分の立場をよく分かっていらっしゃる。
俺が卑怯だという事も承知の上でこのような提案をしてくれているのだ。
我が父ながら、いい父すぎるな。
「それが……、分からないんです。その……ヨルムンガルドを探しに行くので。」
「はあ!?ヨルムンガルド探しに。
なんと羨ましいっ…!!その……お、俺も行きたいのだが。」
「ダメですよ。ヘンリー様。」
隣の執事が諌める。ヘンリー様もSランクの冒険者だからな。どうせ、ヨルムンガルドと戦いたいとか言い出すんだろう。
「ぐ……。し、しかし……我が息子のこと心配で心配で仕方がないのだ。」
「はいダウト。絶対、ヨルムンガルド探しに行きたいだけですよね。」
「う……でも、さ、流石にそれは本当だぞ。
お前だけでは心配だろう。」
「確かにそれもそうですけど。
でも、わざわざ、この屋敷の当主である父上が行く必要はないですよ?
ルーカスも、シルバーもレオンも、一緒ですし。俺自身もそこそこ強いですし、大丈夫ですって。」
「ただの驕り……と言えないところが、親としては辛いところだな。実際お前は強い。
だがこれだけは言わせてくれ。」
緊張した面持ちでそう言われて、思わずごくりと息を呑む。きっと大事なことを言われるのだろう。
「…………………。
俺も連れて行ってくれ!!」
「大事な言葉を期待して損しました。父上。
はあ、わざわざ、土下座までして頼み込まなくても、流石に連れて行きますって。」
「本当か?よっしゃあ!!」
「でも仕事はどうするんですか?」
「そういう時のための代官だろう。大丈夫だ。俺がいなくても世界は回るもの。」
大丈夫だろうか?この領主。
「はあ……分かりました。後のことはこちらでお任せください。
では、リアム様、レオン様、ヘンリー様の臨時パーティでのご出発という事で王国に報告いたします。」
おお、出来るな。この執事。
「頼んだ。」
「ですが、おそらく臨時とはいえ、王国最強のパーティになるでしょう。
最短で許可は出ると思いますが、帰って来た時、大事になる事だけは覚悟しといてください。手ぶらで帰って来るとかは許されないですからね。」
執事が溜息混じりにそう言う。思ったよりも大事になってしまったようだ。
「もちろん。分かっている。実の息子に格好悪いところ見せれないからな。
リアム。父ちゃん頑張るからな!!」
そう言って、父上は当主としての貴族の顔から冒険者としての顔になる。
おお……こうやって見ると、面倒見のいい先輩冒険者という感じあってかっこいいな。
「頼りにしてます!
よろしくお願いします!」
どんな冒険者になるだろうか?
いずれにせよ、2人の化け物級冒険者から色々学べるのだ。
俺も楽しみで仕方がないな!
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