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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎

反省会とこれからのこと

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-side リアム-



 お祭りを楽しんだ翌日、俺はルーカス、シルバー、レオン、ヘンリーと一緒に[絶対食堂領域]の中で朝食を食べていた。


 ヘンリーもなぜか分からないが、「“勘”」で俺のスキルのことが分かったらしい。
「“勘”」なら仕方ないのだろう。
 これが仕様と言うと、かなり解せないと思うけど。


 作ったのは、鉄板のスパニッシュオムレツである。
 玉ねぎをみじん切りにし、オリーブオイルで飴色になるまで炒め、別の鍋で2、3cm角に切ったじゃがいもを茹でる。
 次に塩胡椒を入れ、卵を溶きほぐす。
 最後に、油を敷いたフライパンの中に入れじゃがいもと玉ねぎ、ハム、チーズを入れて、卵でとじて完成だ。


 なお、ホテルでシェフが作ってくれる場合は、更にお好みでトマトやピーマン、マッシュルームなど、一人一人自由に具材を選べて調理してくれる場合もあるみたいだ。


 そんなこんなで完成したので、いざ実食である。……と思ったけど、先にうちの父親は待ちきれなくて食べていたようだ。
 あの…、でてるよ、でてる。やんちゃだった面影が。


「……うまいな!これはコカトリスの採れたて卵か!確かにこれほどの物は食べれない。」


 ヘンリーは目を丸くして絶賛して食べている。まあでも?そこまで褒められると、悪い気はしないというか。
 自分でいうのもなんだけど、満更でもないというか。
 ふふん。そうだろうそうだろうという感じというか。


『あいつ。デレてるな。』『満更でもなさすぎるのう。あの顔』


 ………。おっほん。
 それはそれとして、最近はゴーレムがコカトリスの世話をしているお陰で、結構な量のコカトリスの卵が手に入る。
 そこらへんの、スーパーで買った卵とは黄身の濃厚さが全然違うわけで、重宝しているのだ。テイムスキルに感謝である。


『うまい』『うむ』「うまいな。」


 他の面々も上出来なようだ。
 俺も食べよう。


 パクリ……!


「うっま。」


 上手い具合に半熟に出来たな。
 チーズもとろーりしていていい感じだ。
 量が少ないわけではないが、とにかく食べやすかったのであっという間に完食してしまったのだった。




 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




「ふー。ありがとう。リアム。美味しかったぞ。」


 しばらく食後の紅茶を優雅に飲んでいたヘンリーは、そう切り出した。


「いえ。それよりも戦闘のアドバイスください。」


 そう。今回、ヘンリーをここに呼んだのは、先日の戦闘の解説を聞くためだ。
 ではなかったら、わざわざおっさんに飯など奢っていない。


「俺が言い出したことだからいいが、
 今、すっごい失礼でひどいこと考えてなかったか?」
「気のせいでしょう。」


 ジトー。


「そうか…まあいい。本題に入るとしよう。
 この前の戦闘は、時間にしては約3分と言ったところか。
 たった3分間という時間の中でも直せるところは沢山あるから教えよう。」
「はい。」
「まずは、そうだな。武器選びについてだ。
 個人的には、あの時選んだ武器が1番良くなかったと思うな。」
「斬撃ナイフを選んだことについてですか?
 射程的にはあの武器でしか勝てないと思ったのですが。」
「その発想はかなり正しい。正しいが、それはお前がその武器を使いこなせたらの話だ。
 見たところ、この前がほとんど初戦闘に近いだろ。その武器と戦うのは。」
「え、ええ。まあ。」
「いくら強い武器でも、使う武器の強さを引き出すことが出来なかったら、使う意味は半減以下になってしまうだろう。
 逆に弱い武器でも性能を熟知していて練度も高ければ、強い武器を持っている奴らをボコボコに出来たりする。」
「あー。」
「だから、戦闘において自分が戦い慣れていない武器を持つな。
 特に、相手が強ければ強いほど、武器の練度というのは関係してくるもんだ。もちろん、仮想空間を使った練習であってもだぞ。実践と同じように戦うべきだからな。」
「分かりました。」
「後はそうだな。レオンは何かあるか?」
「そうだな、基礎的な動きは一通りたたき込めてできていたし、良かったけど、仕方がないとはいえ圧倒的に実践不足だな。
 敵の前で固まっちゃいけないだろ。
 斬撃が飛ばないってアクシデントがあったとは言え。」
「う……。た、確かに。それはそうだよな。おっしゃる通りです。」
「ふっ。まあ、これ以上へこまれても困るし、今日のところはこれくらいにしておいた方がいいな。
 しかし……まだ、学園にも行ってないガキがこれだけ出来るのは凄いことだ。
 少なくとも同年代では群を抜いているだろうぜ。」
「そうだな。日々の鍛錬は続けて貰うとして、今は一旦置いておくべきだ。
 それよりも領地経営について学んでもらわないといけない。」


 きた……。それがこの領地にきた本当の目的だろう。


「何をやるんですか?」
「ああ。まず、領地経営について大事なことはわかるか?」
「うーん。住民の管理ですかね?」
「リアムは……本当に子供っぽくないな。
 まあ、どこでそんなことを知ったかを問い詰める気はないが、そうだな。半分正解だ。
 要するに“最大多数の最大幸福”を念頭に置くことが重要なんだ。」


 おうふ。それこそ子供に言うべき内容でもないようだ。
 ん……??うお……急に周りの気温が下がった。さぶっ。


「んん…。話を続けるぞ。以上のことを踏まえて、領主として大事なことを言うと、
 ①金勘定
 ②他の領主と仲良くすること。(コネ作り)
 ③責任の所在を明確にすること(マネイジメント論)
 ④名産品の宣伝などの領地経営戦略論(ストラテジー論)
 などを学ぶ事が重要になってくる。」
「ふむふむ?」
「まあ、いきなり言われても分からねえよな。これから一つ一つ実践形式で行っていくから、ゆっくり学べばいいだろう。」
「とはいえ、学園に入学するまでの3ヶ月だから結構スパルタにはなるかもだけどな。」
「う……が、頑張ります。」


 貴族の子供になるってことはそれ相応の帝王学を学ばないといけないだろうとは思っていたけど、これは想像以上に難しいかもな。
 思ったよりも、緊張してきた。


『むにゃむにゃ…。』『zzzzzz…』


 後ろでルーカスとシルバーが寝ている。
 はあ。お前らは気楽でいいよなー。
 はっ。いや、これは……。
 このタイミングで緊張感のまるでない2人のBGMがかかっているのはある意味、空気を読んで俺を癒してくれているのかもしれない。
 

『…………………むにゃ!?
 ちげえにきまってんだろむにゃー!』


 おい、寝言で全否定すな。



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