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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
仮想戦闘装置
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-side リアム-
「こ、こんにちはーーーー!皆さん!リアムと申しますー!よろしくお願いします!」
俺はルーカスの上から町の人たちに向かって、大声で話しかけた。
「ひいいいいいいいい。」
「化け物おおおお。」
「うわああああん。おかあさあああん。」
動揺して空から話しかけた俺に対して、至る所で歓迎の言葉?が聞こえてきてようやく気づいた。
あれ?これやらかしてね…?っと。
「(ル、ルーカス!シルバー!みんな怖がっているみたいから、姿を消して!)」
『了解!』『うむ』
「き、消えた?さっきのは幻か?」
「……!!見ろ、人が飛んでいるぞ!」
ようやくみんなが落ち着いてきて俺に気づいたところで地面に降り、声をかける。
「こんにちはー!」
とりあえず、何事もなかったように話しかけてみることにした。
「空からこ、子供?ま、待てよ。赤髪の男の子ってまさか……新しい領主様ですか?」
「ええ。この度、この町の領主になりましたリアムと申します!
よろしくお願いいたします。」
俺は出来るだけ丁寧にお辞儀をする。
今の優雅な所作で村人の大半は騙されただろう。完璧な作戦だ。
『なあ。シルバー。あいつの心を読んでみろ。1人でクソ茶番やってるぞ。』
『きっと疲れているんだろう。しばらく休んだら戻るからほっとけ。』
後ろでシルバーとルーカスがコソコソと話しているが、気にしない。
俺が疲れている理由は、大半がお前らのせいだと言いたいが、気にしたら負けだ。
「え、ええ。ところで、さっきのドラゴンはなんだったのでしょうか?」
「はて?そんなものいましたかね?」
『そんなあからさまな惚け方で騙される奴もおるまいて。』『それなー!』
無視だ無視。
「で、ですが、私達みたんですよ。空に銀色の大きなドラゴンがいたのを。」
「変わったこともありますねー。」
うんうん。こうして知らないふりしてゴリ押せば大丈夫。問題ないはずだ。
その時、後ろからものすごいスピードで、追いかけてきた人間達がいた。
「リ、リアム!」「リアムー!」
「ヘンリー様。レオン。追いついたんですね!」
「馬鹿か!お前は。ドラゴンに乗って初対面の挨拶する領主がいるか!」
「へ?じゃあ、さっきのドラゴンはやはりリアム様が……。」
ちょっ。アンタ父親でしょう。
空気読んでよ父さん。
『空気読まなくても、騙せてなかったから意味ないのお。』『それなー!』
俺は、ルーカスとシルバーを無視してヘンリーを強引に掴むと、村人から距離を置いて話す。
--コソッ
「せっかく、知らないふりしてゴリ押せば、大丈夫だし、問題ないと思ったのに何やってるんですか。台無しじゃないですか。」
「いや、問題ありまくりだろ。
そもそもだ、お前がいくら誤魔化したところで、この近くにいた人たちは衛兵を呼ぶ。
きっと徹底的に調査するだろう。どのみちお前の仕業だということは隠せないぞ。」
「(ガーン……。)そ、そんな。な、なんとかなりませんか?
このままじゃ俺、ただの嘘つきで変な領主ってことになるじゃないですか。」
「何自分は無罪ですみたいな雰囲気装ってるんだ?変な嘘つき領主ってのは、紛れもない事実だし、もう遅いぞ?
既にお前、王宮の新3大問題児にレオンとミラと共に内定してるし。」
「そ、そこまで俺の今までの行いって酷かったですかね?」
「自覚なかったのか……。」
「ええ……。って新3大ってことは、旧3大もあるのですか?」
「っと……ああ。まあ……ある分にはあるな。」
ヘンリー様があからさまに言い淀む。
あ……さてはこれは。
「自分も入っていたんですか。
これは……、子供は親に似るっていうし仕方がないですね。」
「ぐっ。はあ、全く。そんなクソガキ発言ばかりしているといつか生まれるお前の子供に全て仕返しされるぞ。」
「大ブーメラン」
「ぐはあ……。」
そんな話をしていると、村人たちが声をかけてきた。
「あのお……。」
「あ!すみません。ドラゴンを従えていたのは僕ですが、変人ではないので!」
「あ……、いえ、そこはもう疑ってないのですが、新領主様に歓迎会をさせて頂きたいのです。」
「歓迎会ですか!?嬉しいです。」
「え、ええ。まだ準備が出来ていないので、一旦、領主の館でお寛ぎいただいてから、
こちらからお伺いさせて頂きたいと思うのですが、よろしいでしょうか。」
「かしこまりました!
ぜひお願いいたします!」
こうして、俺らは宿に案内され、一旦くつろぐことにした。
『なあ、聞いたかよ?
今さらっと、“変人なのはもう疑ってないのです”って大人な対応で言われてやんの。
日頃の行いが出たな。』
ルーカスうるさい。
その発言は無視できん。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その後、宿に着いた。中に入るや否や、レオンとヘンリーが話し出す。
「お、ここ、仮想戦闘装置があるのか!
いいな。」
「おお。それはいいな。ヘンリー様。
早速手合わせ願いたい。」
なにやら、戦闘狂の2人が広間の方を指差して話をしている。
「仮想戦闘装置?」
「ああ。そうか、リアムはまだ学園に行ってないもんな。仮想戦闘装置はな、戦闘の練習に使う訓練装置だ。
仮想戦闘装置に入って戦うと、魔力によってプレーヤーの疑似身体が作られ、
戦闘によって与えられたダメージが直接自分の体にいかないようになるんだ。」
「ふーん。」
バトルものでよくある戦闘練習マシーンか。面白そうだ。
「どうせなら、リアムもやってみるか?」
「お、それはいいな!父親になった身としてお前の力量を測りたい。着いてきなさい。」
「え?」
断る間も無く、ヘンリーに無理矢理広間の方へ連れて行かれる。
なんも準備もないまま、いきなり戦うことになってしまっていた。
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「こ、こんにちはーーーー!皆さん!リアムと申しますー!よろしくお願いします!」
俺はルーカスの上から町の人たちに向かって、大声で話しかけた。
「ひいいいいいいいい。」
「化け物おおおお。」
「うわああああん。おかあさあああん。」
動揺して空から話しかけた俺に対して、至る所で歓迎の言葉?が聞こえてきてようやく気づいた。
あれ?これやらかしてね…?っと。
「(ル、ルーカス!シルバー!みんな怖がっているみたいから、姿を消して!)」
『了解!』『うむ』
「き、消えた?さっきのは幻か?」
「……!!見ろ、人が飛んでいるぞ!」
ようやくみんなが落ち着いてきて俺に気づいたところで地面に降り、声をかける。
「こんにちはー!」
とりあえず、何事もなかったように話しかけてみることにした。
「空からこ、子供?ま、待てよ。赤髪の男の子ってまさか……新しい領主様ですか?」
「ええ。この度、この町の領主になりましたリアムと申します!
よろしくお願いいたします。」
俺は出来るだけ丁寧にお辞儀をする。
今の優雅な所作で村人の大半は騙されただろう。完璧な作戦だ。
『なあ。シルバー。あいつの心を読んでみろ。1人でクソ茶番やってるぞ。』
『きっと疲れているんだろう。しばらく休んだら戻るからほっとけ。』
後ろでシルバーとルーカスがコソコソと話しているが、気にしない。
俺が疲れている理由は、大半がお前らのせいだと言いたいが、気にしたら負けだ。
「え、ええ。ところで、さっきのドラゴンはなんだったのでしょうか?」
「はて?そんなものいましたかね?」
『そんなあからさまな惚け方で騙される奴もおるまいて。』『それなー!』
無視だ無視。
「で、ですが、私達みたんですよ。空に銀色の大きなドラゴンがいたのを。」
「変わったこともありますねー。」
うんうん。こうして知らないふりしてゴリ押せば大丈夫。問題ないはずだ。
その時、後ろからものすごいスピードで、追いかけてきた人間達がいた。
「リ、リアム!」「リアムー!」
「ヘンリー様。レオン。追いついたんですね!」
「馬鹿か!お前は。ドラゴンに乗って初対面の挨拶する領主がいるか!」
「へ?じゃあ、さっきのドラゴンはやはりリアム様が……。」
ちょっ。アンタ父親でしょう。
空気読んでよ父さん。
『空気読まなくても、騙せてなかったから意味ないのお。』『それなー!』
俺は、ルーカスとシルバーを無視してヘンリーを強引に掴むと、村人から距離を置いて話す。
--コソッ
「せっかく、知らないふりしてゴリ押せば、大丈夫だし、問題ないと思ったのに何やってるんですか。台無しじゃないですか。」
「いや、問題ありまくりだろ。
そもそもだ、お前がいくら誤魔化したところで、この近くにいた人たちは衛兵を呼ぶ。
きっと徹底的に調査するだろう。どのみちお前の仕業だということは隠せないぞ。」
「(ガーン……。)そ、そんな。な、なんとかなりませんか?
このままじゃ俺、ただの嘘つきで変な領主ってことになるじゃないですか。」
「何自分は無罪ですみたいな雰囲気装ってるんだ?変な嘘つき領主ってのは、紛れもない事実だし、もう遅いぞ?
既にお前、王宮の新3大問題児にレオンとミラと共に内定してるし。」
「そ、そこまで俺の今までの行いって酷かったですかね?」
「自覚なかったのか……。」
「ええ……。って新3大ってことは、旧3大もあるのですか?」
「っと……ああ。まあ……ある分にはあるな。」
ヘンリー様があからさまに言い淀む。
あ……さてはこれは。
「自分も入っていたんですか。
これは……、子供は親に似るっていうし仕方がないですね。」
「ぐっ。はあ、全く。そんなクソガキ発言ばかりしているといつか生まれるお前の子供に全て仕返しされるぞ。」
「大ブーメラン」
「ぐはあ……。」
そんな話をしていると、村人たちが声をかけてきた。
「あのお……。」
「あ!すみません。ドラゴンを従えていたのは僕ですが、変人ではないので!」
「あ……、いえ、そこはもう疑ってないのですが、新領主様に歓迎会をさせて頂きたいのです。」
「歓迎会ですか!?嬉しいです。」
「え、ええ。まだ準備が出来ていないので、一旦、領主の館でお寛ぎいただいてから、
こちらからお伺いさせて頂きたいと思うのですが、よろしいでしょうか。」
「かしこまりました!
ぜひお願いいたします!」
こうして、俺らは宿に案内され、一旦くつろぐことにした。
『なあ、聞いたかよ?
今さらっと、“変人なのはもう疑ってないのです”って大人な対応で言われてやんの。
日頃の行いが出たな。』
ルーカスうるさい。
その発言は無視できん。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その後、宿に着いた。中に入るや否や、レオンとヘンリーが話し出す。
「お、ここ、仮想戦闘装置があるのか!
いいな。」
「おお。それはいいな。ヘンリー様。
早速手合わせ願いたい。」
なにやら、戦闘狂の2人が広間の方を指差して話をしている。
「仮想戦闘装置?」
「ああ。そうか、リアムはまだ学園に行ってないもんな。仮想戦闘装置はな、戦闘の練習に使う訓練装置だ。
仮想戦闘装置に入って戦うと、魔力によってプレーヤーの疑似身体が作られ、
戦闘によって与えられたダメージが直接自分の体にいかないようになるんだ。」
「ふーん。」
バトルものでよくある戦闘練習マシーンか。面白そうだ。
「どうせなら、リアムもやってみるか?」
「お、それはいいな!父親になった身としてお前の力量を測りたい。着いてきなさい。」
「え?」
断る間も無く、ヘンリーに無理矢理広間の方へ連れて行かれる。
なんも準備もないまま、いきなり戦うことになってしまっていた。
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