魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺おとば🌱

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3章⭐︎仲間集まってきた編⭐︎

アーティファクト

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ーside エリクー


「あ、にーに!おかえりー」
「ただいまーこれは何の騒ぎだい?」

 
 ドワーフに武器製作を頼み家へ帰ってきたエリクたち一行。帰ってきて早々、慌ただしく屋敷から物を出しいれしている家臣たちに驚く。


「おーそーじ」
「大掃除!?」
「そー屋敷が散らかってて汚すぎるってママが怒ってた」
「あっ」


 エリクの母上は部屋の掃除にとても厳しい。屋敷を綺麗に保つのは当主の妻としての責任でもあるからだ。
 毎回あまり片付けられないエリクに対してとても怒っていた。
 絶対あの人今頃怒っているよとエリクは察して逃げようとする。


「あ、そーだ、にーに!ママが呼んでたー!」
「終わった」


 ご愁傷様ですとトールとレオンとルークは両手を手を合わせてお祈りする。
 まだお亡くなりになってないからな。
 

「来たわね、エリク。お帰りなさい」


 急いで向かうと、母--エレナが仁王立ちしてゴゴゴゴゴ……という圧をエリクに与えていた。早速命の危機を感じる。
 父があれだけしっかりしない中でこの家がまとまっていたのはこのエレナのおかげである。そういう意味で、エリクはエレナのことをとても尊敬していた。

 
「こーれ。あなたの部屋に溜まっていたガラクタ。捨てて良いかしら?」
「あ、それ、レオンのやつだから俺のじゃない」
「あら?そうなの?なら、レオンさんを呼んでくれないかしら?」


 --よっしゃ!道連れゲット!
 エリクは内心ガッツポーズをする。しばらくすると、レオンが虚無に目をしてやってきた。


「レオンさん?このガラクタは捨ててよろしい?」
『え!?あっ!あーーっ!ダメです!それ、ガラクタではなくてアーティファクト!』


 アーティファクト--それは、神代に作られたとされる武器だ。俺が今使っているメイン武器、竜の杖などもこれにあたる。竜の杖の制作者もレオンだからな。創造神が作ったアーティファクトは貴重なものが多いだろう。


「母上、それは俺が引き取ります」
「ダメよ?」
「へ?」
「ダメ」
「しかし……」
「ダーメ」


 ダメらしい。困った。こうなった母上はなかなか考えを変えてくれる事はない。一応理由を聞いておくか、とエリクは考える。


「何故ですか!?母上!確かに、私もカスみたいなガラクタだと思いますが」
『オイ』
「それでも、一応レオンは創造神様です。そのアーティストも人類を救うきっかけになるような貴重なものばかりですよ!」


 一応も余計なんだけど、と隣でレオンが講義の目をしてくるが、エリクがそっと受け流す。


「分かっているわ」
「だったら!」
「だからよ。それをただのガラクタみたいに置いているあなた達は信用ならないわ。第一あなたこれらの使い方本当に分かるの?」
「うっ……それは確かに」


 盲点だった。今までただのレオンが作ったガラクタだと思っていた。確かに創造神が作ったのだったら、ガラクタみたいなものでも、アーティファクトになりその価値は計り知れなくなるだろう。


「大丈夫よ。私がちゃんと管理してあげる。必要になったら貸してあげるわ」
「助かります。正直、俺が管理してもただのガラクタになってしまいそうです」
『あ、あの、それ私のなんですけど』
「そうですね、なのでレオン様の意見は尊重しましょう。管理は私がやります。家が散らかるのは困りますから」
『ハイ……』

 
 有無を言わさずにレオンを納得させるエレナ。ママン強いな。流石だとエリクは感動する。
 彼女とセバスとジル兄がいれば父上がポンコ……失礼。ちょっとお花畑でもこの家は大丈夫だろう。
 よきかなよきかなと思いその場を去ろうとする。


「あ、待ってエリク。家の掃除はまだ終わってないわよ。あなたに聞きたいことが沢山あるわ」
「ゲッ……」


 その後、エリクはズルズルと引きずられながら大掃除を開始する事になる。フハハハハハ!エリクも苦しめばいーんだ!というレオンの念話をききながら。

 
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