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3章⭐︎仲間集まってきた編⭐︎

歓迎会

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-side エリク-



「それでさ、こちらが、エンシェントドラゴンのトールで、こっちが、フェンリルのルークとその家族なんだ。」
「え……?ははっ……!寝ぼけているのかな?俺は。」
「私にも同じものが見えていますわ。お兄様。私も寝ぼけているのかしら?」
「寝ぼけてないから安心しろ。」


 あれから、しばらくして、2人を起こしたエリクは、エリクの部屋で、屋敷の中を当たり前のように動き回っているトールとルークを紹介している。
 いきなり、トールとルークを見たものは、十中八九驚くからである。


「ならば、幻覚……。」
「幻覚ではないのう。それに我は今人間の姿であろう。そこまで、驚くこともあるまい。」
「「喋った!?」」
「普通のことであろう?ほれ、このように人間の姿にもなれる。」


 トールが小さいドラゴンから、銀髪黒目の子供の姿へ移行する。トールは握手しようと、セシルとエリーゼに手を近づけた。すると、--ズザと後方に下がる。


“いや、お主、人間の姿でも威圧感が半端ではないであろう。こやつらが驚くのも無理はあるまい。”
「こっちも、しゃべった!?」
「喋る魔物とか、おとぎ話でしか聞いた事ないわ。」
「ほれみろ。お主の方が、驚かれているではないか。」
“我は、姿を変えれば、驚かれないぞ。ほれ。”


 そう言うと、ルークは、小型犬くらいのサイズになる。非常に愛くるしいその姿は、エリクの妹であるソフィアやその友達にも非常に人気である。


「わあ!!かわいい!」
「変身魔法……こんな高度で、洗練されている魔法、初めて見た。これが伝説の魔物、フェンリルの力……。」


 捉え方は2人それぞれで違うが、2人とも警戒をとき、ルークを撫で出した。魔力を豊富に含んだ、もふもふな、毛感触はとても良いのだ。トールはそれを見て、嫉妬深そうに、ムッとする。


「ぐぬぬぬぬ……。我も、人間になった時、愛くるしさがあれば……。」
「あはは、トールは子供の姿になっても、威圧感放ったままだからなあ。」


 そう言いながらもエリクは、人間になったトールを撫でる。子供の姿になったおかげで、エリクのちょうど撫でやすい位置に頭があるのだ。髪は魔力を含んでいるせいか、少しひんやりふさふさしていて、心地よい。


「な、なあ、エリーゼ。もしかして、エリクシア王国は、軍事面において、とっくにマスク王国を抜かして、トップなんじゃないか?」
「そ、そうですね。お兄様。一応、エリクのためにと、色々軍事面で手を回そうと、あちこち根回ししましたが、無駄だったかもしれません。」
「ほう。軍事面で、我らに、助けを……?確かに、不要だな。」
「「やっぱり……。」」


 言葉を選ばないトールの言葉に項垂れるセシルとエリーゼ。それに対して、エリクは、自分のことを心配してくれて、色々行ってくれたことを察して喜ぶ。
 一応、どんなことをやってくれていたのかを聞くと、マーチャルトは、経済面で、マスク王国が、弱らせるようにじわじわと、弱らせ、難民を周辺国と共に引き受け、マーチャルトが同盟を結んでいる--リンハルト同盟の国々と一緒に、いざとなった時に備えて、共同で軍事訓練、および、技術開発を協力して行なっているらしい。
 1国をなるべく犠牲者が少なく、潰すにはどうしたら良いかと各国の首脳陣が、様々な事を考慮しているのだという。


「ありがとう。2人とも。まさか、そんな事をしてくれているなんて……」


『思ってもなかったよ。』--とエリクが言おうとした瞬間、レオンがやってきて、ハモった。「お、レオン」と言う返事に、「やあ」と言う言葉で返す。


『思ってなかったよ。まさか、そんなことになっているなんて。やってくれたね。』
「いやいや、俺たちも、まさか、ここまで大事になるとは、当初思ってもなかったんだ。あ、初めまして。」
『初めまして。大丈夫、話があるのは、エリクたちにだから。』
「なんの話だ?」
『また後で--。ところで、君たちは、ここに泊まっていくのかい?』
「え、ええ。あなたは?」
『ああ、すまないね。エリクの友達の、レオンだよ。よろしく。』
「私は、エリーゼ。よろしくお願いします。」
「僕は、セシルだよ。よろしく。」


 普段敬語を使われなれている、エリーゼとセシルは、若干動揺しているのだろう。しかし、顔に出さず応対している、流石王族である。それにしても、レオンの話は十中八九説教だろう。長くなりそうだし、2人を部屋に送りながら、逃げるか。


「2人とも、今日は夜遅いし、もう寝よう。送るよ。」
「ああ、送るのは大丈夫だよ。護衛もいるし、道も覚えたし。」
「いやいや……必要だろう。」
「いやいや……レオンさんのお話もあるだろう。そちらを優先してくれ。」
「いやいや……(う……余計な事を……)」
「いやいや……」
『エリク。』
「うん?」
『逃がさないよ。』
「はい。」


 この後、お説教されるのだろうと覚悟しながら、エリクは、2人を見送ることにした。




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