魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺おとば🌱

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3章⭐︎仲間集まってきた編⭐︎

これからのこと

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-side エリク-



「なあ、トール。」
「ん?どうした?エリク。昨日の茶番の事、悪く言ったことなら、もう謝ったではないか。」
「待て。あの演説、茶番ではないんだが。
 ……いや、まあ。かなりグレーゾーンではあるけど。」
「お主……お主自身が、自信なくしはじめたら、もう終わりぞ?--して、何のようだ、エリク?」
「ああ。それが……、国を作ったは良いものの、これから、何をすれば良いのか分からないから、有識者に聞きたいんだ。」
「そうか。やはり、あの演説。茶番でおしまいにしといた方が良かったのではないか?」
「そうだけど、そういうわけにはいかないんだ。これが。--というか、これは、真面目な話だ。」
「冗談だ。冗談。ちと待て。今、ルカを呼んだ。もう直き来るだろう。」
「助かる。有能な執事がいて羨ましいな。」
「そうでもないぞ。我に仕事してくれとうるさいからのう。」
「トール様。聞こえておりますよ。
 やはり、ここにいましたか。」
「ぬ?い、いやあ。これはだな……。」


 今、俺たちは、家の中のリビングにいる。
 ルカがこれだけ早いという事は、元々、トールを仕事場に連れ戻しに来るつもりだったのだろう。


「久しぶりだな。ルカ。」
「お久しぶりです。で、トール様。誰がうるさいですって?」
「お、お主が、仕事をしろしろとうるさいのだ。」
「あのですね。私があなたの何倍働いているかお分かりですか?」
「3倍くらいか?」
「30倍の間違いです。それで、済めば良いですねえ。まったく……、エリク様はこの前の茶番も立派にこなしたというのに。」
「ル、ルカまで、あれを茶番って言うんだな。」


 エリクは遠い目をして、そう呟いた。
 若干、黄昏気味である。


「な、ち、違います。その、為政者として、素晴らしい演説とカリスマ性の才能をお持ちで、しっかりとお役目を果たされているのだなと、言っているのです。」
「なるほど…………。つまり、意訳すると、茶番をしっかりこなせたと。」
「そ、そういうわけではありません。」
「ルカ。」
「はい?」
「もう遅いのう。」
「ぐぬ……。エリク様、無礼な失言、失礼致しました。では、トール様を連れて。私はもう行きますね。」
「あ、ちょっと待って。聞きたいことがあるんだけど。」
「なんですか?」
「その……。」
「こやつは、リーダーとしてやるべき事とは、何か聞きたいらしいぞ。」
「リーダーとして、やるべき事?
 ……そんなの書類にサインする事に決まっているでしょう!行きますよ!トール様。」
「わわっ……!いきなり、引っ張るな。
 ほぎゃーーー!」


 鬼のような顔をしたルカに引きずられて、トールはこの家から連れ出される。
 「うーん。圧倒的な人選ミス感。」--と一人残されたエリクはまた呟くのだった。


「(--さて、1番詳しそうなルカが、あの調子なら、自分で行うしか無いだろう。
 レオンは、教えてくれなさそうだし、ルークも戦闘では頼りになるけど、そもそも、内政は詳しく無いだろうしな。
 父上は……、悪い人では無いし、俺より実務の経験はあるが、今まで、王様に手玉に取られるくらいには、凡人。
 一緒に暮らしていた感じ、うちの人間は、全員、為政者としては優しすぎるな。
 --いや、セバスは見た目は優しそうなお爺さんだが、あれでいて冷たいところがある。
 ジルも、勘でしか無いが、多分、貴族としての冷酷さは持っているはずだ。次期当主として、セバスに鍛え上げられているし。
 この2人に頼るか。)」--と考えたエリクが向かったのは、ジルの部屋だ。
 今はちょうど、セバスが勉強を教えているところだろう。


 --コンコン。


「はい。」--という声がして、エリクが中に入ると、真剣な姿の2人がいた。


「どうした?エリク。珍しいな。
 昨日の演説--その、よかったぞ。」
「ジル兄。やはり、あなたは、俺の心のオアシス。天使。」
「わっ……!どうしたんだよ。落ち着け。
 はあ……。まあなんだ。その……。
 ソフィーにも言ったが、今まで、なかなか構ってやれなくて、ごめんな。これからは、遊んでやるから。」
「デレ兄?」
「誰だそれ?一文字もかすってねえぞ。
 あと、デレてねえ。まったく。」


 後ろでは、「おお……!良かったですねえ。ジル様、エリク様。爺やは、赤飯ですぞーー!」--と、セバスチャンが支離滅裂な発言をして、泣いている。
 そういえば、そんな事している場合では、無かったんだ、とその声を聞いてエリクは目を覚ました。


「なあ、セバス。」
「はい。うぅ……。なんでしょう。」
「その、感動しているところ悪いけど、リーダーの仕事教えてほしい。」
「なっ……!なんと。私としたことが。完全に、エリク様がこれからなすべきことを示すのを忘れておりました。
 大丈夫です。エリク様。既に、エリク様がこれから、やるべき事は、この書類にまとめておりますので、ご心配なく。」
「おお。流石だ。ありがとう。」
「いえいえ。そんなことよりも、良かったですねえ。2人とも。再会できて、本当によかったでずねええ……!うぅ……。」


 セバスチャン。敏腕執事だけど、かなり癖強めだな。--と思ったエリクであった。




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