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3章⭐︎仲間集まってきた編⭐︎

国を建国しよう

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-side エリク-


『それで、無事、父上や兄妹達と話せたんだ。良かったね。』
「ほーん。良かったではないか。」
「ああ。みんなで、もう一度、家族としてやり直そうって決めたんだ。きっとこれからは、良くなる。」


 エリクは晴れやかな気持ちで、話している。おそらく、こんなにも晴れやかなのは、追放され、マスク王国というしがらみが無くなった時以来であろう。


“ふむ。我は、お主のその顔が見れただけで、今日はもう満足だ。幸せになれ。エリク。”
「俺。そんな顔してたのか?」
「自分では気づいてないのかもしれないけど、普段の君からは考えられないほど表情豊かだよ。家族に会えて、幸せそう。」
「そうか。--っと、それはそれとして、今日は相談があって、呼んだんだ。」
『おお。そうだったね。大方、今後、この人数の人たちを養っていくには、どうしたらいいか……というところだね?』
「ああ。当分の食料は持ってきてくれているらしいんだがな。長期ってなると無理だろう。俺の今の畑を広げても間に合わない。」
『それは、最初から期待してないけど……。
 そうだ!いいこと思いついた。』
「どうした?いきなり。」
『国だよ、国。国を建設するんだ。』
「おお。それはいい考えだな。我は、アトラニアの次期竜王。ルークはフェンリルの王。
 レオンは、創造神で、神の王。
 エリク。お主も国を設立すれば、王になれる。我らが対等な友となれるいい機会ではないかのう。」
「へっ--!?いやいや、そんなつもりないんだけど。」


 そんな事になれば、いよいよスローライフを送れなくなる--と、エリクは考えた。


「そうでもないぞ。我も、仕事は全て部下に任せておる。だから、このような時間が取れているのだ。」
“王たるもの、どしっと構えていれば良いのだ。わざわざ、働かなくても良い。”
『私は、是非ともエリクには、働いてほしいところだけれど、別に嫌なら、働かなくても良いんだよ。君は、既に頑張っているからね。』
「そうなのか……。」


 国を作れば、マスク王国は怒るだろうが、他国との取引は格段にしやすくなる上、民も一つに纏まりやすくなるだろう。
 それに、昨日の父上の話によると、親友のセシルや、元婚約者のエリーゼは、商業都市マーチャルトに、逃げたらしい。
 エリクは頭の中の電卓で、色々計算した。


「決めた!俺、国作ってみるよ。来てくれた民のためにもなると思うし、仕事は、そういうことが詳しい父上に任せれば、なんとかなりそう。兄上もいるから、大丈夫だろう。」
「ふむ。流石はエリクだ。決断が早い。」
「よしっ--!そうと決まれば、まずは、演説から始めよう。早速準備開始だ。」


 こうして、翌日、俺は民の前で、建国の演説をする事になったのだった。




 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




 --その翌日。エリクは、民を集めた。
 ざっと、数十万人だろうか?
 魔法を通じて届けられる声だけで、会場を沸かせなければならず、演説力の試される場面である。


「今日、みんなに集まって貰ったのは他でもない。ここに、国を建国するためだ。」


 エリクがそう言った瞬間。--わぁぁぁあ!っと、声がした。
 熱気は最高潮である。


「今ここで、多くを語る事は、やめようと思う。ただ、ひとつだけ言わせてほしい。
 俺は、お前ら必ず、幸せにする。」


「エリク様ー!」「エリク様!」--と民からは、沢山の声は聞こえる。
 一方、いつメンからは、「あいつ
、逃げたな。」『そうだね。』“逃げるのは良くないぞ。”--と、大不評である。
 しかし、それもエリクの想定内。
 全て、作戦通りである。


「俺は、この国を、エリクシアと名づける。
 国が万能薬となり、お前達の、生活を支えてくれようという意味だ。」


「エリクシア万歳!」「エリクシア万歳!」という声は、民からは、聞こえてくる。
 一方、いつメンからは、『自分の名前を国名に入れるなんてナルシストだね。』「自信家だな。それでこそ、エリクシア。」“我だったら、恥ずかしすぎてようせんのう。”これまた、微妙な評価。
 いつメン、厳しすぎない?とエリクは思うも、今は民の興味を自分に惹きつける事に集中した。


「共に笑い、共に泣き、共に戦おう。
 以上だ。」


 --わぁぁぁああ!


 エリクが去った後も、会場は沸き続けたのだ。無難な演説だが、会場が湧く。


『これが、カリスマ性。
 これが、主人公補正。』
「置きにいったな。」
“ちと、つまらん、演説だったのう。”
「だから、お前ら、厳しくないか!?」


 まあ、批判してくれる、良き友を持っているという事でよしとしよう。--と、エリクは自分を勇気づける事にしたのだった。



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