13 / 52
2章⭐︎レベルアップ⭐︎
賢いルーク
しおりを挟む
-side エリク-
フェンリルの里は、山を掘って洞窟にしたところだった。
結界魔法で強化してあるから、崩落する危険もないみたいで、彼らにとっては快適だそうだ。
もっとも、ドラゴンや創造神はともかく、図太くても、人間であるエリクにとってはそこそこ厳しい環境なようだが。
それでも、エリクはもてなしてくれている、ルークに対してなるべく失礼がないようにしている。
「これだけの住居をフェンリル達で建てたのはすごいな」
“当然だろう。”
“わふわふ” “くーん(ぺろぺろ)”
今エリクは洞窟の中の彼らの応接室にいて、彼の上には子供のフェンリルが5匹のっている。よだれで、ベトベトである。
応接室には一応簡易的なテーブルがある。彼らが魔法で作ったようだ。手足を使えないのにも関わらず、器用である。
(検索 “フェンリル 好きなもの”
検索結果:肉)
ほー。やはり肉食獣なのか。
「なあ、レオン。フェンリルにとって美味しい肉沢山出してあげることできない?
もてなしてくれたお礼にさ。」
『いいよ』
というわけで、レオンにお肉を沢山出してもらった。途端にフェンリル達の目の色が変わる。
「食べてもいいぞ。」
ガッガッガッ……。
目にも止まらぬ速さでがっつく。すぐになくなると、“くーんくーん”、“わふわふ”と甘えたような声を出している。
『か、可愛い。ほら、もっと食べていいぞ』
またまた、がっつく。これが餌付けというやつだ。お腹いっぱいになったフェンリル達はまた俺のところに来る。
心なしか、さっきよりも気を許してくれているみたいだ。
“こたつらは随分とお主に懐いたようだな。”
「あはは。嬉しいよ。」
“エンシェントドラゴンほどではないが、我らはお主ら人間の心をある程度読み取れるからな。エリクが、真っ直ぐな心を持っていることくらいはわかるぞ”
本当は図太くて能天気なだけだが、ものは捉えようである。
フェンリル達はエリクの性格を気に入ったようだった。もっとも、餌をくれたからだけかもしれないが。
何はともあれ、第一段階の打ち解けることは成功である。
「(ならば、第二段階の勧誘をしなければならない。どう誘おうか。)ねえ、この洞窟より快適な場所があって、食事も提供できるっていったら、里から移動できる?」
“うーむ。お主の言わんとしていることはわかるが、難しいな。我らにはこの洞窟が1番快適なのだ。それに長年住んでいるこの場所は愛着もあるのだ。”
「やっぱそうだよなあ。どうしたものか。(それにしてはどうも理由付が適当なような?)」
“もっとも、レオンがもっといい場所を提供してくれるのなら別だがな。”
チラッ、チラッ、とルークはレオンのことを見る。
「(なるほど、つまり交渉するためにわざとここから移動できないふりをしたと。俺からもレオンに快適な生活を頼んでほしいということなのだろう。)」
なかなか、小賢しいフェンリルである。
「俺からもお願いするよ。レオン。」
『はー。全くあなた達は。まあ、別にそれくらい簡単なことだからいいけど。』
頼めばなんでもやってくれるチョロ神だから、ルークも交渉しようと思ったのだろう。言い換えれば、数千年間足下を見られ続けている状態であるとも言える。
『じゃあ、私は屋敷をちょちょいっと改造してくるから。ルークも一緒に来て。』
“うむうむ。エリク感謝するぞ。お主、なかなか見所がある。流石我が見込んだだけはあるな。”
ルークも、実は結構チョロかったりする。
「(この島の住人がみんなこんな感じなのだろうか。あまり、騙し合いとかないから、みんなチョロくなってしまったとかか?
これは、実家に戻る時、しっかりみんなに人を信用しないように教えなければな。)」
「お主なあ。精度はともあれ、我らは人の心を読める。だから、お主が心配することはない。お主を認めているのだって、何も無条件ではないのだぞ。」
「(確かに、言われてみればその通りだ。)」
「だから、別に心配しなくてもいいのだ。」
“くーん”、“わふ”
まるで、そうだそうだと言わんばかりにフェンリルの子供達も伝えてくる。
ちなみに、フェンリル達はエンシェントドラゴンとは違い、声に出して話すことはできない。だから、人間やエンシェントドラゴンと意思疎通をとるのは念話で行うらしい。
「(どちらにせよ、人間の言葉を魔物が理解できている時点で破格の魔物ランクの高さが伺える。知能も高い。)」
「むしろ、お主らより長く生きている分、知識は断然多いぞ。知能もお主らより少し高いだろう。」
「(人の身で測れるレベルを越しているのかもしれない。だからこそ面白い。色々調べてみたいな。それはそうと、フェンリル達の家はどんな感じになるなのだろう。楽しみだ。)」
---------------------------
フェンリルの里は、山を掘って洞窟にしたところだった。
結界魔法で強化してあるから、崩落する危険もないみたいで、彼らにとっては快適だそうだ。
もっとも、ドラゴンや創造神はともかく、図太くても、人間であるエリクにとってはそこそこ厳しい環境なようだが。
それでも、エリクはもてなしてくれている、ルークに対してなるべく失礼がないようにしている。
「これだけの住居をフェンリル達で建てたのはすごいな」
“当然だろう。”
“わふわふ” “くーん(ぺろぺろ)”
今エリクは洞窟の中の彼らの応接室にいて、彼の上には子供のフェンリルが5匹のっている。よだれで、ベトベトである。
応接室には一応簡易的なテーブルがある。彼らが魔法で作ったようだ。手足を使えないのにも関わらず、器用である。
(検索 “フェンリル 好きなもの”
検索結果:肉)
ほー。やはり肉食獣なのか。
「なあ、レオン。フェンリルにとって美味しい肉沢山出してあげることできない?
もてなしてくれたお礼にさ。」
『いいよ』
というわけで、レオンにお肉を沢山出してもらった。途端にフェンリル達の目の色が変わる。
「食べてもいいぞ。」
ガッガッガッ……。
目にも止まらぬ速さでがっつく。すぐになくなると、“くーんくーん”、“わふわふ”と甘えたような声を出している。
『か、可愛い。ほら、もっと食べていいぞ』
またまた、がっつく。これが餌付けというやつだ。お腹いっぱいになったフェンリル達はまた俺のところに来る。
心なしか、さっきよりも気を許してくれているみたいだ。
“こたつらは随分とお主に懐いたようだな。”
「あはは。嬉しいよ。」
“エンシェントドラゴンほどではないが、我らはお主ら人間の心をある程度読み取れるからな。エリクが、真っ直ぐな心を持っていることくらいはわかるぞ”
本当は図太くて能天気なだけだが、ものは捉えようである。
フェンリル達はエリクの性格を気に入ったようだった。もっとも、餌をくれたからだけかもしれないが。
何はともあれ、第一段階の打ち解けることは成功である。
「(ならば、第二段階の勧誘をしなければならない。どう誘おうか。)ねえ、この洞窟より快適な場所があって、食事も提供できるっていったら、里から移動できる?」
“うーむ。お主の言わんとしていることはわかるが、難しいな。我らにはこの洞窟が1番快適なのだ。それに長年住んでいるこの場所は愛着もあるのだ。”
「やっぱそうだよなあ。どうしたものか。(それにしてはどうも理由付が適当なような?)」
“もっとも、レオンがもっといい場所を提供してくれるのなら別だがな。”
チラッ、チラッ、とルークはレオンのことを見る。
「(なるほど、つまり交渉するためにわざとここから移動できないふりをしたと。俺からもレオンに快適な生活を頼んでほしいということなのだろう。)」
なかなか、小賢しいフェンリルである。
「俺からもお願いするよ。レオン。」
『はー。全くあなた達は。まあ、別にそれくらい簡単なことだからいいけど。』
頼めばなんでもやってくれるチョロ神だから、ルークも交渉しようと思ったのだろう。言い換えれば、数千年間足下を見られ続けている状態であるとも言える。
『じゃあ、私は屋敷をちょちょいっと改造してくるから。ルークも一緒に来て。』
“うむうむ。エリク感謝するぞ。お主、なかなか見所がある。流石我が見込んだだけはあるな。”
ルークも、実は結構チョロかったりする。
「(この島の住人がみんなこんな感じなのだろうか。あまり、騙し合いとかないから、みんなチョロくなってしまったとかか?
これは、実家に戻る時、しっかりみんなに人を信用しないように教えなければな。)」
「お主なあ。精度はともあれ、我らは人の心を読める。だから、お主が心配することはない。お主を認めているのだって、何も無条件ではないのだぞ。」
「(確かに、言われてみればその通りだ。)」
「だから、別に心配しなくてもいいのだ。」
“くーん”、“わふ”
まるで、そうだそうだと言わんばかりにフェンリルの子供達も伝えてくる。
ちなみに、フェンリル達はエンシェントドラゴンとは違い、声に出して話すことはできない。だから、人間やエンシェントドラゴンと意思疎通をとるのは念話で行うらしい。
「(どちらにせよ、人間の言葉を魔物が理解できている時点で破格の魔物ランクの高さが伺える。知能も高い。)」
「むしろ、お主らより長く生きている分、知識は断然多いぞ。知能もお主らより少し高いだろう。」
「(人の身で測れるレベルを越しているのかもしれない。だからこそ面白い。色々調べてみたいな。それはそうと、フェンリル達の家はどんな感じになるなのだろう。楽しみだ。)」
---------------------------
89
お気に入りに追加
1,795
あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる