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1章⭐︎プロローグ⭐︎
竜の杖
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-side エリク-
再びアトラニア王国に戻ってきた。
人くらいの大きさになったルカが出迎えてくれる。俺の手に持っている竜の杖を見て、
「……!!本当に暗号を解いてくださったのですね!」
「うむ。見事なものだったぞ。」
「(まあ、実際には日本語で書いてあったから、読めただけなんだけど、ここは)いやー。まあ、それほどでも。」
「む?その日本語というのはなんだ?」
そう、トールはスキルを発動している間、心を読めるのだった。
「あーっと、前住んでいたところで使われていた言語なんだ。」
「ほー。ならば、我は運が良かったな。エリクと出会えて。」
「そうですね。どちらにせよ、あなたが暗号を解いたことには変わりませんし、元々、同じ人族なら解けると思って依頼したのですから当初の予想通りということですね。
だから、そんなに心配そうにしなくてもしっかり報酬は支払わせていただきますよ。」
「あ、ありがとうございます。(よっし。安全な生活に豪華な飯ゲット。)」
「ふははは。竜の杖も帰ってきたことだし、めでたいのう。」
「そうですね。エリクさんありがとうございます。」
そう言ってエリクの中にある竜の杖を受け取ろうとする。
「「あっ」」
「……?どうしましたか?」
「えっとだな。」と言いながらトールが亜空間から杖を取り出す。
「へっ?どういうことですか。」
「実はこっちが本物の竜の杖だ。もっとも、エリクが持つ竜の杖も全く同じ機能を持つが。レオンのやつ。竜の杖の複製に成功していたらしい。」
「GRAAAAAAAAAAAAA!!」
思わず、竜の言葉で驚くルカ。
失礼だが、冷静沈着な彼女?が取り乱す姿は意外と面白い。
「し、失礼致しました。しかし、さすがあのお方です。死してなお、我々を驚かすとは。」
「「あっ……。」」
「……?ま、まさか。」
「うむ。やつはまだ生きておる。」
「GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
ルカはドラゴンの里、全領域にわたって響き渡るくらいの大きさで叫んだ。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
しばらくして、ルカは自分自身が落ち着いたところで話し出す。
「し、失礼いたしました。まさか、あのお方が生きておられるとは。それも創造神様だったなんて。」
「気にするな。我も最初に奴を見たときは、驚いたからな。それよりエリク。聞きたいことがあるような顔をしておるな。」
「ああ。竜の杖をもらったけど、実際にこれってどうやって使うの?」
「うむ。これはな、使用者が見た魔法や武器の形、武器の使い方などを記憶して、
それらを使用者が使えるようにカスタマイズして、使用者が使いたいと思った時に魔法を放ったり、形を変えて使用者が使いやすい武器になったりするものだ。」
流石は竜神の神器だ。
要するに、物理だろうが魔法だろうが、相手の戦闘を記憶してコピーして、使用者が相手の戦術を使えるように補助する武器ということだろう。ぶっ壊れ性能だ。
「強すぎないか?なんで、そんな武器をレオンなんかに貸したりしたんだよ。」
「うむ。まあ……この神器、結局武器として強いだけだろう。
だから、我らにはいらんのだ。」
「あ、そっか。」
「ええ。我々の主な戦闘方法は武器を使わず、ドラゴンブレスや相手を素手で殴ったりする方法が大半です。加えて、自分よりも強い方などそうそういません。」
「それに、使用者に合わせてカスタマイズされるということは、例えば、ドラゴンブレスを竜の杖を使って放ったとしても、結局自分のドラゴンブレス以上の威力は出ない。
というわけで我々はこの武器の必要性をあまり感じておらんかったのだ。
流石に竜神様からいただいた秘宝ではあるから、レオンが死んであやつの屋敷の暗号が解けず竜の杖が戻ってこないと分かったときはかなり焦った、
というのがエリクに暗号を解いてもらう前の状態だ。」
「なるほどー。」
「だが、人間であるお前なら、この武器は使い勝手が良いかもしれないぞ。ステータスを上げれば、人の身でありながら強力なドラゴンブレスを放てるかも知れない。」
「おーーー!それはいいな。」
「さっき見せた、亜空間魔法なんかはもう使えるかもしてないな。
その杖に念じれば、魔法を発動するからここで、やってみろ」
「わかった。やってみる。」
竜の杖に向かって念じると亜空間が現れた。
「おおー!!これで、マジックバックに入れる必要性がなくなる。」
「うむ。しかし、お主のステータスは今の状態だと全然だからな。亜空間魔法なら1日に3回くらいしか使えないだろう。
早いうちにもっと鍛える必要がある。
どうだ?明日から我と一緒にこの近くにあるダンジョンに潜り、魔物と戦う事で己を鍛える気はないか?」
「是非お願いしたい。」
「決まりだな。」
こうして、エリクたちは明日からドラゴンの里のダンジョンに潜ることが決定したのだった。
この日の晩はドラゴンの里に泊まったのだが、無事に最高級ベッドを堪能できたらしい。めでたしめでたし。
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再びアトラニア王国に戻ってきた。
人くらいの大きさになったルカが出迎えてくれる。俺の手に持っている竜の杖を見て、
「……!!本当に暗号を解いてくださったのですね!」
「うむ。見事なものだったぞ。」
「(まあ、実際には日本語で書いてあったから、読めただけなんだけど、ここは)いやー。まあ、それほどでも。」
「む?その日本語というのはなんだ?」
そう、トールはスキルを発動している間、心を読めるのだった。
「あーっと、前住んでいたところで使われていた言語なんだ。」
「ほー。ならば、我は運が良かったな。エリクと出会えて。」
「そうですね。どちらにせよ、あなたが暗号を解いたことには変わりませんし、元々、同じ人族なら解けると思って依頼したのですから当初の予想通りということですね。
だから、そんなに心配そうにしなくてもしっかり報酬は支払わせていただきますよ。」
「あ、ありがとうございます。(よっし。安全な生活に豪華な飯ゲット。)」
「ふははは。竜の杖も帰ってきたことだし、めでたいのう。」
「そうですね。エリクさんありがとうございます。」
そう言ってエリクの中にある竜の杖を受け取ろうとする。
「「あっ」」
「……?どうしましたか?」
「えっとだな。」と言いながらトールが亜空間から杖を取り出す。
「へっ?どういうことですか。」
「実はこっちが本物の竜の杖だ。もっとも、エリクが持つ竜の杖も全く同じ機能を持つが。レオンのやつ。竜の杖の複製に成功していたらしい。」
「GRAAAAAAAAAAAAA!!」
思わず、竜の言葉で驚くルカ。
失礼だが、冷静沈着な彼女?が取り乱す姿は意外と面白い。
「し、失礼致しました。しかし、さすがあのお方です。死してなお、我々を驚かすとは。」
「「あっ……。」」
「……?ま、まさか。」
「うむ。やつはまだ生きておる。」
「GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
ルカはドラゴンの里、全領域にわたって響き渡るくらいの大きさで叫んだ。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
しばらくして、ルカは自分自身が落ち着いたところで話し出す。
「し、失礼いたしました。まさか、あのお方が生きておられるとは。それも創造神様だったなんて。」
「気にするな。我も最初に奴を見たときは、驚いたからな。それよりエリク。聞きたいことがあるような顔をしておるな。」
「ああ。竜の杖をもらったけど、実際にこれってどうやって使うの?」
「うむ。これはな、使用者が見た魔法や武器の形、武器の使い方などを記憶して、
それらを使用者が使えるようにカスタマイズして、使用者が使いたいと思った時に魔法を放ったり、形を変えて使用者が使いやすい武器になったりするものだ。」
流石は竜神の神器だ。
要するに、物理だろうが魔法だろうが、相手の戦闘を記憶してコピーして、使用者が相手の戦術を使えるように補助する武器ということだろう。ぶっ壊れ性能だ。
「強すぎないか?なんで、そんな武器をレオンなんかに貸したりしたんだよ。」
「うむ。まあ……この神器、結局武器として強いだけだろう。
だから、我らにはいらんのだ。」
「あ、そっか。」
「ええ。我々の主な戦闘方法は武器を使わず、ドラゴンブレスや相手を素手で殴ったりする方法が大半です。加えて、自分よりも強い方などそうそういません。」
「それに、使用者に合わせてカスタマイズされるということは、例えば、ドラゴンブレスを竜の杖を使って放ったとしても、結局自分のドラゴンブレス以上の威力は出ない。
というわけで我々はこの武器の必要性をあまり感じておらんかったのだ。
流石に竜神様からいただいた秘宝ではあるから、レオンが死んであやつの屋敷の暗号が解けず竜の杖が戻ってこないと分かったときはかなり焦った、
というのがエリクに暗号を解いてもらう前の状態だ。」
「なるほどー。」
「だが、人間であるお前なら、この武器は使い勝手が良いかもしれないぞ。ステータスを上げれば、人の身でありながら強力なドラゴンブレスを放てるかも知れない。」
「おーーー!それはいいな。」
「さっき見せた、亜空間魔法なんかはもう使えるかもしてないな。
その杖に念じれば、魔法を発動するからここで、やってみろ」
「わかった。やってみる。」
竜の杖に向かって念じると亜空間が現れた。
「おおー!!これで、マジックバックに入れる必要性がなくなる。」
「うむ。しかし、お主のステータスは今の状態だと全然だからな。亜空間魔法なら1日に3回くらいしか使えないだろう。
早いうちにもっと鍛える必要がある。
どうだ?明日から我と一緒にこの近くにあるダンジョンに潜り、魔物と戦う事で己を鍛える気はないか?」
「是非お願いしたい。」
「決まりだな。」
こうして、エリクたちは明日からドラゴンの里のダンジョンに潜ることが決定したのだった。
この日の晩はドラゴンの里に泊まったのだが、無事に最高級ベッドを堪能できたらしい。めでたしめでたし。
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