プラス的 異世界の過ごし方

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17章 わたしに何ができたかな?

第882話 忍び寄る悪意⑤サイレン

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「あ、リディア。裏方と、会計どっちがいい?」

 寮の出し物であるクレープ屋に着くと、4年生のサリオ先輩に尋ねられる。
 食べ物の屋台が並んでいて、いい匂いが充満しているエリアだ。

「どちらでも大丈夫です」

「それじゃあ会計で。ドーラと代わって」

「はーい」

 後輩のドーラちゃんと交代する。
 彼女は礼儀正しく、お願いしますと頭を下げた。

 窓口は4つ。そこで注文を受け、会計まで済ませる。同時に後ろの、クレープを作る部隊に注文書を出す。出来上がってきたら、お客様にお渡しする。それがお仕事。
 注文書はチェックシート方式になっている。
 クレープ生地が600ギル。トッピングが100ギルだ。
 チョコだけ200ギル。
 軽食系のクレープのソースは選べる。トマトンソース、マヨソース、サルサソース。ただしサルサソースはトッピングと同じ扱いで100ギルいただく。


「いらっしゃいませ、何になさいますか?」

「サルサソースってどんなのですか?」

「トマトンベースの甘辛ソースです。後の辛味が特徴です」

 成人したてぐらいのお姉さんは頷いて

「ソーセージチーズにサルサソースと、チョコに生クリームのトッピングをください」

 と言った。

 わたしはチェックシートに書き込んでいく。
 まず、クレープの合計数。2つだから〝2〟だ。

「はい。ソーセージチーズにサルサで900ギル。チョコに生クリームが900ギル、合わせて1800ギルです」

 言いながら、チェック印を入れていく。
 それぞれのトッピングを書き込んだチェックシートを後ろの部隊へと渡す。

 2000ギルいただいたので、200ギルのお釣りを渡し、横にズレて出来上がるのを待ってもらう。
 新しいオーダを得て、それを伝え、会計をする。出来上がってきたら、商品を渡す。

「ありがとうございました」

 頭を下げ、また新たに始まる。

「いらっしゃいませ。ツナサラダにソーセージチーズにトマトンソース、バナナチョコ生クリームですね。ありがとうございます、3つで2500ギルになります」

 目の前のお客さまに集中しているはずなのに、隣の注文を耳が拾っていたりして、気もそぞろになってしまう。

 あ、もふもふが通路の向こうの真向かいで寝そべっている。シモーネがその背中を撫でていた。
 ガーシは立って周囲に溶け込みながらも警戒している。

「はい、お待ちくださいませ」

 横にずれてもらい。

「おつぎの方どうぞ、ベリーと生クリーム4つですね、ありがとうございます。お会計が3200ギルです。
 あ、チョコクレープの方、お待たせいたしました。はい、こちらです。おいしく召し上がっていただけますように。
 失礼しました。あ、お客様あと100ギル……あ、ちょうどいただきました。ありがとうございます。できましたらお呼びしますので、横でお待ちくださいませ。
 おつぎの方、いらっしゃいませ。何に……」

 どれだけこなしたのか。

「リディア先輩、交代です」

 と後輩の子が代わってくれた時は、声が枯れそうになっていた。1時間しか経っていないはずなのに。
 怖いぐらいの売り上げなので持っていてくれと頼まれて、収納袋にいれる。
 去年の売れた数よりも多く用意したのに、今日の分としたものはもう売れきれそうだという。こりゃ帰ってから生地を用意しないとだね。一応材料はかなり多めに買ってある。もし余ったら、わたしが買うつもりにしていたらしい。
 明日売る分だったのを、収納袋から全部だした。
 みんな疲れた顔ながらも、売れているので嬉しそうだ。
 こちらの収益は、来年の予算分を残し、あとは寄付をするそうだ。
 お疲れさまと言い合いながら、外に出る。

 シモーネが教えてくれる。家族とはケラのクラスで合流とのこと。
 ケラはフォンタナ一族。わたしと同い年で、C組だったはず。

「どうした、姫。歩き方が変だな」

 ガーシに言われる。
 鼻緒が当たって痛いんだといえば、足を見て顔をしかめる。

「こりゃ痛そうだな。手当てするか?」

 赤くなってる。それに足の裏も水ぶくれができているだろう。
 手当てというと布を巻くとかになるだろうから大袈裟になっちゃう。
 わたしは小さく横に首を振る。

「大丈夫、ありがとう」

 抱っこで運ぼうかと言われたので、速攻で首を横に振る。
 わたし、3年生だから!
 抱っこで移動は楽チンではあるが、威厳を失う。後輩がいるわけだからそれは避けたい。

 途中誰かの保護者から、地図を見ながらここに行くにはどうすればと話しかけられそうになったけど、ガーシがズズズと前に出て対応してくれた。
 ケラのクラスの前で、ケラとみんながワイワイ食べながら談笑している。

「お、いち姫にシモーネにガーシ!」

 ケラが嬉しそうに駆け寄ってくる。

「3人は何食べる?」

 ケラのクラスは魔物のお肉の店をやっている。人気で3年連続、串焼き屋だ。クラスの有志でダンジョンに行き、魔物のお肉を手に入れている。毎年リディアが収納袋を貸しているようだ。いきなりありがとうと返してきたので驚いた。

 今年は3種類のお肉があり、一番人気がホルスタという魔物の肉だそうだ。その次がブッタという魔物、次がルギー。もふもふは全種類とのことなので、ぬいたちも合わせて全種類。わたしは一番人気にしてみよう。
 シモーネはルギーで、ガーシはホルスタ。
 ガーシとシモーネの分はケラが請負い、わたしのは量が多いので自分で並ぶことにした。
 ケラと並びながら話す。

「エリンちゃんいたのに、いいの?」

 ケラはエリンちゃんの熱烈なファンだ。

「にの姫はすっごく強くなったな。もう俺なんか敵わないかも」

 え?

「その服、可愛いですね」

 急に現れた金髪のイケメン。優しそうな笑顔。
 ケラはわたしをサッと後ろに庇った。
 ちょっと、ケラ。

 と思うと、もふもふもケラの前に出る。そしてワンと吠えた。
 すると、すっごい速さで、ガーシ、シモーネ、お父さま、お兄さま、そしてエリンちゃんとノエルくんが走ってきて。
 わたしはエリンちゃんに抱きつかれる。
 え。
 前の人もおろおろ。

 えええ?と思っていると、どこからか現れた?
 顔のところが空洞に見える警備兵が、いきなり金髪の人を捕獲した。
 な、な、な、何?
 ジジジジジジジジジジジジジジジジジジ……耳鳴り?
 耳を押さえる。
 するとサイレンが鳴った。
 目の前の珍事に驚きを隠せないでいた人たちがさらに驚く。

《侵入者確保 侵入者確保》

 人が話しているのとは違うような声が響く。

「シッット」

 金髪の人は短く呟く。

「な、なんだこれは? どういうことだ?」
 大声で喚いている。
 そうだよね、意味わからないよね?

「すみません、魔判定で〝侵入者〟と特定されたようです。後のことは別の部屋で」

「何かの間違いだ。解いてくれ」

「それは別の部屋で調べれば分かることですから」

 ケラのクラスの担任の、まだ若い先生が対処する。
 金髪さんが連れて行かれると、危険は去ったというアナウンスが流れ、そして先生ももう大丈夫ですよとみんなを促した。
 今のって……。

「大丈夫か、リディー」

 父さまに尋ねられる。

「わたしは大丈夫だけど、どういうこと? 今の人、なんなの?」

「それは調べれば、わかってくることだろう」

 教室にケラともふもふと残され、家族はまた廊下にいると出て行く。

「ケラ」

「ん?」

「守ってくれて、ありがとう。なんで庇ってくれたの?」

 わたしはケラに尋ねた。
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