プラス的 異世界の過ごし方

seo

文字の大きさ
上 下
833 / 930
17章 わたしに何ができたかな?

第833話 作戦会議<前編>

しおりを挟む
 わたしはもちろん〝蓮の葉〟部隊に立候補だ。

「本当に、一緒にいくつもりか?」

 ロサに問われて頷く。

「危険だぞ?」

「わたし、知りたい。バッカスが何をしていて、何をわたしはやっていたのか。少し怖いけど、目を逸らさないで、ちゃんと知りたい」

 ロサは視線をフランツに投げかける。

「指示に本当に従える? イザークが止めるように言っても君は止めなかった。自分の意思を通したよね?」

 その通りだけど……。

「といっても君だけ置いていくことも怖いしね。私から離れてはいけない。もふもふともね。ガーシとシモーネにしっかり守られること。約束して」

「約束する!」

「甘いなー」

 とイザークが小声で言った。

『それはみんなだろう』

 ん?
 もふもふ?
 もふもふに視線をやると、もふもふは目を逸らした。
 やっぱりもふもふって話せるんじゃないかな?
 スーパードッグみたいだから、話すこともできるんじゃない?
 話すことの方が、姿自由自在より簡単な気がするよ。
 夜寝る前に検証してみよう、うん。


 レストランの食糧庫で別れた、フォンタナの戦士たちも、三々五々に屋敷へ集まってきた。
 そこで作戦会議が始まる。

 概要からだ。
 バッカスと呼んでいる組織は、各大陸、各国にひっそりと活動している。
 まだ一部のことしかわかっていない。
 墨一色で描かれた、特徴のある形の葉っぱと線香花火みたいな花? 実?のイラストが配られる。
 それが組織の一員の証明で、この花の絵が体のどこかに刻まれているそうだ。商品などにもこの絵を簡略化したものを印鑑のように使っている。
 これはバッカスの花。希少なグレーンだそうで、これで作ったワインは高価らしい。ぶどうの一種ってことかな?
 その組織のシンボルマークからとって、便宜上そう呼ぶことにしたそうだ。

 バッカスは犯罪のレシピを売り、莫大な収入を得ている。
 レシピ通りうまくいくように、魔法を込めた魔石〝玉〟でサポートをする。
 子供を拐ってきて、わずかな食事と居場所を餌に、魔法を玉に込めさせる。魔力を搾取しまくっている。現在潰してきた組織施設では、非人道的な生活をさせられていた子供たちがほとんど。拐われた子供たちが多い。一刻も早い保護が必要である。
 その者たちを管理する大人は〝看守〟と呼ばれる。
〝玉〟になり得る魔石のことは、よくわかっていない。
 魔石は魔物の核であり、命を落とした時に、この核だけを現世に残していく。
 普通の魔石は魔法を込められるような耐久性はなくて、そうしようとすればすぐに割れてしまう。
 特別な魔石を手にしたか、何か耐久性のある魔石にする方法を見つけたのだと思われる。

 フォルガード内のわかっている組織の施設は2つ。王都にある〝蜘蛛の巣〟と〝蓮の葉〟だ。
 〝蜘蛛の巣〟は玉に魔法を込めさせる要員の住処としているところで、〝蓮の葉〟はその玉と呼ばれる魔法を込められる、耐久性のある魔石を出荷する倉庫ではないかと思われる。
 どちらの施設も事情を知りたいことから、全ての人を捕獲したい。〝蓮の葉〟が読みどおり、玉になり得る魔石の出どころであるならば、その魔石を押さえれば、バッカスの組織は崩壊するのではないかと期待している。
 彼らはお金に群がっている集団と思えるからだ。莫大な収入となるから組織として動いているが、儲けられないとなれば続かないのではないかとの見通し。
 でもそれは今までに捕らえることのできた看守から、聞いたことを総合して予測していることであり、確かではない。

 バッカスを取りまとめる、一番上の者が誰かはわからない。
 看守もそれぞれの施設の一番上の者までしか知らなくて、さらに一番上の看守がつかまっていないので、まだわかっていない。

 そして最新情報で、捕らえた者だけにしてその様子を録画していたところ、一部の人が外国語で話した場面があった。そしてそれはカザエル語だった。
 そう告げられた時、皆が息をのんだ。

 何? カザエルってのがびっくりワードだったの?
 わたしが手をあげると、ロサは驚いたようだ。

「ど、どうした、トスカ?」

「カザエルって何?」

「……ああ。滅んだ国の名であり。現在では共和国となるときの反乱分子の武装集団のことを指す。彼らは今は亡き国の言語を愛していて、仲間内ではその言葉で話す。それがカザエル語。カザエル語を使っていたということは、現カザエルがバッカスの組織に紛れ込む、いや、カザエルの者がバッカスを作ったのかもしれない。犯罪レシピを売るだけでなく、あの残酷無慈悲な武装集団がバッカスなのかもしれない」

 ロサが軽く目を瞑る。
 みんなさっきから真剣に話を聞いていたけど、さらにシーンとする。
 動揺してるみたいだ。
 でもそっか。お金に群がっている人たちなら、〝玉〟がなくなれば散っていくだろうけど、民族で、そういう繋がりの人たちだったのなら、勝手が違うのかもしれない。

「それからいずれ出てくる情報だが、先に知らせておく。
 聖女が覚醒した。聖女候補のアイリス嬢が聖女になられた」

 ホワーっと場が沸く。

「公式な発表があるまで口にはしないでくれ。それから……」

 ロサはいうのを躊躇っているように感じた。

「これもそのうち正式に各家に通達され話を聞くと思うが、ユオブリアは3年の間に国外から攻撃を受ける。城下に封じている瘴気が抑えられるかどうかの戦いになるかもしれない」

「そ、それはどういうことですか? 瘴気を抑えてくださる王が?」

 小柄な人が口ばやに尋ねた。

「未来のことだから、はっきりしたことはわからない。可能性として高いことを、今私は皆に伝えている」

「そんなー、瘴気が抑えられなくなったら?」

 あれ、瘴気って、わたしにもなんかよくないものじゃなかったっけ?


しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

転生した愛し子は幸せを知る

ひつ
ファンタジー
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢  宮月 華(みやつき はな) は死んだ。華は死に間際に「誰でもいいから私を愛して欲しかったな…」と願った。  次の瞬間、華は白い空間に!!すると、目の前に男の人(?)が現れ、「新たな世界で愛される幸せを知って欲しい!」と新たな名を貰い、過保護な神(パパ)にスキルやアイテムを貰って旅立つことに!    転生した女の子が周りから愛され、幸せになるお話です。  結構ご都合主義です。作者は語彙力ないです。  第13回ファンタジー大賞 176位  第14回ファンタジー大賞 76位  第15回ファンタジー大賞 70位 ありがとうございます(●´ω`●)

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

処理中です...