794 / 799
16章 ゴールデン・ロード
第794話 瘴気談義①メンバー
しおりを挟む
家族を説得するのに時間がかかった。
わたしがひとりでナムルと対峙すると一度は納得したものの、目の前に迫ったら、やはり危なすぎると思ったようだ。
「昨日ヴェルナーと対決してなんでもなかったでしょう? 領地ならハウスさんの魔力が行き渡っている。わたしは最強よ」
みんな苦虫を噛み潰したような顔だ。
わたしはもふさまを抱えて、早々に家を出た。
ナムルがきたらハウスさんに教えてもらって、ナムルの思う〝聖域〟に行くつもりだったけれど、きっとナムルは家を監視していて、わたしを見てる。目で見てるのか、魔力で見る何かがあるのかは知らないけど。ん? もふさまもナムルの魔力はそこまででもないって言ってるから瘴気で見るのかな? ……それはなんか嫌。
でもまぁ、外を歩いていれば、声をかけてくるだろう。
探索で近くに人はいない。
これももっと情報を盛ろうとして失敗してから、怖くていじってないんだよな。
感度のいい、もうちょっとレベルをあげた探索にしたい。
ハウスさんに近くに人がいないか尋ねる。
いないとのことだ。
アダムと同じぐらいの高速で移動が可能。そして探索のようなこともできるんだと思う。
ハウスさんがナムルの気配を捉えたらそこに行けばいいし、多分、ナムルの方から来るだろう。
グダグダ同じことを考えている。ちょっぴりナムルが怖いのだと思う。
と思っていると、ナムルが100メートル先にいるという。昨日は町側ではなく山側に潜んでいたようだ。山は本当に聖域だしね。
あと20メートルというところで、ハウスさんに教えてもらい、ピタリと足を止める。
「昨日は悪かったわ。それから助けてくれてありがとう」
一拍置いてから、ナムルが道に出てくる。
「聖獣と一緒とはいえ、君ひとりですか?」
「そうよ」
「私は瘴気を操る。君は瘴気が苦手。それなのに君ひとりで出てきたのですか? 危機管理がなってないね。いや、それぐらいで過保護な君の家族や知り合いたちがそれを許すわけないか……。君はある程度、強いんだね、本当に」
強いわよと胸を張りたいところだけど、それじゃあと遠慮なしに攻撃されるのは嫌なので、代わりに言う。
「あの広告で現れたってことは、欲しいものがあるのよね? それを手にするまでわたしは安全だわ」
「私の欲しいものが君だったら?」
「それはないもの」
「なんでそう言い切れるんです?」
「わたしを手にしても、あなたの欲しいものは手に入らないから」
ナムルは視線だけで天を仰いだ。
「私は君が好きなんだ。婚姻を結ぶって言っただろう?」
余裕綽綽に笑っている。
その顔が〝嘘〟って物語ってるよ。
「自分が目の前の相手に好かれているかどうかなんて、わかるに決まっているでしょう? あなたはわたしのこと好きではないわ。っていうか、この不毛なやりとりをする意味ある?」
わかりきっているし、ふたりと、もふさましかいないのに。
もふもふ軍団には、子供たちの様子を見てもらっているんだ。
アオは姿を見せず声だけでしか触れ合っていないのに、それでも知っている声だと安心してたし。だからもふもふ軍団にお願いした。
「君、せっかちだね。君は私の欲しいものがわかっている口ぶりだけど、なんだと思っているんです?」
「それに答えたら、あなたは何をくれる? セイン国との関係を話してくれるかしら?」
ナムルは下を向いてちょっと笑った。
なんで笑う?
「聖獣や神獣は本当に君にだけ情報を与えたりしないんだね。それに君も賢いけど、策を練るのは違う人がいるようだ。
ブレド殿下、バイエルン侯爵、エンター伯子息あたりかな?
知りたいのは私とセイン国との関係じゃなくて、セインのやろうとしていること、だろう? そう言わないと駄目じゃないか」
だ、ダメ出しされた……。
「この様子を誰かが見てるの? 昨日みたいに?」
わたしは首を横に振る。
なぜかナムルはため息をついた。
「繋げていいですよ」
「え?」
「だから、君の策士たちとも繋げていいですよ。そうじゃないと二度手間になりそうだから」
「し、失礼ね、あなた!」
これってわたしじゃ話にならないから上の人出して、とクレームつけられたのと同じことよね?
「私は欲しいものがある。それは君の考えているもので当たっていて、君たちは何かしら条件をつけてくるのだろう。そこに私も条件をつけたい。
セインのことをひとつ話すことによって、ひとつ私の願いを叶えて欲しい。ひとつめは指名手配を解くこと。これ、君に決定権ある? それに掛け合えるような人とも繋げてくれよ」
……ナムルと会い、まずみんなと話せるよう話をもっていけと言われた。それに反対してわたしのやり方で話すと交渉したのに、ナムルから提案されるとは。
心の中でハウスさんに家族に繋げるようにお願いする。
父さま、アラ兄、ロビ兄だ。わたしたちの会話が聞こえる。
フォンを出してアダムにかける。
待ち構えていたようにワンコールで出た。
「セインのことをひとつ話すごとに願いを叶えて欲しいんですって。そのひとつめは指名手配を解くことで、それに掛け合える人と繋げてと言われました」
棒読みチックになった。
クスッとアダムの含み笑い。
「それはなかなかの先制攻撃だね。ブレドがいるから大丈夫だ。こちらは私とブレドとクラウス……が聞いている」
「わかった。それじゃあ、スピーカーにするね」
フォンのボタンを押してスピーカーにする。
「ブレド殿下とエンター伯子息さま、バイエルン侯爵に繋がっているわ」
「本当にユオブリアは進んでいるね。こんな進んでいる国にセインが勝てるわけはないのに」
そうナムルは呟いた。
「ユオブリアの小さき太陽にご挨拶申し上げます」
フォンは音のみとわかっていても、ナムルは丁寧に礼をした。
「よくも瘴気を盛ってくれたな? 水に流す気にはなれないが、話し合い次第では力になろう。けれど交渉役を務めるリディア嬢に危害を与えた場合、何ひとつお前の望みは叶わないし、極刑にするので覚えておけ」
おっと、ロサ怒ってる。
やっぱり口移しで魔力を入れられたのかな?
誰にも言わなかったし、不名誉なことと思っているのだろうから、わたしも黙っていよう。
ナムルは笑う。
「お優しいですね。殿下に瘴気を盛り、そしてセインのしてきたことを考えれば、大事なリディアさまに私との交渉を任されるなんて、あり得ないこと。私が害さないと、何を見てそう思ったのです?」
「あなたの目的がユオブリアに欲しいものがある、だったからですよ」
ナムルは不審な顔だ。
ナムルが見えているわけでないだろうに、アダムは続ける。
「あなたがセイン国のブレーンだと確信しています。でも、セインのやったことと、あなたの望みと一致はしていない」
それを聞き、ナムルはふっと口元を綻ばせた。
わたしがひとりでナムルと対峙すると一度は納得したものの、目の前に迫ったら、やはり危なすぎると思ったようだ。
「昨日ヴェルナーと対決してなんでもなかったでしょう? 領地ならハウスさんの魔力が行き渡っている。わたしは最強よ」
みんな苦虫を噛み潰したような顔だ。
わたしはもふさまを抱えて、早々に家を出た。
ナムルがきたらハウスさんに教えてもらって、ナムルの思う〝聖域〟に行くつもりだったけれど、きっとナムルは家を監視していて、わたしを見てる。目で見てるのか、魔力で見る何かがあるのかは知らないけど。ん? もふさまもナムルの魔力はそこまででもないって言ってるから瘴気で見るのかな? ……それはなんか嫌。
でもまぁ、外を歩いていれば、声をかけてくるだろう。
探索で近くに人はいない。
これももっと情報を盛ろうとして失敗してから、怖くていじってないんだよな。
感度のいい、もうちょっとレベルをあげた探索にしたい。
ハウスさんに近くに人がいないか尋ねる。
いないとのことだ。
アダムと同じぐらいの高速で移動が可能。そして探索のようなこともできるんだと思う。
ハウスさんがナムルの気配を捉えたらそこに行けばいいし、多分、ナムルの方から来るだろう。
グダグダ同じことを考えている。ちょっぴりナムルが怖いのだと思う。
と思っていると、ナムルが100メートル先にいるという。昨日は町側ではなく山側に潜んでいたようだ。山は本当に聖域だしね。
あと20メートルというところで、ハウスさんに教えてもらい、ピタリと足を止める。
「昨日は悪かったわ。それから助けてくれてありがとう」
一拍置いてから、ナムルが道に出てくる。
「聖獣と一緒とはいえ、君ひとりですか?」
「そうよ」
「私は瘴気を操る。君は瘴気が苦手。それなのに君ひとりで出てきたのですか? 危機管理がなってないね。いや、それぐらいで過保護な君の家族や知り合いたちがそれを許すわけないか……。君はある程度、強いんだね、本当に」
強いわよと胸を張りたいところだけど、それじゃあと遠慮なしに攻撃されるのは嫌なので、代わりに言う。
「あの広告で現れたってことは、欲しいものがあるのよね? それを手にするまでわたしは安全だわ」
「私の欲しいものが君だったら?」
「それはないもの」
「なんでそう言い切れるんです?」
「わたしを手にしても、あなたの欲しいものは手に入らないから」
ナムルは視線だけで天を仰いだ。
「私は君が好きなんだ。婚姻を結ぶって言っただろう?」
余裕綽綽に笑っている。
その顔が〝嘘〟って物語ってるよ。
「自分が目の前の相手に好かれているかどうかなんて、わかるに決まっているでしょう? あなたはわたしのこと好きではないわ。っていうか、この不毛なやりとりをする意味ある?」
わかりきっているし、ふたりと、もふさましかいないのに。
もふもふ軍団には、子供たちの様子を見てもらっているんだ。
アオは姿を見せず声だけでしか触れ合っていないのに、それでも知っている声だと安心してたし。だからもふもふ軍団にお願いした。
「君、せっかちだね。君は私の欲しいものがわかっている口ぶりだけど、なんだと思っているんです?」
「それに答えたら、あなたは何をくれる? セイン国との関係を話してくれるかしら?」
ナムルは下を向いてちょっと笑った。
なんで笑う?
「聖獣や神獣は本当に君にだけ情報を与えたりしないんだね。それに君も賢いけど、策を練るのは違う人がいるようだ。
ブレド殿下、バイエルン侯爵、エンター伯子息あたりかな?
知りたいのは私とセイン国との関係じゃなくて、セインのやろうとしていること、だろう? そう言わないと駄目じゃないか」
だ、ダメ出しされた……。
「この様子を誰かが見てるの? 昨日みたいに?」
わたしは首を横に振る。
なぜかナムルはため息をついた。
「繋げていいですよ」
「え?」
「だから、君の策士たちとも繋げていいですよ。そうじゃないと二度手間になりそうだから」
「し、失礼ね、あなた!」
これってわたしじゃ話にならないから上の人出して、とクレームつけられたのと同じことよね?
「私は欲しいものがある。それは君の考えているもので当たっていて、君たちは何かしら条件をつけてくるのだろう。そこに私も条件をつけたい。
セインのことをひとつ話すことによって、ひとつ私の願いを叶えて欲しい。ひとつめは指名手配を解くこと。これ、君に決定権ある? それに掛け合えるような人とも繋げてくれよ」
……ナムルと会い、まずみんなと話せるよう話をもっていけと言われた。それに反対してわたしのやり方で話すと交渉したのに、ナムルから提案されるとは。
心の中でハウスさんに家族に繋げるようにお願いする。
父さま、アラ兄、ロビ兄だ。わたしたちの会話が聞こえる。
フォンを出してアダムにかける。
待ち構えていたようにワンコールで出た。
「セインのことをひとつ話すごとに願いを叶えて欲しいんですって。そのひとつめは指名手配を解くことで、それに掛け合える人と繋げてと言われました」
棒読みチックになった。
クスッとアダムの含み笑い。
「それはなかなかの先制攻撃だね。ブレドがいるから大丈夫だ。こちらは私とブレドとクラウス……が聞いている」
「わかった。それじゃあ、スピーカーにするね」
フォンのボタンを押してスピーカーにする。
「ブレド殿下とエンター伯子息さま、バイエルン侯爵に繋がっているわ」
「本当にユオブリアは進んでいるね。こんな進んでいる国にセインが勝てるわけはないのに」
そうナムルは呟いた。
「ユオブリアの小さき太陽にご挨拶申し上げます」
フォンは音のみとわかっていても、ナムルは丁寧に礼をした。
「よくも瘴気を盛ってくれたな? 水に流す気にはなれないが、話し合い次第では力になろう。けれど交渉役を務めるリディア嬢に危害を与えた場合、何ひとつお前の望みは叶わないし、極刑にするので覚えておけ」
おっと、ロサ怒ってる。
やっぱり口移しで魔力を入れられたのかな?
誰にも言わなかったし、不名誉なことと思っているのだろうから、わたしも黙っていよう。
ナムルは笑う。
「お優しいですね。殿下に瘴気を盛り、そしてセインのしてきたことを考えれば、大事なリディアさまに私との交渉を任されるなんて、あり得ないこと。私が害さないと、何を見てそう思ったのです?」
「あなたの目的がユオブリアに欲しいものがある、だったからですよ」
ナムルは不審な顔だ。
ナムルが見えているわけでないだろうに、アダムは続ける。
「あなたがセイン国のブレーンだと確信しています。でも、セインのやったことと、あなたの望みと一致はしていない」
それを聞き、ナムルはふっと口元を綻ばせた。
51
お気に入りに追加
1,227
あなたにおすすめの小説
捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。
クロユキ
恋愛
「俺と離婚して欲しい、君の妹が俺の子を身籠った」
パルリス侯爵家に嫁いだソフィア・ルモア伯爵令嬢は結婚生活一年目でソフィアの夫、アレック・パルリス侯爵に離婚を告げられた。結婚をして一度も寝床を共にした事がないソフィアは白いまま離婚を言われた。
夫の良き妻として尽くして来たと思っていたソフィアは悲しみのあまり自害をする事になる……
誤字、脱字があります。不定期ですがよろしくお願いします。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
どーでもいいからさっさと勘当して
水
恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。
妹に婚約者?あたしの婚約者だった人?
姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。
うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。
※ザマアに期待しないでください
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる