758 / 799
16章 ゴールデン・ロード
第758話 冒険者の仲間入り⑨情報は人から入ってくる
しおりを挟む
すみません;
第756話 冒険者の仲間入り⑦処分を公開しました。
大変、失礼しました。
ーーーーーーーーーーーーーー
テントを張らせてもらったのは村の広場だった。
ベッドがあるわけではない。もふさまともふもふ軍団に囲まれて寝たので、ちょっぴり体は痛いけれど、よく眠れた。
起きると、アラ兄もロビ兄もいなかった。
ふたりは先に起きたそうだ。そう、もふさまに教えてもらう。
大きく伸びをする。
もふもふ軍団は昨晩、アラ兄たちからご飯をもらってちゃんと食べたという。良かった。わたし本当に限界でテント張って寝ちゃったからな。
起きると、鍛錬をしている人たち、それから食事を作ってくれている人たちがいた。村の中だけど、一応見張りもつけていたらしい。わたしたちはテントを張らせてもらっていたけれど、あとはみんな広場で雑魚寝していたみたい。
「おはようございます」
みんなに声をかける。朝ご飯の用意を手伝った。スープとパンはあったので、鉄板を出して、お肉をじゃんじゃん焼いていく。もふもふ軍団と体を動かす人たちには、朝ご飯といえど、スープとパンのみじゃ物足りないものね。
ガーシが帰ってきたのでどこに行っていたのかと思ったら、村のおばあちゃんの家の雨漏りがして困っていると聞いたので、屋根を補強してきたようだ。
ガーシだけでなくフォンタナ家の人たちが、何かしらお手伝いをしたようで、村のおじいちゃんおばあちゃんの心をしっかり掴んでいた。
そういうことをやっているから、フォンタナ家の人はどこででも受け入れられるんだよね。顔が広いのも納得できる。
おじいちゃんおばあちゃんも呼んできて、みんなで朝ごはんを食べた。
魔物の肉はおいしいと大変喜ばれた。
もちろんもふもふ軍団にはテントの中にご飯を差し入れしている。
シモーネに水色の鳥が飛んできた。外からの情報だ。山崩れの調べの進捗を教えてもらった。道の復旧には最低でも5日はかかりそうとのことだ。死体は見つかっていないとのこと。ヴェルナーはいつ死体が出たと発表されるかと、心待ちにしているだろう。
うち、フォンタナ家、それからギルド。わたしたちと連絡の取れなくなっている面々が集まり、心配そうにしているとのことだ。
考え事をするのと、それから逗留させてもらっているお礼に、わたしの得意なこと、畑を弄らせてもらうことにした。みんなの目があるから、土人形は使えないけど。
土の状態をよくして、ウチの野菜を植えておく。
魔力のたっぷり染み込んだウチの野菜は、味はいいし、タネ株として繁殖力も高いのだ。
「お嬢さま、何をしているんですか?」
畑いじりをしていると、グリットカー男爵に話しかけられた。
「畑をいじってます」
「伯爵令嬢が?」
「家ではわたしが野菜を育てているんですよ?」
「お嬢さまには驚かされますなー」
何か話したいことがあるのかな?
男爵はあの時、処分されることを受け入れていた。
ということは、ヴェルナー氏が自分に対してもそういうことをする人だってわかっていたということだ。それなのに付き合い続けていた意味がわからない。
って、仕事の関係性だもの。気づいた時には、抜け出しても消される状態で、そのまま付き合いを続けるしかなかったのかもしれないけれど。
でも手先だとしても、13歳の女の子の顔に傷をつけ、犯罪者になると脅すつもりだったわけだから同情はしない。ここのことが終わったら、突き出すよ。
男爵の毒気は消えていた。ゴロツキたちもだ。一緒に処分されそうになっていたってこともあり、後ろ盾がいないのもわかっていて大人しくしている。
だから自由にさせている。いざとなれば、みんな強いからね。
もちろん、わたしも。
男爵の少し先には、木に隠れるようにしてガーシがいた。
おお、こんなところでも護衛してもらってたんだ。
そういえば、こういう場合護衛の仕事はどうなることになるんだろう?
初めての護衛は失敗で終わるのかな?
「ヴェルナー伯の証拠となるようなことはないと思うのですが、少し前に頼まれていたことがありまして、その話をさせていただこうかと」
「ヴェルナーに頼まれたんですね?」
「はい、ある家だったんですけど。そこのことをどんなことでもいいから、調べ上げてくれと言われまして」
「家を?」
「はい。半年前にセルヴィアン・ホアータという女性が買い取った、広めのお屋敷です」
セルヴィアンってどっかで見たことある名前だな。ファミリーネームは違ったと思うけど。
「人が住んでいるというよりは、複数の者が集まり、何かをしている場所のようでした」
あ、思い出した。セルヴィアンって、ドナイ侯の孫の名前だ。確か16ぐらいだから結婚できるけど、まだしてなかったはずだけどな。違う人?
「それで、魔具の開発をしているんじゃないかと結論づけたところでした」
その報告をヴェルナー氏にしたのかを尋ねれば、したという。
わたしはお礼を言って、また何か思い出したら話して欲しいとお願いした。
アダムにフォンをする。
ホアータというファミリーネームに覚えがないか聞いてみた。
「セイン国の公爵でいたな。どうして?」
わたしはヴェルナーがグリットカー氏にある家のことを調べてくれと言われていて、調べてみると、半年前にセルヴィアン・ホアータという女性が買った家であることがわかったと告げる。セルヴィアンという名前に覚えがあって、ファミリーネームは違うけれど、ドナイ侯の孫娘の名前だと告げた。
アダムが一瞬黙った。そして声が聞こえてくる。
「一応、伝えておく」
「うん?」
「ホアータってセイン国の公爵家の名前でもあるけど、グレナン王の末裔が名を変えた時にホアータって名乗った説があるんだ。これ、外でいうと、人亡くなってるから言わないようにね」
え。
「ドナイ侯孫のセルヴィアン嬢は、セイン国の第3王子、ミッナイト殿下との婚姻の噂がある。第4夫人候補だったかな」
「……ミッナイト王子って何歳?」
「21かな?」
21歳で、すでに3人奥さんがいるのね。そして新たに16歳を。ふーむ。
「ちょっと、こっちでも調べてみる。
山崩れの調査は難航しているみたいだ。まだ崩れそうで二次被害を警戒してる」
「そっか。ロビ兄たちに頼んで、もう崩れないように補強してもらうよ」
アダムが笑ってる。
「何?」
「いや、軽くいうなーと思って。多くの人が駆り出されて苦労してなかなかできないことを。君は兄上たちが難なくできると、信じているんだね」
まー、そうか山だもんね。そこらへんの土いじりとは違うだろうけど。
「わたしのお兄さま、だもの。実力もすごいの」
わたしは兄自慢をしてから、3Gフォンを切った。
第756話 冒険者の仲間入り⑦処分を公開しました。
大変、失礼しました。
ーーーーーーーーーーーーーー
テントを張らせてもらったのは村の広場だった。
ベッドがあるわけではない。もふさまともふもふ軍団に囲まれて寝たので、ちょっぴり体は痛いけれど、よく眠れた。
起きると、アラ兄もロビ兄もいなかった。
ふたりは先に起きたそうだ。そう、もふさまに教えてもらう。
大きく伸びをする。
もふもふ軍団は昨晩、アラ兄たちからご飯をもらってちゃんと食べたという。良かった。わたし本当に限界でテント張って寝ちゃったからな。
起きると、鍛錬をしている人たち、それから食事を作ってくれている人たちがいた。村の中だけど、一応見張りもつけていたらしい。わたしたちはテントを張らせてもらっていたけれど、あとはみんな広場で雑魚寝していたみたい。
「おはようございます」
みんなに声をかける。朝ご飯の用意を手伝った。スープとパンはあったので、鉄板を出して、お肉をじゃんじゃん焼いていく。もふもふ軍団と体を動かす人たちには、朝ご飯といえど、スープとパンのみじゃ物足りないものね。
ガーシが帰ってきたのでどこに行っていたのかと思ったら、村のおばあちゃんの家の雨漏りがして困っていると聞いたので、屋根を補強してきたようだ。
ガーシだけでなくフォンタナ家の人たちが、何かしらお手伝いをしたようで、村のおじいちゃんおばあちゃんの心をしっかり掴んでいた。
そういうことをやっているから、フォンタナ家の人はどこででも受け入れられるんだよね。顔が広いのも納得できる。
おじいちゃんおばあちゃんも呼んできて、みんなで朝ごはんを食べた。
魔物の肉はおいしいと大変喜ばれた。
もちろんもふもふ軍団にはテントの中にご飯を差し入れしている。
シモーネに水色の鳥が飛んできた。外からの情報だ。山崩れの調べの進捗を教えてもらった。道の復旧には最低でも5日はかかりそうとのことだ。死体は見つかっていないとのこと。ヴェルナーはいつ死体が出たと発表されるかと、心待ちにしているだろう。
うち、フォンタナ家、それからギルド。わたしたちと連絡の取れなくなっている面々が集まり、心配そうにしているとのことだ。
考え事をするのと、それから逗留させてもらっているお礼に、わたしの得意なこと、畑を弄らせてもらうことにした。みんなの目があるから、土人形は使えないけど。
土の状態をよくして、ウチの野菜を植えておく。
魔力のたっぷり染み込んだウチの野菜は、味はいいし、タネ株として繁殖力も高いのだ。
「お嬢さま、何をしているんですか?」
畑いじりをしていると、グリットカー男爵に話しかけられた。
「畑をいじってます」
「伯爵令嬢が?」
「家ではわたしが野菜を育てているんですよ?」
「お嬢さまには驚かされますなー」
何か話したいことがあるのかな?
男爵はあの時、処分されることを受け入れていた。
ということは、ヴェルナー氏が自分に対してもそういうことをする人だってわかっていたということだ。それなのに付き合い続けていた意味がわからない。
って、仕事の関係性だもの。気づいた時には、抜け出しても消される状態で、そのまま付き合いを続けるしかなかったのかもしれないけれど。
でも手先だとしても、13歳の女の子の顔に傷をつけ、犯罪者になると脅すつもりだったわけだから同情はしない。ここのことが終わったら、突き出すよ。
男爵の毒気は消えていた。ゴロツキたちもだ。一緒に処分されそうになっていたってこともあり、後ろ盾がいないのもわかっていて大人しくしている。
だから自由にさせている。いざとなれば、みんな強いからね。
もちろん、わたしも。
男爵の少し先には、木に隠れるようにしてガーシがいた。
おお、こんなところでも護衛してもらってたんだ。
そういえば、こういう場合護衛の仕事はどうなることになるんだろう?
初めての護衛は失敗で終わるのかな?
「ヴェルナー伯の証拠となるようなことはないと思うのですが、少し前に頼まれていたことがありまして、その話をさせていただこうかと」
「ヴェルナーに頼まれたんですね?」
「はい、ある家だったんですけど。そこのことをどんなことでもいいから、調べ上げてくれと言われまして」
「家を?」
「はい。半年前にセルヴィアン・ホアータという女性が買い取った、広めのお屋敷です」
セルヴィアンってどっかで見たことある名前だな。ファミリーネームは違ったと思うけど。
「人が住んでいるというよりは、複数の者が集まり、何かをしている場所のようでした」
あ、思い出した。セルヴィアンって、ドナイ侯の孫の名前だ。確か16ぐらいだから結婚できるけど、まだしてなかったはずだけどな。違う人?
「それで、魔具の開発をしているんじゃないかと結論づけたところでした」
その報告をヴェルナー氏にしたのかを尋ねれば、したという。
わたしはお礼を言って、また何か思い出したら話して欲しいとお願いした。
アダムにフォンをする。
ホアータというファミリーネームに覚えがないか聞いてみた。
「セイン国の公爵でいたな。どうして?」
わたしはヴェルナーがグリットカー氏にある家のことを調べてくれと言われていて、調べてみると、半年前にセルヴィアン・ホアータという女性が買った家であることがわかったと告げる。セルヴィアンという名前に覚えがあって、ファミリーネームは違うけれど、ドナイ侯の孫娘の名前だと告げた。
アダムが一瞬黙った。そして声が聞こえてくる。
「一応、伝えておく」
「うん?」
「ホアータってセイン国の公爵家の名前でもあるけど、グレナン王の末裔が名を変えた時にホアータって名乗った説があるんだ。これ、外でいうと、人亡くなってるから言わないようにね」
え。
「ドナイ侯孫のセルヴィアン嬢は、セイン国の第3王子、ミッナイト殿下との婚姻の噂がある。第4夫人候補だったかな」
「……ミッナイト王子って何歳?」
「21かな?」
21歳で、すでに3人奥さんがいるのね。そして新たに16歳を。ふーむ。
「ちょっと、こっちでも調べてみる。
山崩れの調査は難航しているみたいだ。まだ崩れそうで二次被害を警戒してる」
「そっか。ロビ兄たちに頼んで、もう崩れないように補強してもらうよ」
アダムが笑ってる。
「何?」
「いや、軽くいうなーと思って。多くの人が駆り出されて苦労してなかなかできないことを。君は兄上たちが難なくできると、信じているんだね」
まー、そうか山だもんね。そこらへんの土いじりとは違うだろうけど。
「わたしのお兄さま、だもの。実力もすごいの」
わたしは兄自慢をしてから、3Gフォンを切った。
62
お気に入りに追加
1,228
あなたにおすすめの小説
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
どーでもいいからさっさと勘当して
水
恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。
妹に婚約者?あたしの婚約者だった人?
姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。
うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。
※ザマアに期待しないでください
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる