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15章 あなたとわたし
第697話 はかられごと⑩君か私か
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「嘘だ!」
アダムが悲壮な声を上げる。
「君、影の中で一番純粋だったからなー。性格的には他の子の方がやりやすいと思ったけど、一番私に似ているし、魔力も多いからね。私に心から忠誠を誓ってくれないと困るし。だから君の好きそうな王子を演じたってわけ、わかる?」
アダムは王子がとてもいい人だと言っていた。
体が丈夫なら王になってもらいたいとも。
アダムはわたしに言った。
〝第1王子を憎みたかったら、僕を憎んで。殿下のことは許してあげて〟と。
そこまで信じていた人なのに……。
「あのさー、生まれてすぐ人格形成もできてないうちから、こいつは狂うって、成人したら幽閉が決まってるとか、あり得ないよ。父上も守ってくれないし、母上もおかしくなってるし。歪んで当たり前だって。
身体も多すぎる魔力のせいで動けないし。だから私には影の存在がとても大切だった。幸い時間だけはいっぱいあったから、それぞれに忠誠を誓ってもらえるよう演じて、ほら、私だって努力したんだ」
第1王子は褒めてほしいとでも言いたげだ。
そしてふぅと息をついた。
「君たちは何を待っていて、話を長引かせてるの? もうつきあうのも飽きちゃったんだけど」
え? 話を長引かせている?
「フランツやお遣いさまの回復? 逃げきれないよ、私からは。あ、7時間しか動けないって言ったから、それを狙ってる? あと4時間は動けるよ。でも、面倒なのも確かだし。そうだな、リディア、私と一緒にくる? 私には逆らわないこと。その条件をのめるなら、フランツたちを逃してあげてもいい」
「リディー、犯罪者のいうことは聞くな!」
声をあげた兄さまに、第1王子が魔法で攻撃をした。
「きゃーーーーー!」
兄さまが、さらに後ろまで吹き飛ばされている。
「いやー、兄さま!」
駆け寄ろうとしたのを、第1王子に止められる。
「私が話すのを許してないのに口を出すから。君が私と行けば、誰も傷つかないよ?」
「行かない」
短く突っぱねる。
迷いたくはなるけど、わたしはアイラと違うことを証明すると自分に誓ったから。わたしは幸せをあきらめない。
「なぜ? 犯罪者だから? 犯罪者が嫌だというなら、この国を潰せばいい。国がなくなれば、私はもうその法には縛られないからね」
なんてことを言うんだ。この人、あきらかにおかしくなってる。
「違う。理由はあなたといても、幸せになれないから」
「……幸せになれない? ああ、私の身体が駄目になるから? アダムの身体に乗り移るよ。アダムは幽閉されず身体は生き続ける。君、アダムのこと気に入ってるよね?」
「身体がアダムでも魂が違うのなら、それはアダムではないわ」
「ああ、お願いだよ。私に君にひどいことをさせないでくれ」
王子殿下は、本当にそう願っているようだ。
でも、もう、その考えがおかしいのだ。
「それよ。あんたはわたしのことなんか、ちっとも好きじゃないわ。好きっていうのはね、自分のことより相手の気持ちを思うってことなの。相手の気持ち込みで、自分より大切なの。あんたは違うでしょ? ……王妃さまから用意された愛情の欠片にすがりたくて、〝わたし〟に執着してるだけ!」
第1王子の顔から、おちゃらけていたような表情が消え落ちた。
言ったことに後悔はないけど、本能的にマズいと思った。
でも、唐突に浮かんだ言葉が、ピッタリはまった気がした。
アイラがこの人に賛同したのも、きっとそこだ。ふたりは似ている。
自分に向けられた愛情を自ら手放したところ。残像のように残る愛情の欠片にすがることでしか、幸せに届かないと思っているところ。
「ふっ、全く。そうだね、私は君に執着しているだけなんだろう。報告通りだ。君は人の心の奥の気持ちを、本人さえも気づきたくない思いに気づいてしまう。執着も確かだけど、気になっているのは本当なんだ。……だから、ここで終わりにしよう。君がフランツに止めをさせ」
!
わたしは捕まえられている手を、離しにかかった。
手を振っても、どついても、右手の戒めは解かれない。
「グレナンは実に興味深いことを研究していた。〝伝心〟もそうだけど、300年前の魔使いが言い出した、魔を持つ人も従わせることができる研究、それも進めていた。魅了に着目したのもいい着眼点だ。瘴木、魔石、核、あんなことまで確立できたのに、人をテイムすることだけは解けなかったみたいだ。でも、私はそれを読み解いた」
え、嘘でしょ?
「君に魔力を吹き込んだだろう? 魔遮断されている君の中に」
あ。そういえば、わたしは魔封じの魔具をつけられている。遮断されているのに、なんで魔力を吹き込めたの? 嘘……本当に人をテイムできるの?
「その魔具を私が作ったからだよ。収納袋も呼び出せない、私しか解けない魔具だ。だから、私の魔力だけは自由に動かせる。テイムとは言いきれないけど、私の魔力を含ませた魔具を使うことによって、かなりいう通りに人を動かすこともできる」
そんな都合のいい魔具があるの?
「リディア嬢、それ以上戯言を聞くな!」
アダムが攻撃された。蹲っている。
「誰が話すことを許した? ブレドも動くな。私は攻撃したいわけじゃないんだ」
兄さまが上半身だけ体を起こす。
第1王子の手に剣が現れる。
「はい。これでフランツを刺してきて。そうしないと……君が壊れるよ」
王子はわたしから手を離し、その右手に剣を握らせる。もちろん拒んだつもりなのに、わたしは剣を持っていて、落とそうとしたのに、手がいうことを効かない。そして剣は兄さまに向かっていこうとする。
ロサが後ろに吹っ飛んだ。
「動くなと警告したはずだ。お遣いさまも、次に動いたら、本気でやりますよ?」
わたしは足を踏ん張る。
けれどふわりと浮いて、うずくまる兄さまの前まで押しやられる。
け、剣が!
「兄さま、避けて」
剣が勝手に兄さま目掛けて動く。わたしは必死に剣先の方向を変えようとした。
何? 後ろで爆発が起こったみたいな音がして。
『リディア、ちょっとの間、頑張れ』
『リー、踏ん張れ』
『リー、意思を強く持て!』
「魔物か……、やっぱりリディアは面白い。3体もいると、消耗しそうだが……」
後ろですっごい音がしているし、光だけがこちら側にも届く。
「兄さま、逃げて!」
剣から意識が流れ込んでくるようだ。目の前の人を刺さなくちゃという気持ちに突き動かされそうになる。
「もふさま、わたしを遠くに放り投げて!」
もふさまが動いた時、もふさまに光の玉が当たって、もふさまが倒れる。
「もふさま!」
「全くもう、往生際が悪いな。自分で刺して、その命が終わるところを見れば、いくらあきらめの悪い君でも終わらせることができるだろう? ほら、〝兄さま〟に止めをささないと、君が壊れるよ。もう辛いだろ?」
「リディーに……何……をした?」
兄さまが言葉を紡ぐ。
「……魔力封じの魔具をしている状態で、彼女の中に入れておいた私の魔力を活性化させた。その剣は魔剣。対象を確実に仕留められる。同じ魔力は引き合うんだ。その剣の持ち主は私。私の魔力が乗っている。だから引き合って、そして私の言霊にものって、彼女は今、君を殺したくてたまらない。
こうなると、私のいう通りにするしかない。
ハハ、剣に乗っ取られなかったら、意思の強さに脱帽だね。彼女の中では瘴気と魔力を活性化させているから、その上、意思を貫くのは辛いだろうなー。それにこの状態でいれば、彼女は壊れる。君かリディア、どちらかが壊れるしか、この呪いは終わらない」
「リディー」
目の前の人に名を呼ばれている。
剣先を向けた相手。
この剣で刺し殺さなければと、わたしの全細胞が叫んでいる。
剣を向けられているのに、とても穏やかで優しい瞳をしている。
真っ直ぐなプラチナブロンド色の髪。
血が染み込んでより暗い黒となったメイド服をきた男性は、わたしに手を伸ばした。
剣を持つわたしの両手を包んだ。
「リディーは生きるんだ」
その手を強く自分に引き寄せた。
何かの抵抗を受けながらも、剣はブズズと入っていく。
こふっと兄さまが血を吹いた。
アダムが悲壮な声を上げる。
「君、影の中で一番純粋だったからなー。性格的には他の子の方がやりやすいと思ったけど、一番私に似ているし、魔力も多いからね。私に心から忠誠を誓ってくれないと困るし。だから君の好きそうな王子を演じたってわけ、わかる?」
アダムは王子がとてもいい人だと言っていた。
体が丈夫なら王になってもらいたいとも。
アダムはわたしに言った。
〝第1王子を憎みたかったら、僕を憎んで。殿下のことは許してあげて〟と。
そこまで信じていた人なのに……。
「あのさー、生まれてすぐ人格形成もできてないうちから、こいつは狂うって、成人したら幽閉が決まってるとか、あり得ないよ。父上も守ってくれないし、母上もおかしくなってるし。歪んで当たり前だって。
身体も多すぎる魔力のせいで動けないし。だから私には影の存在がとても大切だった。幸い時間だけはいっぱいあったから、それぞれに忠誠を誓ってもらえるよう演じて、ほら、私だって努力したんだ」
第1王子は褒めてほしいとでも言いたげだ。
そしてふぅと息をついた。
「君たちは何を待っていて、話を長引かせてるの? もうつきあうのも飽きちゃったんだけど」
え? 話を長引かせている?
「フランツやお遣いさまの回復? 逃げきれないよ、私からは。あ、7時間しか動けないって言ったから、それを狙ってる? あと4時間は動けるよ。でも、面倒なのも確かだし。そうだな、リディア、私と一緒にくる? 私には逆らわないこと。その条件をのめるなら、フランツたちを逃してあげてもいい」
「リディー、犯罪者のいうことは聞くな!」
声をあげた兄さまに、第1王子が魔法で攻撃をした。
「きゃーーーーー!」
兄さまが、さらに後ろまで吹き飛ばされている。
「いやー、兄さま!」
駆け寄ろうとしたのを、第1王子に止められる。
「私が話すのを許してないのに口を出すから。君が私と行けば、誰も傷つかないよ?」
「行かない」
短く突っぱねる。
迷いたくはなるけど、わたしはアイラと違うことを証明すると自分に誓ったから。わたしは幸せをあきらめない。
「なぜ? 犯罪者だから? 犯罪者が嫌だというなら、この国を潰せばいい。国がなくなれば、私はもうその法には縛られないからね」
なんてことを言うんだ。この人、あきらかにおかしくなってる。
「違う。理由はあなたといても、幸せになれないから」
「……幸せになれない? ああ、私の身体が駄目になるから? アダムの身体に乗り移るよ。アダムは幽閉されず身体は生き続ける。君、アダムのこと気に入ってるよね?」
「身体がアダムでも魂が違うのなら、それはアダムではないわ」
「ああ、お願いだよ。私に君にひどいことをさせないでくれ」
王子殿下は、本当にそう願っているようだ。
でも、もう、その考えがおかしいのだ。
「それよ。あんたはわたしのことなんか、ちっとも好きじゃないわ。好きっていうのはね、自分のことより相手の気持ちを思うってことなの。相手の気持ち込みで、自分より大切なの。あんたは違うでしょ? ……王妃さまから用意された愛情の欠片にすがりたくて、〝わたし〟に執着してるだけ!」
第1王子の顔から、おちゃらけていたような表情が消え落ちた。
言ったことに後悔はないけど、本能的にマズいと思った。
でも、唐突に浮かんだ言葉が、ピッタリはまった気がした。
アイラがこの人に賛同したのも、きっとそこだ。ふたりは似ている。
自分に向けられた愛情を自ら手放したところ。残像のように残る愛情の欠片にすがることでしか、幸せに届かないと思っているところ。
「ふっ、全く。そうだね、私は君に執着しているだけなんだろう。報告通りだ。君は人の心の奥の気持ちを、本人さえも気づきたくない思いに気づいてしまう。執着も確かだけど、気になっているのは本当なんだ。……だから、ここで終わりにしよう。君がフランツに止めをさせ」
!
わたしは捕まえられている手を、離しにかかった。
手を振っても、どついても、右手の戒めは解かれない。
「グレナンは実に興味深いことを研究していた。〝伝心〟もそうだけど、300年前の魔使いが言い出した、魔を持つ人も従わせることができる研究、それも進めていた。魅了に着目したのもいい着眼点だ。瘴木、魔石、核、あんなことまで確立できたのに、人をテイムすることだけは解けなかったみたいだ。でも、私はそれを読み解いた」
え、嘘でしょ?
「君に魔力を吹き込んだだろう? 魔遮断されている君の中に」
あ。そういえば、わたしは魔封じの魔具をつけられている。遮断されているのに、なんで魔力を吹き込めたの? 嘘……本当に人をテイムできるの?
「その魔具を私が作ったからだよ。収納袋も呼び出せない、私しか解けない魔具だ。だから、私の魔力だけは自由に動かせる。テイムとは言いきれないけど、私の魔力を含ませた魔具を使うことによって、かなりいう通りに人を動かすこともできる」
そんな都合のいい魔具があるの?
「リディア嬢、それ以上戯言を聞くな!」
アダムが攻撃された。蹲っている。
「誰が話すことを許した? ブレドも動くな。私は攻撃したいわけじゃないんだ」
兄さまが上半身だけ体を起こす。
第1王子の手に剣が現れる。
「はい。これでフランツを刺してきて。そうしないと……君が壊れるよ」
王子はわたしから手を離し、その右手に剣を握らせる。もちろん拒んだつもりなのに、わたしは剣を持っていて、落とそうとしたのに、手がいうことを効かない。そして剣は兄さまに向かっていこうとする。
ロサが後ろに吹っ飛んだ。
「動くなと警告したはずだ。お遣いさまも、次に動いたら、本気でやりますよ?」
わたしは足を踏ん張る。
けれどふわりと浮いて、うずくまる兄さまの前まで押しやられる。
け、剣が!
「兄さま、避けて」
剣が勝手に兄さま目掛けて動く。わたしは必死に剣先の方向を変えようとした。
何? 後ろで爆発が起こったみたいな音がして。
『リディア、ちょっとの間、頑張れ』
『リー、踏ん張れ』
『リー、意思を強く持て!』
「魔物か……、やっぱりリディアは面白い。3体もいると、消耗しそうだが……」
後ろですっごい音がしているし、光だけがこちら側にも届く。
「兄さま、逃げて!」
剣から意識が流れ込んでくるようだ。目の前の人を刺さなくちゃという気持ちに突き動かされそうになる。
「もふさま、わたしを遠くに放り投げて!」
もふさまが動いた時、もふさまに光の玉が当たって、もふさまが倒れる。
「もふさま!」
「全くもう、往生際が悪いな。自分で刺して、その命が終わるところを見れば、いくらあきらめの悪い君でも終わらせることができるだろう? ほら、〝兄さま〟に止めをささないと、君が壊れるよ。もう辛いだろ?」
「リディーに……何……をした?」
兄さまが言葉を紡ぐ。
「……魔力封じの魔具をしている状態で、彼女の中に入れておいた私の魔力を活性化させた。その剣は魔剣。対象を確実に仕留められる。同じ魔力は引き合うんだ。その剣の持ち主は私。私の魔力が乗っている。だから引き合って、そして私の言霊にものって、彼女は今、君を殺したくてたまらない。
こうなると、私のいう通りにするしかない。
ハハ、剣に乗っ取られなかったら、意思の強さに脱帽だね。彼女の中では瘴気と魔力を活性化させているから、その上、意思を貫くのは辛いだろうなー。それにこの状態でいれば、彼女は壊れる。君かリディア、どちらかが壊れるしか、この呪いは終わらない」
「リディー」
目の前の人に名を呼ばれている。
剣先を向けた相手。
この剣で刺し殺さなければと、わたしの全細胞が叫んでいる。
剣を向けられているのに、とても穏やかで優しい瞳をしている。
真っ直ぐなプラチナブロンド色の髪。
血が染み込んでより暗い黒となったメイド服をきた男性は、わたしに手を伸ばした。
剣を持つわたしの両手を包んだ。
「リディーは生きるんだ」
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